ターメリック(秋ウコン)を摂ってもその健康効果は皆無に近い!
変形性関節症(OA; OsteoArthrosis)はクッションの役割を果たしている膝や股の関節軟骨が磨り減って炎症を起こすことで、強い痛みが生じます。
特に、膝のOA患者数が多く、日本人の自覚症状を有する患者が約1,000万人、自覚症状がなくX線撮影で診断される潜在的な患者も合わせると約3,000万人となり、女性は男性の1.5〜2倍も多くいます。
OAの治療法には、アセトアミノフェン(鎮痛剤)や非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の内服や直接投与、ヒアルロン酸の注入、運動療法、手術療法などがあり、症状や病状に応じて選択されます。
OAの治療に際して、従来の治療法に加え、生姜や蜂蜜などの食材を補助的に用いると、OAの症状改善に役立つことが分かってきています。
米国のマイアミ大学による無作為化比較試験(Arthritis Rheum, 2001, 44(11), 2531-2528)では、中等度から重度の疼痛を有する膝OA患者216名を対象に、生姜エキスを摂取する生姜群とプラセボを摂取する対照群に分け、6週間後の症状を比較したところ、生姜群は対照群に比べ膝の痛みが有意に改善しました。
韓国のウスク大学による無作為化比較試験(Food Funct, 2024, 15(18), 9512-9523)では、軽度の膝OA患者100名を対象に、蒸し生姜エキスを摂取する生姜群とプラセボを摂取する対照群に分け、12週間後の症状を比較したところ、生姜群は対照群に比べ、痛みを評価するVAS(Visual Analogue Scale)、関節の機能や痛みを評価する韓国版WOMAC(The Western Ontario McMaster OA Index)、患者全般評価のいずれもが有意に改善したことから、蒸し生姜の摂取は胃腸粘膜などに影響を及ぼすことなくOAの痛みや機能の緩和に役立つことが分かりました。
また、イランのテヘラン医科大学による無作為化比較試験(J Clin Pharm Ther, 2022, 47(12), 2295-2301)では、膝OA患者44名を対象に、アセトアミノフェン(鎮痛剤)とカルシウム&ビタミンDサプリの通常治療に加え、生姜エキスと蜂蜜を摂取する生姜&蜂蜜群とプラセボを摂取する対照群に分け、12週間後の症状を比較したところ、生姜&蜂蜜群は対照群に比べ、VAS、WOMAC、疼痛度、こわばり度、身体機能のすべてが、以下の摂取前→摂取後 (前後での差)で示すように、有意に大幅な改善効果を発揮することが分かりました。
※VAS
生姜&蜂蜜群 3.76→2.33 (1.43↓)
対照群 3.77→3.14 (0.63↓)
※WOMAC
生姜&蜂蜜群 38.71→21.43 (17.91↓)
対照群 39.55→36.23 ( 3.32↓)
※疼痛度
生姜&蜂蜜群 8.33→4.71 (3.62↓)
対照群 9.00→8.82 (1.18↓)
※こわばり度
生姜&蜂蜜群 3.38→1.95 (1.43↓)
対照群 4.55→3.82 (0.73↓)
※身体機能
生姜&蜂蜜群 25.48→13.05 (12.43↓)
対照群 25.00→23.59 ( 1.41↓)
このように、アセトアミノフェン(鎮痛剤)の単独使用はOA治療にはあまり効果的とは云えませんが、これに生姜&蜂蜜を補助的に併用すれば、副作用を最小限に抑えつつ、OAの痛みや症状の改善効果が大きいことが分かりました。
なお、生姜や蜂蜜には鎮痛作用や抗炎症作用があるので、OAの予防にも役立つことが期待でき、その際の生姜の一日あたりの摂取量の目安は生で10g前後、粉末で1g前後であり、蜂蜜は大さじ1〜2杯(20〜40g)で、これらを2~3回に分けて摂るのがよいでしょう。



