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嶋﨑剛志プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

承認の時代/文明・構造(思想)編/(1-12:「いいね!」がもたらした功罪)

嶋﨑剛志

嶋﨑剛志

テーマ:文明・構造(思想)

生活短観


今日のニュースで、初任給がどんどん上がって、
高い会社では、37万円/月になると聞いた。
こんな金額、大手(サラリーマンの上位1%)しか払えない。中小には絶対ムリ。
一方で、派遣社員は、新人でなくても手取り16万円くらいの極貧生活。
アルバイトも時給は上がったとはいえ、
フルに働いても、8時間×22日=17万6千円(手取りになったら13万円くらい?)
ものすごい2極化というか、上位1%とその他大勢99%の差が開いていく。
この先、どうなるのか???
バブルの頃の「一億総中流」とはかけ離れた世界。不幸な世界。

ニュースで給料が上がる話と大根が売れる話は別物になるだろう。

昨日も酒を飲まなかったから、今日も軽いし、心が静かだ。
大根はまだあまり売れないが、冷静に対処できる。
不安ではあるが、不安が暴走しない。(ドーパミン枯渇してない)
忙しくて昼飯を食べられなくても、極度の空腹感を感じない。
燃料切れをしないのが分かる。(脂肪燃焼モードに入っている)

承認欲求は、もともと悪いものではなかった


承認欲求という言葉は、
どこか否定的に使われがちだ。

しかし、本来の承認欲求は、
人間にとって自然なものだった。

仲間に認められる。
集団に受け入れられる。

それは、生き延びるために必要な感覚だった。

では、なぜ承認欲求が「暴走」するのか


問題は、承認欲求そのものではない。

承認が、
即時に、
大量に、
数値として返ってくるようになったこと
ここに原因がある。

不安と焦燥は、人を「承認」に向かわせる


前回までで見てきたように、

・即時報酬によって神経は休めなくなり
・比較の錯覚によって焦燥が生まれた

この状態で人が求めるのは何か。

安心だ。

「自分は大丈夫だ」
「遅れていない」
「認められている」

その確認として、
承認が欲しくなる。

承認は「即時に効く不安止め」になる


いいね。
再生数。
フォロワー。

これらはすべて、

一瞬で不安を和らげる。

不安が消える。
焦燥が一瞬、止まる。

これは快だ。

つまり、承認は
即時報酬(即時快) として機能する。

即時報酬になった承認は、効かなくなる


ここで、これまでと同じ構造が現れる。

糖と同じ。
情報と同じ。

・最初は効く
・次第に慣れる
・同じ量では足りなくなる

承認も、
同じ量では効かなくなる。

承認欲求が「暴走」する瞬間


効かなくなると、どうなるか。
当然、、、
・もっと欲しくなる
・もっと反応が欲しくなる
・もっと強い刺激が欲しくなる

内容よりも、
反応の量が目的になる。

これが、
承認欲求の暴走 だ。

満たされない理由は、構造にある


承認欲求が満たされないのは、
わがままだからではない。

構造上、
満たされないようにできている。

即時報酬は、
持続しない。

一瞬効いて、
すぐ消える。
すぐ慣れる。

だから、
また欲しくなる。
もっと欲しくなる。
(これもドーパミン中毒だ。同じ構造)

承認は「自分」を外注する仕組みになる


承認に依存すると、
自分の評価基準が外に移る。

・自分が何をやりたいか、好きか
・自分がどう感じたか
・自分が何を大事にしたか

よりも、

・どう見られたか
・どう評価されたか
・他人が何を見たいか?好きか?

が基準になる。

ここで、
自分の軸が失われる

糖・情報・承認は、同じ線上にある


ここで、シリーズ全体が再び一本につながる。

・糖 → 即時に満たす
・情報 → 即時に刺激する
・承認 → 即時に安心させる

すべて、
即時報酬を与えるもの だ。

そして、
すべて同じ結末を迎える。
人が弱くなったわけではない。

承認を
・即時に
・大量に
・数値で
返す仕組みが作られただけだ。
それに、人間の脳が正直に反応しただけだ

即時報酬。比較。承認。
これらに支配された結果、
自分の軸を失い、他者と比較し、不安になり、
その不安を消すために他者から承認(いいね、再生回数)をもらう。
本当に自分のやりたいことではなく、
刹那の「いいね、再生回数」のために、時間を浪費することになる。
そして、その「いいね」も「再生回数」も、
多くの場合、財産にも資産にもならず、刹那の安心とともに消え去る。

大好きな炭水化物よ、さようなら。

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嶋﨑剛志
専門家

嶋﨑剛志(農業法人)

農業法人株式会社こうづけの里

色・形良く、艶・張りもある美しくおいしい野菜を育てるため、微生物、有機肥料、化成肥料、農薬など、あらゆる手法を適切に使用。低コストで価値ある野菜を顧客に届け、農業と地方の再生、事業継承にも取り組みます

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