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【令和のブラック企業】入社わずか数日で新入社員が退職代行サービスを利用する会社の共通点 | アックスラーニング

岩崎重国

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テーマ:#労務問題 #新卒採用 #退職代行

退職代行サービスで知られるモームリ公式Xは3日、同日に各企業の2025年度新卒20人から退職依頼があったことを発表しました。その主な退職理由を簡単に整理してみると以下のようになりました。

▼研修内容について
・10時間を超える研修でその間、休憩時間なし
・食事の時間はあるが、その食事すら早く食べるように催促される
・食事以外での水分補給禁止
・家族、友人と連絡を取らないように命じられる
・利き手を左から右に直すように指示が出る
・3時間の講義のあと、その内容を細部までそのまま思い出してそのまま書きおこす課題がある
・入職前の研修がありマナーやコミュニケーションなどの5時間ほどの研修で講師の方の脅しのような言葉、看護学生と社会人は違うとの言葉があり自信を無くしてしまった

▼労務問題
・勤務時間外で掃除を命じられる
・いくつもの辞書を持たされ、エレベーターの使用は禁止され、8階まで階段で移動をさせられる
・社長が入社式の最中に新卒社員ともめて、みんなの前で怒鳴ったことに加え、廊下に出して「なめてんのか」と説教していた

これらの事象は「まじか・・・」「ありえん・・・」と驚くばかりの内容ですが、おそらく当該企業は問題は無いものと思って実施しているのでしょう。恐るべき認識ギャップですね。そこで、新人がすぐにやめる会社の問題と新入社員研修等における問題を解説したいと思います。

1.モームリ(退職代行サービス)を利用した人が就職した会社の傾向

退職理由を見ると、上記企業では「研修」と称した過酷な環境、人権侵害まがいな行為が散見されます。10時間を超える休憩なしの研修、食事時間さえ短時間でと催促される環境、水分補給の禁止といった基本的な生理的欲求さえ満たせない状況が報告されています。さらに、「利き手を左から右に直す」「3時間の講義内容を細部まで書き写す」といった、研修とは名ばかりの非合理的な試練が課されています。

こうした行為は単なる「厳しい指導」の域を超え、意味のないしごき、若手いじめ、嫌がらせに該当するのではないでしょうか。「新入社員は我慢するもの」「苦労して一人前になる」とでも思っているのでしょうかね?今なお一部の企業文化にこうした思想が根付いていると知るだけで恐ろしさを感じます。

2.新入社員へのパワハラまがいな研修がなぜ起きているのか?

次に、こうしたパワハラまがいな、しごき、若者いじめのような研修がおこっている背景を整理してみたいと思います。

▼「人権軽視」が常態化する労働環境
10時間超の休憩なし研修、水分補給禁止、家族連絡の禁止など、基本的人権を侵害を侵害とも思わない企業の存在が実際にあるという事・・・
例:左利き矯正指示は「個性否定」、階段8階移動は「合理性の欠如」と捉えられる

▼パワハラ体質が染みついた組織文化
入社式での公開叱責(「なめてんのか」発言)、脅迫的な研修指導が心理的安全性を破壊している。

▼非効率な業務設計、メンタルヘルス軽視の構造による過重負荷
3時間講義の丸暗記課題、辞書複数冊持ち運びなど、生産性という概念の欠如した研修設計者が存在し、新入社員のモチベーションを削ぐ。むしろ、この研修を黙って耐えたり、思考停止で文句を言わなくなったりした社員を意のままに操ろうとする一種のマインドコントロールとそれによる奴隷社員の選抜を意図しているような気さえしてしまう。
背景:デジタルネイティブ世代は「意味のない作業」に特に敏感。

3.パワハラめいた新入社員を無くすために

▼労働環境の透明化
・研修スケジュール、独自ルールの事前開示(休憩時間明記)
・SNS連絡制限が必要であるならば、その根拠説明する
・研修ルールを新入社員に提示する際、その合理的根拠を示し、社員からも意見や反論を募る

▼研修企画者への「共感力トレーニング」
・会社の「しごきと思っていないしごき」や「嫌がらせとは思っていない嫌がらせ」を外部機関に検証してもらう
・パワハラ防止研修に加え、Z世代向けコミュニケーション手法(例:フィードバックは「事実+提案型」)を習得させる
参考:経済産業省「未来の職場対話ガイドライン」(2024年改訂版)

▼採用プロセスの「リアリティショック緩和」
・職場体験VRの導入(飲食チェーン「A社」は接客シミュレーターで内定者離脱率半減)
・求人票に「ストレスチェック項目」を追加(例:階段移動の有無)

▼メンタルセーフティネット構築
・入社直後は産業医面談を義務化(某製造業の事例では精神疾患発症率の減少があった)
・24時間AIカウンセリングチャットの導入

まとめ:
これらの退職理由は、単なる「若者の忍耐力不足」ではなく、企業側の「時代錯誤」を示す警鐘です。特にZ世代は「労働は人生の一部」と捉え、不合理な慣習を「自己犠牲」で乗り越える価値観を持ちません。

重要なのは、「法律遵守」から一歩進んだ「倫理的経営」への転換です。例えば「10時間研修」が合法でも、生産性工学の観点から集中力持続時間(平均90分周期)を無視した設計は非合理です。企業は単に「ブラック企業」レッテルを避けるのではなく、「なぜそのルールが必要か」を世代を超えて議論するダイアログの場が不可欠です。

2025年度新卒の声は、働き方改革の「次のステージ」を示しています。彼らが求めるのは単なる福利厚生ではなく、「一個人として尊重されること」。これを実現する企業こそが、AI時代に真に持続可能な人材戦略を築けるでしょう。

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岩崎重国
専門家

岩崎重国(CSコンサルタント)

アックスラーニング株式会社

都内および主要都市の上場企業、外資系企業等から組織開発、CS戦略コンサル、カスハラ対策、サービス調査等の依頼を長年、受けている。この業務経験・実績から、№1を目指す企業の社員研修、組織開発を支援する。

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