ボーカルが高音を出せない本当の原因と、発声レッスンでの克服法
「おなかから声を出して」「高音は頭で響かせて」。ボイストレーニングでよく使われるこうした言葉に、戸惑ってきた方は少なくないと思います。私自身、中学・高校時代にバンドでボーカルを務めながら、思うように歌えない自分の下手さを痛感してきました。抽象的で画一的な説明では、何をどう変えればよいのかが分からないのです。
そこで私は、声がどこから生まれ、どこを伝わって響くのかを、人体の構造から理解することに取り組みました。声帯の振動、そして喉や口、鼻といった空間での共鳴。筋肉の動きを一つずつ検証しながら発声について体系的に研究し、そこで得た知見をオリジナルメソッドとしてまとめています。
体のどの部分で音の高低をコントロールしているのか、なぜその声になるのか。レッスンでは、その仕組みをできるだけ分かりやすい言葉でご説明し、頭で理解していただいたうえで体得してもらうことを心掛けています。
歌唱の表現は、声のトーン、音の長短、リズムの取り方、音量の調整など、さまざまな要素の組み合わせで生まれます。ですから私は「女性の気持ちになって」「悲しそうに」「アグレッシブに」といった、イメージに頼る指導は控えています。感覚で伝わる方にはそれでよいのですが、伝わらない方にとっては、いつまでも霧の中にいるようなものだからです。
肉体の動きと物理法則に則って説明できることは、できる限り言葉にしてお伝えします。もちろん、イメージで伝えた方が早い場面ではその方法も使います。大切なのは、目の前の方に届く伝え方を選ぶことです。
科学的なアプローチで、皆様の「歌えるようになりたい」をかなえるお手伝いをする。これが私の出発点です。高い声が出ない、思った音程にならないといったお悩みも、原因が体のどこにあるのかが見えれば、次にやるべき練習は決まります。
指導の言葉が腑に落ちないまま練習を続けているのなら、一度その仕組みから確かめ直してみませんか。私の説明に「それ、本当?」と感じる点があれば、遠慮なくお伝えください。そこからまた研究します。


