ダイエットに最も効果的な食材とは?
厚労省研究班の調査(2022)で、65歳以上の高齢者約3,603万人のうち、軽度認知障害(MCI)の人が559万人(15.5%)、認知症の人が443万人(12.3%)となっています。
今回、記憶力を高める市販のサプリメントのエビデンス(科学的根拠)の信頼性について、米国のセントルイス大学が調査した結果(CNS Drugs, 2023, 37(9), 20pages)を紹介いたします。
それによると、米国で「記憶力を高める」サプリとして販売されている103商品には18種類の成分の少なくとも1種類の成分が含まれているそうです。
これら18種類の成分のうち、「記憶力を高める」というエビデンスに説得力が認められなかった成分として、アポエクオリン(クラゲのアポたんぱく質)、コエンザイムQ10(脂溶性のビタミン様物質)、コーヒー抽出物(クロロゲン酸などのフェノール化合物)、緑茶&L-テアニン(カテキン&アミノ酸の一種)、n-3系脂肪酸(EPA、DHAなど)、ビタミンB6、ビタミンB9、ビタミンB12が挙げられています。
また、結果がまちまちであった成分として、カルニチン(脂質代謝関与のビタミン様物質)、イチョウ葉抽出物(ケルセチンなどのフラボノイドとギンコライドなどのテルペノイド)、フペルジンA(アルカロイドの一種)、ビタミンD、ビタミンEが示されました。
そして、「記憶力を高める」という説得力のあるエビデンスを有する成分として、アシュワガンダ(ナス科のハーブで副作用が強いため日本では医薬品扱い)、シチコリン(ホスファチジルコリンの生合成過程で生成される中間体で日本では医薬品)、ターメリック(クルクミン)、生姜(ジンゲロールやショウガオール)、ヤマブシタケ(エリナシン類やヘリセノン類を含むキノコ)、ホスファチジルセリン(大豆から抽出されるリン脂質)が挙げられています。
食品医学研究所では、「記憶力を高める」というエビデンスを有するアシュワガンダとシチコリンを除く成分について、そのエビデンスを精査したところ、ターメリック(秋うこん)の主な生理活性成分であるクルクミンが6編の関連論文のシステマティックレビュー&メタ分析(Phytother Res, 2019, 33(3), 524-533)において、アルツハイマー病の症状を改善する効果は弱いが高齢者の記憶力(特に、しりとりなどの作業記憶とその処理速度)を著しく改善する効果があることが分かりました。
なお、クルクミンは図に示すように、脳神経の様々な部位の諸機能へ働きかけて、記憶力を高めます。
また、生姜がアルツハイマー病や認知障害を改善するという総説(Biomed Pharmacother, 2021, 133, 13pages)の中で、4編のランダム化臨床比較試験で生姜が記憶障害や認知障害を改善することが述べられています。
一方、日本で記憶力の向上で機能性表示されている代表的な成分として、イチョウ葉抽出物、EPA&DHA、大豆由来ホスファチジルセリン、パコパサポニン、GABA、ビフィズス菌、茶カテキン&L-テアニン、ホヤやホタテまたは鶏由来プラズマローゲン、クルクミンなどがあります。
日本での機能性表示成分において、クルクミンに次いで効果が期待できそうな成分はエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)に代表される長鎖多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)で、78編の関連論文のうち、34編(43.6%)が肯定的な認知効果(Ageing Res Rev, 2023, 85, 17pages)を示しています。
イチョウ葉由来抽出物については、これまでの23編の関連論文の総合評価で、血管性認知障害(VCI)者の認知機能を改善する効果(Oxd Med Cell Longev, 2021, 18peges)はありますが、特に標準化されたイチョウ葉抽出物EGb761を用いた場合に認知機能を改善する効果が高い(J Alzheimers Dis, 2015, 43(2), 589-603)ようです。
結論として、記憶や認知機能の向上ないし改善には、ターメリック(秋ウコン)の主な生理活性成分のクルクミンが最もおすすめですが、そのままでは腸での吸収が悪く、代謝速度も速いため生体内利用率が低いという難点があり、これを改善するためには黒コショウの主な生理活性成分のピペリンや大豆由来のレシチンを少量加える必要があります。
そして、米国では青魚やその缶詰などを食する習慣があまりないせいか、説得力がないとされたn-3系脂肪酸(EPA、DHA、エゴマ油、アマニ油など)ですが、これは日本(語)での論文が多いことによるせいと考えられ、当研究所ではクルクミンと生姜に加えて、n-3系脂肪酸を「記憶力を高める」食品ないしサプリとして少量を頻繁に摂ることをおすすめします。
なお、95%クルクミンに少量のピペリンとレシチンを加えた「高吸収型ウコンCURC95+」やショウガオールの含有量を増やした「ウルトラしょうが+温」は食品医学研究所の直営店『エビデンスショップ』などで販売しておりますのでご利用ください。