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生姜の「ショウガオール」にはがん予防効果と抗がん剤との相乗効果があります!

平栁要

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テーマ:食と健康

わが国では高齢化が進むにつれて、がんの罹患率が増加しており、一生のうちでがんと診断される確率(2020年)は、男性62.1%、女性48.9%です。

最近、抗がん剤との相乗効果が際立っていると注目されているのが、生姜の主な生理活性成分のショウガオール(Shogaol)です。

生の生姜にはジンゲロールという成分が多く、加熱したり酸性度を増やしたりするとジンゲロールが次第にショウガオールに変化しますが、このショウガオールが抗酸化や抗炎症のほか、強力な抗がん作用をもたらすことが分かったのです。

中国の成都中医薬大学の総説(Chin Med, 2023, 18(1), 21pages)によると、ショウガオールはin vitro(試験管内)実験やin vivo(動物)実験で、非常に優れた抗がん作用を有するだけでなく、がん細胞と非がん(正常)細胞に対する感受性が異なり、がん細胞のみを攻撃するため、毒性の副作用も引き起こさないというのです。

ショウガオールがin vitro(試験管内)実験やin vivo(動物)実験で抗がん作用を示す部位別がんは今のところ、乳房がん、肝臓がん、子宮頸がん、大腸がん、口腔がん、腎臓がん、非小細胞肺がん、前立腺がん、白血病、膵臓がん、悪性黒色腫(メラノーマ)です。

ショウガオールの抗がんメカニズムは、図に示すように、次の①~⑤のプロセスに関連しています。

①小胞体ストレスを誘発させてアポトーシス(がん細胞の自滅)を促進する
②シグナル伝達経路を制御してがん細胞の細胞周期(G2/M期)を停止させて細胞死を引き起こす
③がん細胞内で活性酸素種(ROS)を多量に発現させてオートファジー(がん細胞の排除)を促進する
④がん細胞の浸潤能を高める上皮間葉転換(EMT)を抑えてがん細胞の転移を阻止する
⑤ショウガオールのマイケル受容体が血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の分泌を抑制して腫瘍の血管新生を阻害する

一方、がん治療の現場では、様々な種類の抗がん剤が使用されていますが、副作用や薬剤耐性によって、その有効性や臨床応用が制限されてしまうため、がん治療の際の障壁となっています。

In vitro(試験管内)実験やin vivo(動物)実験の結果ですが、抗がん剤を用いる際の補助手段としてショウガオールを併用すると、一部の抗がん剤の副作用が軽減ないし排除され、薬剤耐性も改善できる可能性があり、良好な相乗効果をもたらします。

ショウガオールとの相乗効果が期待できる抗がん剤として、これまでにシスプラチン(商品名:ブリプラチン/ランダ/アイエーコール)、ゲムシタビン(ジェムザール)、イマチニブ(グリベック)、オキサリプラチン(エルプラット)、フルオロウラシル(5-FU)、パクリタキセル(タキソール)、イリノテカン(ポテシン/カンプト)、ゲフィチニブ(イレッサ)、メトトレキサート(MTX)が知られています。

このように、ショウガオールはがん細胞と非がん(正常)細胞での感受性が大きく異なり、非がん細胞に対して毒性がないか、ほとんどないので、非常に有望な天然の抗がん成分として脚光を浴びつつあります。

また、ショウガオールはジンゲロールとともに、抗がん剤や放射線および術後の悪心・嘔吐を抑える働きもあるため、がん治療中の患者さんの”生活の質”を向上させることもできます。

イランのシャヒド・ベヘシュティ医科大学では6編の臨床比較試験の結果をシステマティックレビュー&メタ分析(Food Sci Nutr, 2018, 7(1), 96-108)によって総合的に評価しました。

その結果、一日あたり1.5gの生姜粉末を2、3回に分けて摂取すると、化学療法(抗がん剤)による吐き気の緩和に効果があることが分かりました。

さらに、がん細胞は健康な人でも一日に約5,000個発生しますが、免疫細胞がこれをもれなく攻撃して死滅させています。

インドネシアのディポネゴロ大学の総説(Front Nutr, 2024, 11, 16pages)によると、ジンゲロールやショウガオールには抗酸化作用や抗炎症作用に加えて、自然免疫と獲得免疫の両免疫応答の調節作用もあるため、免疫機能全体を最適な状態にもってゆく働きがあるので、特に加齢や体質などによって免疫機能が低下してきている人では、日頃からジンゲロールやショウガオールを摂る習慣をつけておけば、がんの予防効果も大いに期待できると思います。

なお、一般的な生姜粉末の100g中のショウガオールの含有量は、凍結乾燥した粉末で1~30mg、加熱乾燥した粉末で10~70mgですが、”生姜博士”の食品医学研究所長が開発した『ウルトラしょうが+温』では長時間の恒温加熱処理によ6-ショウガオールの含有量を430mgまで高めています。

以上のような生姜の主な生理活性成分である”ショウガオール”の抗がんパワーをできるだけ多くの方々に知ってもらい、日本人が生涯で2人に1人が罹り、4人に1人が亡くなるがんの予防や治療補助として是非、役立てていただきたいと思います。

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平栁要
専門家

平栁要(食と健康の専門家)

株式会社食品医学研究所

”食と健康”の専門家として、メディア出演、書籍の出版、企業の顧問、講演など多数。海外で客員研究員として研鑽を積み、世界中の英語論文からエビデンス(科学的根拠)のある信頼できる情報を無償提供しています。

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