
「AIを使って業務を効率化したい。でも、何から始めればよいかわからない」。そんなときは、製品を選ぶ前に、現場の仕事を一つ挙げてみてください。
大切なのは、AIを導入すること自体ではなく、仕事の負担を減らすことです。
今回は、主に文章の作成や要約を行う生成AIについて、中小企業の経営者・現場担当者の方が、最初に試す業務を選ぶための考え方をお伝えします。
目次
1.繰り返し発生し、困りごとが具体的な業務を選ぶ
「事務を楽にしたい」だけでは、何を改善したかが見えません。「毎週、案内文のたたき台を作るのに時間がかかる」のように、作業と負担を具体的にします。
例えば、公開済みの商品情報から説明文の案を作る、一般的な問い合わせへの返信文のひな形を作る、個人情報や機密を含まない架空の会議メモを要点ごとに整理する、といった作業は試行の候補になります。いずれもAIに完成品を任せきりにせず、人が仕上げる前提です。
AIを使わない改善も選択肢に
一方、決まった数値の集計や、同じ形式のデータの転記は、表計算の関数や既存システムの連携、決まった手順を実行するマクロなどの自動化で対応できることがあります。手順や帳票を整理するだけで負担が減るなら、AIを使わない改善も有力な選択肢です。
まずは「文章の内容に応じた整理や下書きが必要か」「決まったルールで処理できるか」を分けて考えると、手段を選びやすくなります。
2.人が確認でき、間違いを戻せる業務を選ぶ
生成AIは、もっともらしい文章でも事実と異なる内容を出すことがあります。最初は、担当者が元の資料と照らし合わせて確認でき、誤りがあっても社内で修正できる作業を選びます。
例えば、商品説明文なら、仕様・価格・提供条件を元資料と確認します。返信文のひな形なら、相手への約束や対応期限が勝手に加わっていないかも確認が必要です。
人が判断・承認する範囲を決める
顧客への自動送信、支払いの実行、採用の合否など、誤りが相手や事業に大きく影響する使い方は、最初の試行には向きません。AIが作る範囲と、人が判断・承認する範囲を先に決めておきましょう。
また、確認できる担当者がいない場合は、AIの出力を業務で使う前に、確認方法や業務手順を整えることを優先します。
3.安全に使える材料があり、効果を比べられる業務を選ぶ
最初の試行には、公開情報や架空のサンプルを使います。顧客名、連絡先、契約書、社内の未公開資料など、個人情報や機密情報は、利用条件と社内ルールに基づいて入力してよいと確認できるまでは、AIサービスに入力しないでください。名前を消しただけでは、周辺の情報から個人や取引先を特定できる場合もあります。
実際の業務データを使う段階では、入力してよい情報の範囲、入力内容がAIの学習に使われるかどうかを含むサービスのデータ利用・保存条件、利用者の権限などを確認し、社内のルールを決める必要があります。
準備・確認・修正まで含めて比べる
効果を見るときは、文章が速く出たかだけで判断しません。入力の準備、内容の確認、修正まで含めた作業全体の時間を比べます。誤りや手直しの量、使う人の負担、利用料や運用の手間も判断材料です。
小さく試し、続けるかどうかを決める
最初から全社に広げる必要はありません。「案内文の下書き」など一つの作業に絞り、担当者と期間、扱う情報、確認する人を決めて試します。
例えば、試行期間を2週間と決め、従来の方法とAIを使う方法で、同程度の作業をいくつか比べます。期間や本文中の業務例は考え方を説明するためのもので、導入実績を示したり、効果を保証したりするものではありません。
始める前に「確認・修正を含めて負担が減るか」「必要な品質を満たすか」といった評価項目を決めておくと、続ける・使い方を変える・やめる、の判断がしやすくなります。手直しに時間がかかるなら、対象業務や指示を見直します。通常の自動化のほうが適しているとわかれば、そちらへ切り替えて構いません。
相談前に整理しておきたい3項目
AI導入の相談では、製品名が決まっていなくても、次の3項目があると検討を進めやすくなります。
- 困っている業務:誰が、どの作業を、どのくらいの頻度で行い、何に負担を感じているか。
- 使う情報と守る条件:どんな資料を扱うか。個人情報・機密の有無、人が確認する必要のある箇所は何か。
- 目指す状態:何の負担を減らしたいか。必要な品質、予算や開始時期の目安はあるか。
初回のお問い合わせでは、顧客情報や機密資料は添付せず、業務の概要を差し支えない範囲でお知らせください。
Miaouでは、システム開発とAI導入支援の両面から、業務に合った方法を考えています。「AIを使うべきか、既存の仕組みの改善で足りるか」から整理したい方は、このページの相談窓口よりご相談ください。


