有名企業の「カスタマーハラスメント対応企業マニュアル」を分析!マニュアル作成時の注意点と業界ごとの特徴 | アックスラーニング
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、企業が提供するサービスや製品に対して、顧客から不適切な要求や攻撃的な言動を受ける状況を指します。カスタマーハラスメントが業務の妨げになり、従業員の精神的健康に悪影響を及ぼすことがあるため、企業は適切なカスタマーハラスメント対応策を講じる必要があります。カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成する上で、多くの企業が頭を悩ませるのが「どこからがカスハラになるのか?」つまりカスハラ認定という点。 この「どこから」を定めるためには「カスハラの段階(レベル)」を自社のカスハラに合わせて作ることをお勧めしています。
目次
1.カスハラ認定基準に盛り込む要素を明確にする
カスタマーハラスメント対応研修やカスタマーハラスメント対応企業マニュアルの中核となるのは、カスハラの明確な基準を設けることです。以下のポイントを考慮に入れて、基準を設定しましょう。
攻撃的な言動: 脅迫的な言動や侮辱的な発言の有無
不合理な要求: 過度に非現実的な要求や、一方的な要求の有無
持続的な圧力: 繰り返し行われる圧力やつきまといな行為の有無
2. カスハラ認定の判断基準を定性化定量化する
具体的な数値や状況設定を用いた判断基準を設けることで、スタッフが一貫性のある判断を下すことができるようにします。
言葉の強さ: 指定するカスハラワードやフレーズのリストを定める
頻度: 指定するカスハラワードやフレーズ、行為が、その場で、何回以上繰り返されたか
累積: 指定するカスハラワードやフレーズ、行為が、その後も、何回以上繰り返されたか
カスハラ認定の場合、「同じ苦情の過度な繰り返し」「業務時間外の執拗な連絡」「非合理的な要求の継続」「謝罪要求の過剰な繰り返し」等といった事象を、何回以上したら、何日間にわたって、何時間おきに、と具体的に定めることが基準制定のポイントとなり従業員も迷うことなく判断できるようになります。
3.具体的な事例を段階的に提示する
従業員がイメージしやすいよう、多様なカスハラの事例と判断基準を提供します。事例をもとにディスカッションを行うことで、具体的な対応策を共有します。以下、段階ごとに示したカスタマーハラスメント対応企業マニュアルのカスハラ事例と判断基準の一例です。下記の例は、クレームとカスハラの判断を簡単に段階的に示していますが、この様にその状態をレベル別に分けてだんだんしていくようにマニュアル化させると良いです。
段階 | 言動の特徴 | 対応 | マニュアルへの記載例 |
---|---|---|---|
レベル1:一般的クレーム | 不満や要望を伝えている。 | 丁寧なヒアリング、事実確認、謝罪、代替案の提示など、通常の顧客対応を行う。 | ●お客様の言葉に耳を傾け、共感を示しましょう。●事実関係を丁寧に確認し、誤解があれば訂正しましょう。●状況に応じて謝罪し、代替案を複数提示しましょう。 |
レベル2:迷惑行為 | 大声で怒鳴る、同じ要求を繰り返す、長時間にわたる拘束など、周囲に迷惑をかける行為が見られる。 | 回数や時間の制限を設ける、別室への誘導、対応者の交代などを検討する。 | ●お客様の話し方や態度がエスカレートしてきた場合は、一度冷静になっていただくよう促しましょう。●「○○分以上は対応致しかねます」など、時間制限を伝えることも有効です。 ● ・状況に応じて、上司や別の担当者と交代しましょう。 |
レベル3:ハラスメント行為 | 暴言、脅迫、誹謗中傷、身体的接触など、明確なハラスメント行為が見られる。 | 対応を中断し、上司に報告する。 場合によっては、警察や弁護士に相談する。 | ●「これ以上、そのような発言を続けられる場合は、対応を中止させていただくことになってしまう」と伝えましょう。 ●安全確保を最優先し、状況に応じて退席や警察への通報などの対応を取りましょう。 |
4. 一次対応と報告のプロセスを明確化する
カスタマーハラスメント対応企業マニュアルには、即時対応の手順と内部報告システムを詳細に記載します。これには以下を含めます。
初期対応のガイドライン: どのように顧客に対応すべきか、何を言うべきか、もしくは言ってはいけないのか。
報告手順: 上司や管理部門へどのように報告するのか、またそのタイミングはどうするか。
5. 法的基準と社内規定との適合性
企業内で設定したカスタマーハラスメント対応企業マニュアルやカスハラ認定基準が、法律や業界のガイドラインに基づいていることを確認しましょう。法的な基準と合致しているかを定期的に確認するプロセスを設けると良いでしょう。
6.カスタマーハラスメント対応企業マニュアルの要素
・認定フロー
・一次判断(現場レベル)
・二次判断(管理職レベル)
・最終判断(経営層レベル)
・対応手順
・初期対応
・エスカレーション
・法的対応
・記録管理
・予防措置
・警告表示
・利用規約の整備
・防犯カメラ等、監視記録システムの設置
・録音の実施
■具体的な認定プロセス
・初期段階
・行為の記録
・証拠の収集
・上司への報告
・判断段階
・複数人での検討
・外部専門家の助言
・法的リスクの確認
・対応決定
・警告
・利用制限
・法的措置
■事後対応とフォローアップ
・従業員ケア、メンタルヘルスケア
・休暇付与、カウンセリング
・再発防止
・マニュアル改訂
・カスタマーハラスメント対応研修強化
・設備改善
カスタマーハラスメント対策企業マニュアルは、「カスハラ認定」を「段階的対応」を軸に作成することがポイントです。 カスタマーハラスメント対応について明確な基準と対応策を明記しカスタマーハラスメント対応研修を講ずることで、従業員が安心して顧客対応できる環境を整え、企業の評判を守ることに繋がります。
◆関連ページ◆
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→ カスタマーハラスメント対応企業マニュアルの事例研究
→ カスタマーハラスメント対応のために知っておきたい関連法律
→ カスタマーハラスメントをしてしまう人の心理
→ カスタマーハラスメント対応策に必須!社内相談窓口の設置
◆講演や研修のご依頼・相談◆
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