喘息のコントロールにはニゲラ・サティバと生姜が有効です！

喘息(Asthma)は慢性的な炎症を起こして気道が狭くなったり、過敏になったりする病気です。

喘息になると、気道の内側が炎症で腫れて、空気の通りが悪くなり、ちょっとした刺激(花粉・冷気・運動など)で発作が起きやすくなります。

主な症状として、突然の咳、息苦しさ、胸の圧迫感、ヒューヒュー音などを呈します。

喘息の原因として、家族に喘息やアレルギー体質の人がいる場合の遺伝的要因、ダニ・ホコリ・花粉・ペットの毛、タバコの煙、大気汚染といった環境的要因、それに運動・寒冷刺激・過度のストレスなども発作の要因となります。

日本における喘息患者数(2023年)は約117万人で、その過半数は子供(満18歳未満)です。

現在の喘息治療には気管支収縮を抑えるための短時間作用型ないし長時間作用型のβ刺激薬と、気道炎症を軽減するための吸入コルチコステロイドなどがありますが、これらの治療法では喘息患者の約40%において症状を十分にコントロールできていません。

最近、喘息のコントロールとしてスパイスの一種のニゲラ・サティバ(ブラッククミンシード)が有効であるという報告が複数あります。

中国の重慶市にある通梁区人民病院では、これまでに報告された4編の関連論文のシステマティックレビュー＆メタ分析(Postepy Dermatol Alergol, 2021, 38(4), 561-565)を実施し、喘息コントロールのためのニゲラ・サティバサプリメントの有効性を標準化平均差(SMD)を用いて評価しています。

その結果、ニゲラ・サティバの補給は、対照群に比べ、喘息のコントロール状態を評価するACTスコアのSMDが＋0.50、閉塞性換気障害を判定する指標となるFEV1のSMDは＋1.84と有意な増加をしましました。

なお、標準化平均差(SMD)とは、統計学において効果の大きさを評価するための指標で、ニゲラ・サティバ摂取群の平均値とプラセボ摂取(対照)群の平均値の差を標準偏差で割ったもので、絶対値が0.1未満では両群に差がない、0.2前後では小さな効果、0.5前後では中等度の効果、0.8前後では大きな効果、1.0以上では非常に大きな効果とされ、＋は高める(増やす)効果、－は下げる(減らす)効果を表します。

イランのビルジャン医科大学によるニゲラ・サティバの喘息への効果に関する総説(Physiol Pharmacol, 2022, 26(2), 119-126)で、ニゲラ・サティバは喘息コントロールテストや肺機能検査を改善し、咳や喘鳴などの呼吸器症状を軽減すると述べています。

また、ニゲラ・サティバは、図に示すように、高まっているインターロイキン-4(IL-4)や腫瘍壊死因子α(TFN-α)などの炎症誘発性サイトカインの血清値を低下させる一方で、IL-4と拮抗するインターフェロン-γ(IFN-γ)の血清中への産生を増加させて、気管支平滑筋の収縮を抑えて、喘息症状を和らげます。

これらの事から、ニゲラ・サティバの補給は喘息のコントロールに有効である可能性が明らかになりました。

最近の米国のコロンビア大学による無作為化プラセボ対照二重盲検での臨床比較試験(Pharmaceuticals [Basel], 2024, 17(12), 15pages)では、軽症から中等症の喘息患者32名を対象に、毎日の喘息治療を維持しながら、生姜エキス1gを一日2回摂取する生姜群とプラセボを摂取する対照群に分け、2ヶ月間続けたところ、開始から28日目までに、喘息コントロールテスト(ACT)、2週間の症状想起テスト、ミニ喘息QOL質問表(Mini AQLQ)の3つの異なる指標はいずれも生姜の摂取で有意な改善効果を示しました。

この報告から、生姜を毎日少量摂取することで喘息症状が改善し、炎症が軽減することが分かりました。

以上より、軽症から中等度の喘息をお持ちの方は、かかりつけ医と相談し、毎日の喘息治療を維持しながら、ニゲラ・サティバ(ブラッククミンシード)や生姜をサプリメントとして日々、取り入れてみてはいかがでしょうか？