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新入社員が経験するリアリティショックとその対策 ~2025年4月入社の皆さんへ~

岩崎重国

岩崎重国

テーマ:人事;新入社員;人材育成;新卒採用

新しい環境に飛び込むことは、期待と興奮に満ちています。しかし、この春、大学等を卒業し新社会人として会社に入る皆さんが入社後に、入社前に抱いていたり聞いていたりしたことと実際の違いに直面し、そのギャップに精神的なショックを受けることがあるかもしれません。これを「リアリティショック」と言います。このリアリティショックは、新入社員に限らず新たな一歩を踏み出した方の多くが経験する問題です。
本記事では、2025年4月に入社する新入社員の皆さんへリアリティショックに関するアドバイスと、企業の人事担当者や先輩社員が新人を効果的にフォローするための方法をご紹介します。新入社員のリアリティショックを未然に防ぎ、充実した社会人生活をスタートさせるためのポイントを押さえましょう。

1.新入社員が経験するリアリティショックの実態

「入社前に聞いていた話と違うかも…」 「想像していた仕事と全然違う…」
そんなギャップに戸惑う気持ち、それは「リアリティショック」です。これは多くの新入社員が経験するものですが、その原因は様々です。いわゆるブラック企業で入社前は「残業時間0」と聞いていたにも関わらず、入社初日から23時まで働かされた、なんてことがあればリアリティショックどころではないですよね。他には、入社前に「営業職は一日に数時間はテレアポをしている」とは聞いていたものの、3時間も電話をかけ続ける仕事に自分は向いていないと気づいたとなれば、これは聞いていた話と違いは無いものの実際の仕事が自分では出来なさそうだといった自分自身の中でのギャップもあります。

筆者は、企業の人事部等がお客様になりますので、たくさんの企業の事例を聞いています。ですので、リアリティショックが企業の問題であったり新入社員自体の問題であることも良く知っています。でも、ご安心ください!リアリティショックは決して乗り越えられない壁ではありません。

なぜ「リアリティショック」が起こるのか?

リアリティショックとは、入社前に抱いていた理想や期待と入社後の現実とのギャップによって生じる心理的なショックのことでしたよね。もう少し具体的に例を挙げると、以下のようなケースをよく見かけます。

・仕事内容のギャップ: 創造的な仕事だと思っていたのに、実際は地道な事務作業が多かった。
・人間関係のギャップ: 温かい雰囲気の職場だと思っていたのに、実際はドライな関係性だった。
・企業文化のギャップ: 自由な社風だと思っていたのに、実際は厳しい規則が多かった。
・成長機会のギャップ: スキルアップできる環境だと思っていたのに、研修制度が整っていなかった。

特に最近では、「成長機会のギャップ」がよく指摘されます。上司はパワハラを恐れて叱れず、成長できそうな厳しい仕事も与えてくれないので早々に退職し、より魅力的な会社へと転職するケースがありますね。他にも、入社してから数カ月たつと、大学時代の同級生と会社比較をしてしまい、「あいつの会社はボーナスが2か月分だったのに・・・俺は5万円だけ・・・」等、これも新人の早期退職の隠れた理由の一つです。入社後2年以内で退職する方は、他社比較をしてより良い会社へと躊躇なく転職している昨今です。

リアリティショックは、決して新入社員だけの問題ではない

これらのギャップは、入社前の情報収集不足や、企業側の情報発信不足などが原因で発生することがありますが、そもそもリアリティショックを引き起こしてしまう理由は受け入れ側企業の人事や各部署の考えが古い体質を引きづっていることもあるようです。そうですよね、転職しキャリアアップ、年収アップさせたことが無い人事部の方に「今の会社よりも成長する機会が欲しい」という上昇志向の人の気持ちは分かりにくいかも知れません。その理解不足がリアリティショックを招いていることもあります。

2.新入社員がリアリティショックを乗り越えるためのポイント

1. 期待と現実の違いがあることを理解する、予想できる
人間関係でも些細な食い違いやギャップが生まれるように、入社前に抱いていた理想と実際の職場環境や業務内容にギャップがあってもおかしくはありません。ご自身の期待が過剰であったり、見込が甘いことだってあるでしょう。これは自然なことなので、入社前に「完璧な職場」を想像しすぎず、多少の違いがあると理解しておきましょう。

2. 先輩社員や上司と会話ができる「あなた」になる
最初は慣れないことが多く、疑問もたくさん湧いてくるでしょう。その際、自ら勇気を出して遠慮せずに先輩社員や上司に質問し知識を吸収する姿勢を持ち続けてください。コミュニケーションが円滑になることで、不安も解消されますし、その良好なコミュニケーションは会社や上司・先輩が率先するだけでなく「あなた」も皆さんから愛され助けてもらえるようになることは必要です。

3. 小さな成功を積み重ねる
初めから大きな成果を上げようとするのではなく、小さな達成感を積み重ねることが大切です。これにより、自信を持ち続けることができ、モチベーションの維持にもつながります。はじめは成長が感じられない毎日が続き嫌になることもあるでしょう。しかし、人生はこの成長が見えない中でも、自分を信じ、何か変化が起きそうな自分に期待し、毎日を積み重ねていく先にあるのです。

4. フィードバックを受け入れる
会社からのフィードバックは自身の成長に欠かせない要素です。ポジティブな評価だけでなく、改善点も前向きに捉え、次のステップへ活かす意識を持ちましょう。批判や指摘、アドバイスを素直に受け入れられない人は不幸な人生を歩むかもしれません。厳しい指摘やアドバイスはあなたへの人格を否定しているのではないのです。この点に気づかず、アドバイスを非難と歪んだ受け止め方をし職を転々を変え、30歳になるころには転職先がなくなる方もいる様です。

5. 焦り過ぎず、自分のペースを保つ
新しい環境に早く慣れたいという気持ちから焦ってしまうこともありますが、自分なりのペースを大切にし、無理をしないように心掛けましょう。筆者も得意なこともあれば、苦手なことうまくできないことは多々ありました。うまくできない自分を許し、甘やかし、「いつか何とかなる」と希望を忘れずリフレッシュできれば絶対に大丈夫です!

先輩たちがリアリティショックを克服できた方法

・適応期間は誰にでもあります。新入社員 適応期間として、最低3〜6ヶ月は様子を見る心構えを持ちましょう。
・職場の人間関係構築のコツ:
❶先輩社員に積極的に質問する
❷ランチタイムなどの非公式な交流の場に参加する
❸社内イベントに積極的に参加する
❹同期との情報交換を大切にする
・ ストレス管理の方法を確立する~新卒のメンタルヘルスを守るために
❶趣味や運動でストレス発散する時間を確保する
❷休日は仕事から完全に離れる時間を作る
❸睡眠、食事、運動のバランスを意識する
とにかく寝ることは本当に大事です。精神的に病んでしまう方は、入眠できず明け方までスマホなどを見ている日々を繰り返しているといった話も聞きます。メンタルを元気にする最良の方法は、寝ること!つらい時は寝る、悩むなら寝る!そして、できれば湯船につかって体をリセットする様に。自宅ではシャワーしか浴びない方もいると思いますが、そういう方は週末に温泉などへ行ってみましょう。
❹困ったときは一人で抱え込まず誰かに相談する
・勉強しよう!業界・職種の知識を深める
❶業界専門誌や書籍を読む
❷オンライン講座や社内研修を活用する
❸先輩社員の仕事を観察し学ぶ
❹業界セミナーやイベントに参加する

3.人事・先輩社員の方へ:リアリティショックを防ぐ方法

新入社員 サポート体制の構築:
・メンター制度やバディ制度の導入
・定期的な1on1ミーティングの実施
・ストレスチェックや健康相談の仕組み作り
・同期同士のコミュニケーション促進
・段階的な業務割り当て

新人教育 スモールステップ(ベイビーステップ)方式:
・難易度や責任を段階的に上げていく業務設計
・早期に達成感を得られる小さなタスクの割り当て
・明確なフィードバックとフォローアップ
・失敗しても安全に学べる環境づくり
・オープンなコミュニケーション文化の醸成

職場 コミュニケーション 改善策:
・質問や相談がしやすい雰囲気作り
・新入社員の発言や提案を尊重する姿勢
・定期的なフィードバックミーティング
・部署や役職の壁を超えた交流の機会

4.事例から学ぶ:リアリティショックを最小化した企業の成功例

事例1:シャドーイング研修
新入社員は入社後2週間、先輩社員に「影」のようについて回り、実際の業務を観察します。この期間は成果を求められず、質問と学習に集中できます。結果、新入社員 早期戦力化に成功し、1年目の離職率が業界平均より減少しました。

事例2:90日プラン
入社後90日間の目標と学ぶべきことを明確にした計画書を新入社員と上司が共同で作成。週次で進捗を確認し、適宜調整します。この新入社員 目標設定 90日プランにより、期待値のギャップを早期に解消し、3年以内の離職率が低下しました。

事例3:リバースメンタリング
若手社員が年配の管理職にデジタルスキルや最新トレンドを教える「リバースメンタリング」を導入。世代間の相互理解が深まり、新入社員の「話を聞いてもらえない」というフラストレーションが大幅に減少。職場 世代間ギャップ 解消に効果を発揮しています。

事例4:失敗事例共有会
月に一度、先輩社員が自分の失敗談と克服方法を共有する場を設けています。新入社員は「自分だけが苦労しているわけではない」と安心感を得られ、新社会人 失敗 乗り越え方を学ぶ機会になっています。

事例5:現実体験型インターンシップ
採用段階から実際の業務に近い体験ができるインターンシップを実施。美化せず、タフな状況も含めて体験してもらうことで、入社後の就活 現実 ギャップを大幅に減らすことに成功しています。

リアリティショックは、誰もが経験する可能性のあるものです。しかし、事前に準備し、積極的に行動することで、乗り越えることができます。新入社員の皆さんは、この記事を参考に、積極的にコミュニケーションを取り、目標を再設定し、自分自身の成長を楽しみましょう。
人事担当者や先輩社員の皆さんは、入社前後の丁寧なフォローで、新入社員の不安を解消し、成長をサポートしましょう。新入社員と企業が一体となって、リアリティショックを乗り越え、最高のスタートダッシュを切れることを願っています!

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岩崎重国
専門家

岩崎重国(CSコンサルタント)

アックスラーニング株式会社

都内および主要都市の上場企業、外資系企業等から組織開発、CS戦略コンサル、カスハラ対策、サービス調査等の依頼を長年、受けている。この業務経験・実績から、№1を目指す企業の社員研修、組織開発を支援する。

岩崎重国プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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