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【令和のブラック企業】退職代行から「ブラックな労働環境」を簡単に整理する | アックスラーニング

岩崎重国

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テーマ:#労務問題 #新卒採用 #退職代行

新たなスタートを切った新社会人がほっとしているであろう今朝。4月1日から退職代行を頼んだ人々や退職代行を利用される会社に関する衝撃的なネット記事が飛び込んできました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c91f88b30e6bae2b775abdff7799cda4593ce9ae?page=1
そこで、このご時世にもまだある採用時のミスマッチやブラック企業の実態を退職代行を利用された人の声をもとに整理したいと思います。

1. 退職代行サービスの急増が示す「労働環境の崩壊」

株式会社アルバトロスの調査によると、2024年上半期に退職代行を利用した企業は23.2%に達し、3年で7%増加。特に衝撃的なのは、1社で100回以上利用されたケースや、新卒社員が入社初日に依頼する事例です。これは単なる「離職率の高さ」ではなく、組織的な構造問題を示しています。

▼業種別ランキングが暴露する「危険業界」

  • 人材派遣会社(100回以上)
  • コンビニチェーン(65回)
  • 運送会社(55回)
  • 自動車販売(49回)

上位企業に共通するのは「長時間労働」「低賃金」「キャリア展望の欠如」です。特に人材派遣業界の異常性が際立ち、上位40社中16社が派遣会社というデータは、労働者保護の限界を露呈しています。

2. 新入社員が3日間で28件依頼!「採用詐欺」の実態

2025年卒の新入社員が入社3日間で28件の退職代行を依頼した事実は、深刻な「採用時の情報非対称」を暗示します。多くの企業が「福利厚生充実」「成長機会豊富」と謳いながら、実際には:

  • 説明会と実態の乖離:残業時間の過少申告
  • パワハラ体質の隠蔽:上司の指導方針を事前説明せず
  • キャリアパスの虚偽:配置転換の自由度を誇大表現

これらは「心理的契約の違反」に該当し、早期離職を加速させます。特にZ世代は「労働対価の透明性」を重視する傾向が強く、曖昧な説明は信頼を一瞬で失います。

3. 人材派遣会社の「二重搾取構造」が生む地獄

退職代行利用の4割を占める派遣業界の問題は、「派遣元-派遣先-労働者」の三角関係に起因します。
▼構造的な課題
板挟みリスク:
労働者が待遇改善を求めても、派遣元は「派遣先と相談を」、派遣先は「派遣元の指示で」と責任転嫁。
収益モデルの矛盾:
「人材=商品」のビジネスモデル上、離職率低下は直接的な収益減につながる。
ある派遣会社部長の「本意でなくても引き止めざるを得ない」という証言は、システム全体の欠陥を物語ります。

4. ブラック企業が蔓延する「3つの経営悪習慣」

▼離職を生む組織風土の特徴
上層部への報告遮断:
現場の声が経営陣に届かず、ハラスメントが常態化。
短期的利益優先:
人件費削減による過重労働で、中長期的な人材育成を軽視。
同調圧力の強化:
「辞める=裏切り者」という風潮が、退職の心理的ハードルを上昇。

5. 人事部門が取り組むべき「予防策」

▼採用プロセスの改善例
リアルな職場体験:
3日間の試勤制度導入で、実際の業務負荷を可視化。
数値データの開示:
過去3年の平均残業時間・離職率を面接時に提示。
匿名アンケートの活用:
現役社員の本音を採用サイトで公開し、情報の非対称性を解消。

▼離職防止策
エグジットインタビュー義務化:
退職者全員と人事部が直接面談し、改善点を経営会議で報告。
第三者委員会の設置:
ハラスメント相談を外部機関に委託し、内部隠蔽を防止。

6. 労働者が取るべき「自己防衛術」

▼入社前のチェックリスト
グレーな求人広告の見抜き方:
「やる気のある方歓迎」→ サービス残業の暗示
「フレックスタイム制」→ 実質的に定時退社不可
企業調査の必須ツール:
厚生労働省の「労働条件総合サイト」や口コミプラットフォームの活用。

▼権利保護の具体策
証拠収集の重要性:
パワハラ発言は録音、メールは保存(※合法範囲内で)。
労働基準監督署の活用:
退職代行を使う前に「助言指導」を依頼可能。

7. 社会全体で考える「次世代の働き方」

最終的な解決には、「離職=個人の責任」から「組織の責任」へのパラダイムシフトが必要です。具体的には次の取り組みが考えられます。

▼ESG経営の推進:
人権デューデリジェンスを上場企業に義務化(EUサプライチェーン法を参考)。
ジョブ型雇用の拡大:
職務内容を明確化し、無限定なサービス残業を根絶。
テクノロジーの活用:
労務管理AIによる残業時間のリアルタイム監視。

まとめ:
退職代行サービスは「労働者の最後の砦」であってはなりません。データが示すのは、従業員が声を上げられずに退職代行に頼らざるを得ない「沈黙のSOS」です。企業はこの事実を「恥」ではなく「改革の契機」と捉え、透明性ある労務管理へ転換する時です。働く全ての人にとって、退職代行が「過去の遺物」となる社会を私たちは目指すべきでしょう。

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岩崎重国
専門家

岩崎重国(CSコンサルタント)

アックスラーニング株式会社

都内および主要都市の上場企業、外資系企業等から組織開発、CS戦略コンサル、カスハラ対策、サービス調査等の依頼を長年、受けている。この業務経験・実績から、№1を目指す企業の社員研修、組織開発を支援する。

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