製造業の私が「太田市の広報部長」を自称する理由。行政との連携で創る地域の良いスパイラル
経営者やビジネスパーソンの方々と話をしていると、よくこんなお悩みを耳にします。
「毎日忙しく働いているのに、なぜか業務が進まない」
「全員ががんばっているのに、途中で仕事が滞ってしまう」
実は、仕事がスムーズに流れない原因は、道路の渋滞と同じ「メカニズム(仕組み)」にあります。
先日(7月29日)、ぐんま産業創造倶楽部にて開催されたフォーラムに参加し、東京大学の西成活裕教授による「渋滞学」の講義を聴講してきました。そこで語られた「仕事の渋滞解消」の法則は、私たちが日頃行っている現場改善(5SやIE手法)の真髄に通じるものでした。
今回は、業務の滞りをなくし、持続的な成果を生み出すための思考法についてお話しします。
1. 仕事を詰まらせる「3つの罠」
道路で車間距離をギリギリまで詰めると、一台のブレーキが後続車に連鎖して大渋滞が発生します。仕事の現場もまったく同じです。
西成教授は、渋滞を引き起こす原因として 「3つの警戒すべき視点」 を挙げられています。
① 「いまさえ良ければ…」(短期視点)
② 「ここさえ良ければ…」(部分最適)
③ 「自分さえ良ければ…」(利己的思考)
「自分の部署の効率だけを上げよう」と余白(遊び)をなくしてギチギチに詰め込むと、一箇所でトラブルが起きた瞬間、組織全体へ遅れが波及し、会社全体の「仕事の渋滞」を引き起こしてしまうのです。
2. 「無駄取り」とは、余裕を削ることではない
私たちが推進する「5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)」や「無駄取り」、IE(インダストリアル・エンジニアリング)活動の目的は、単に現場から隙間をなくして忙しく動かせることではありません。
本当の効率化とは、「仕事の流れ(フロー)を止めないこと」です。
流れを止めないためには、あえて計算された余白を作る「科学的ゆとり」が必要になります。
・空間のゆとり(整理整頓による物理的な余裕)
・時間のゆとり(トラブルに対応できるスケジュールの遊び)
・労力のゆとり(お互いをフォローし合える利他の精神)
目先の作業効率(短期的・部分最適)に捉われず、あえて目的を持った「余白」を設計することこそが、結果として組織全体のスピードと成果を最大化させます。
3. 「急がば回れ」——Jカーブ思考で持続的な成長へ
ビジネスにおいては、目先の利益や効率を追う「短期的な結果」にとらわれがちです。
しかし、真に強い組織をつくるには、将来の飛躍を見据えて一時的なマイナス(改善活動の時間や教育コスト)を受け入れる「Jカーブ思考」が欠かせません。
二宮尊徳の言葉に「遠くをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す」とあります。
根を深く張り、急がば回れの精神で「全体最適」と「利他の心」を持った現場をつくること。それこそが、会社と社員の心身の健康を守り、長寿企業へとつながる道だと確信しています。
おわりに
皆様の職場では、業務が「渋滞」していませんか?
もし「忙しいのに成果が出ない」「現場が疲弊している」とお悩みなら、一度「ゆとりの設計(全体最適)」を見直してみるタイミングかもしれません。
目先の忙しさに追われるのではなく、全体最適と利他の心を持って、地域とともに成長していける企業を目指していきたいですね。


