呼吸のための筋肉
バランスの知識は歌に役立つ
前回、頭の重さと呼吸についてお伝えしました。
身体はバランスよく自由な状態でなければ、首(咽頭)に負荷がかかり、呼吸も上手く作動しません。バランスが悪い身体では、上手く歌うことなど困難です。そして・・バランスが悪い状態で筋力トレーニングをしても「バランスの悪い筋力」しか付かず、良い結果になりません。
人の目は前方を向いており、生活のほとんどを前向きに行います。
ですから、頭部が前に傾き、傾いた頭部とのバランスを取るために、他の部分が後傾します。また、現代人の多くが酷使している場所は「目」「手」などの上半身です。反面交通網の発達により、歩くことは減り、下半身を使う頻度は減っています。その結果、バランスが
悪くなるのですが、バランスを整えることを、日常的に行なっている人は皆無に等しいでしょう。
つまり・・・大半の人は身体バランスが悪いのです。
全身の骨格標本を観察しよう!
皆さんは「人体骨格標本」を観察したことはありますか?
理科室にあった骨の標本です。
実物大でなくて結構です。是非手に取り、大きさ・構造・機能を確認し動かして観察して頂きたいと思います。
身体の芯である骨格は、人体において「体重を支え、同時に下へ向けて送り伝える」システムの中心です。骨格のバランスが良いと、身体は軽く自在に動かすことが可能です。
身体は関節を動かすことで多くの動作を行います。目的の動作を達成するために、動かさなくてもいいところを動かすクセがあると「無駄な動き」で、筋緊張が起きて疲れやすくなります。
「こんな様子なんだ・・こっちにこう動くんだ・・」
これを知るだけで身体の使い方が変わる方が多くいます。
全身骨格を確認・観察出来たら、いよいよ「バランスのよい身体」に近づく為に、意識する場所を知りましょう。
骨格には体重を支える縦のラインに、バランスをとる6つの場所があります。
・AO関節→頭蓋骨の下端と、第一頚椎が接する部分
・肩関節
・腰椎
・股関節
・膝関節
・足関節
です。
このバランスをとる6つの場所が、上手く機能することが大切です。
意識するだけで変化が生まれる
私のレッスンを受ける前に「他のスクール(トレーナー)で何年もレッスンしたのに上達しなかった」と言う全ての生徒が「バランスについて教えて貰っていなかった」と言います。そして、バランスを整えることを取り組むことで「緊張が解けた」と喜び、上達に向かってストレスなく向かっていきます。
ボイストレーニングは、声に関わるあらゆる悩みにアプローチしますが、総合的に身体バランスを整えることは必須項目なのです。
次回は、バランスを整えつつ取り組む、声の原動力(パワー)である
「呼吸のための筋肉」
をお伝えしたいと思います。