Mybestpro Members

嶋﨑剛志プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

時間の喪失/文明・構造(思想)編(1-15:忙しいエリートサラリーマンが、虚無感を感じるのはなぜか?)

嶋﨑剛志

嶋﨑剛志

テーマ:文明・構造(思想)

生活短観


ハローワークで求人したところ、48歳男性が応募してきた。
これは訳アリだ。会ってみるとやはり変だ。
それでも、試しに一回働いてもらった。
最初の自己紹介からものすごく変だった。
仕事をしても、まったく協調性がなく、言ったとおりにやらず、
かつ、潔癖症で、共有の手袋とかは使えないという。
当然ながら、辞めてもらった。
いわゆる大人の発達障害傾向だ。医師の診断もおそらくそうなるだろう。

この手の人は不幸だ。親や教師が子供の頃に気付いてあげれば、
それなりの保護プログラムがあるのだが、
大人になるまで放置すると、なかなか認定されにくい。
普通の人として扱われると、仕事はうまく行かず、続かず、転々とする。
その結果、最終的には困窮し、よければ生活保護だが、
犯罪などに手を染める人も少なくない。
親の責任は重大だが、その親も発達障害であることが多いので、何とも言えない。
最近の教師も能力や意識が低く、モンスターペアレンツなどが居るので、
下手なことは言えない。

その結果、こういう子供がそのまま大人になり、不幸になる。

現代人は、時間を失っている


忙しいからではない。
怠けているからでもない。

時間を無駄にしているのではなく、
現代人が失っているのは、時間そのものだ。

正確に言えば、
時間を「積み上がるもの」として感じられなくなっている。

時間は、本来「積み上がる感覚」だった


本来、時間は連続していた。

昨日の延長に今日があり、
今日の延長に明日がある。

・待つ
・育てる
・熟す

こうした感覚の中で、
時間は「手応え」として蓄積されていた。

即時報酬は、時間を細切れにする


即時報酬(即時快)は、
時間の流れに割り込んでくる。

・数秒の刺激
・一瞬の安心
・短い満足

これが繰り返されると、
時間は連続ではなく、点の集合になる。

ドーパミンは「今」しか見ない


ドーパミンは、
未来を育てる物質ではない。

次の刺激。
次の反応。
次の安心。

常に「次の今」を追い続ける。

この状態が続くと、
長い時間軸が見えなくなる。

情報と比較が、不安を量産する


現代は、情報が多すぎる。

・他人の成功
・キラキラした日常
・自分より先に行っているように見える人たち

それらが、
毎日、何度も目に入ってくる。

ここで生まれる不安は、
本来感じる必要のないものだ。

これは、
**比較によって作られた「錯覚の不安」**である。

錯覚の不安は、「焦り」に変わる


錯覚の不安は、
次の形を取る。

・自分は遅れているのではないか
・何かしなければならないのではないか

これは、
自分の内側から生じた不安ではない。

他人を基準にした、不安と焦りだ。

承認は、不安を一瞬で消す


人は、不安を長く抱えられない。

そこで選ばれるのが、
承認である。

・評価
・反応
・いいね

承認は、
即時に安心を与える。

だがそれは、
達成でも、成長でもない。

**ただの「安心」**だ。

承認のために使われる時間の正体


ここが核心だ。

その時間は、
・自分の未来に向けた時間投資ではない
・自分の人生を前に進める時間でもない

不安を麻痺させるための時間である。

構造は、
何もしていない不安を
お酒で紛らわしているのと同じだ。

一瞬ラクになる。
しかし、何も残らない。

時間を使っているのに、残らない理由


物理的には、
・動いている
・努力している
・毎日何かしている

しかし心理的には、
・自分の人生に向かって積んでいない
・不安処理に時間を溶かしている

だから、
時間を使った感覚はあるのに、
人生が前に進んだ感覚がない。

これが、
時間の喪失感だ。

本来あるべき構造と、現代の歪み


本来あるべき構造は、こうだ。

・正しい不安(自分軸の不安)
・正しい行動(自分軸の努力)
・正しい承認(自分軸の成果の実感)

→ 時間が積み上がる

しかし現代は、こうなっている。

・錯覚の不安(比較由来)
・不安消しの行動(承認目的)
・他人軸の承認(即時報酬)

→ 時間が消費される

なぜ、この状態が正しいと信じてしまうのか


即時報酬文明の中では、

・みんなやっている
・普通に見える
・むしろ正しいと感じる

そのため、時間を浪費しているという自覚すら持てない。
これが、文明レベルの洗脳だ。

例えば、「良い大学を出て、一部上場企業のサラリーマンになる
これがまさにその典型例だ。

それは「安定」や「成功」と呼ばれてきたが、
同時に、
不安を感じずに済む人生モデルでもあった。

結論:時間の喪失とは何か


時間の喪失とは、
何もしていない状態ではない。

錯覚の不安を消すために、
自分の人生の時間を使い切ってしまう状態である。

即時報酬文明の延長線上に、
時間が積み上がる幸福はない。

大好きな炭水化物よ、さようなら。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

嶋﨑剛志
専門家

嶋﨑剛志(農業法人)

農業法人株式会社こうづけの里

色・形良く、艶・張りもある美しくおいしい野菜を育てるため、微生物、有機肥料、化成肥料、農薬など、あらゆる手法を適切に使用。低コストで価値ある野菜を顧客に届け、農業と地方の再生、事業継承にも取り組みます

嶋﨑剛志プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

脱サラ農業の工夫と成功事例提供で地方再生を支援するプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ群馬
  3. 群馬のくらし
  4. 群馬の農業
  5. 嶋﨑剛志
  6. コラム一覧
  7. 時間の喪失/文明・構造(思想)編(1-15:忙しいエリートサラリーマンが、虚無感を感じるのはなぜか?)

嶋﨑剛志プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼