本日の中国新聞朝刊に「きらりのお墓」に関する記事が掲載されました。
最近の最高裁の調査により、後見人による不正事案は10ヶ月間で182件、被害総額18億円以上の多額な実情が明らかとなりました。
そこで、その後見人の不正(横領)を防ぐため、家庭裁判所により後見制度支援信託制度の運用が始まりました。
この後見制度支援信託制度とは、おおざっぱに説明すると、後見人が本人の預金を引き出そうとする際に、あらかじめ家庭裁判所から「指示書」を受け取って、それを提示しないと預金を引き出せなくするものです。これにより、多額の預金を後見人が横領することが難しくなります。
ただし、預金の全額が制約されることはなく、本人の日常の生活費相当額(通常使用しない金銭)を超える預金を信託銀行へ信託することになります。
後見人が管理している現金及び預金が足りなくなれば、家庭裁判所の指示書をもらって、必要な額だけを信託銀行の預金から引き出すことになります。
私は、個人的には、この後見制度支援信託制度によって、劇的に後見人の横領が減るのではないかと期待しています。
しかし、まだまだ課題も多いようです。
たとえば、
1.信託銀行がある地域でないと活用が難しいこと。
2.信託銀行への費用がかかること。(一部の信託銀行は条件により手数料が無料となる信託商品もある)
3.信託の対象となる財産は、現金及び預金であり、不動産は対象外であること。
など
3月22日に広島家庭裁判所が広島司法書士会の司法書士へ向けた研修会では以下のような説明がされました。
<広島家庭裁判所の基本方針(抜粋)>
1.約2000万~3000万円以上の預金がある事件が対象となること
2.親族が後見人になる事件が対象となること
(専門職(弁護士・司法書士など)が後見人になる事件は、原則として対象としないこと)
3.制度利用の際は、一度親族後見人と専門職後見人を選任し、専門職後見人に信託契約などをさせた後、関与の必要がなくなれば専門職後見人は辞任し、その後は親族後見人だけがその信託契約に基づいて預金の引き出しをすること
すでに運用は開始されており、現在広島家庭裁判所では3件の事件が、この制度の対象となっているとのことでした。
ぜひ、後見人の横領が少しでも減ることを期待しています。
私自身もすでに何件もの後見人を引き受けているので、家庭裁判所へ協力できることがあればできるだけ実行します。
なお、成年後見制度の問題としては、以上のような横領の問題以外にも、医療同意、尊厳死、保証人など様々な法律問題が山積しており、家庭裁判所だけで全ての老後の問題を解決するのは難しいのが現状です。
私が代表をしている「きらり」では、不正を防ぐため弁護士と税理士が監事としてチェックしており、かつ尊厳死や保証人の問題も解決することができます。
とにかく、自分の老後を安心して過ごすためには、本人が自分で判断できるうちに、しっかりした組織と老後をささえてもらうための包括的契約を結んでおくことが必要です。