北九州市の逆線引きについて
前回のコラムでは切土の斜面も危険性があることを書きましたが、今回は「盛土の宅地」について考えてみたいと思います。
住宅を購入する際に利便性や環境など様々な角度から見て検討されると思いますが、意外と考えられていないのが地盤です。たとえば大手住宅メーカーが造成した開発地だから大丈夫だと思っていても、購入する区画が「切土の宅地」と「盛土の宅地」では今後の土地の維持費は大きく変わってしまう可能性があるのです。
やはり問題は「盛土の宅地」。宅地造成等規制法や新都市計画法などの制定や改定により基準がある程度明確になったのですが、盛土の材質や締固め方法など未だに不明確な部分が多く、その内容は施工業者の力量によってかなり変わってしまっているのが現状です。
宅地造成等規制法は1962年に制定されたのですが、それ以前行った工事の中には今では考えられないような酷い施工を行っていた現場があり、その時の造成地は今なお数多く存在しているのです。
見晴らしの良い場所に造成された住宅地は、山や丘の尾根を切り取って谷を埋めることで出来た造成地と考えてほぼ間違いないと思います。ここで注目したいのが谷を埋めた「谷埋め盛土」です。1995年の阪神淡路大震災や2004年の新潟県中越地震、また、2011年の東日本大震災など、大地震では必ずと言っていいほど「谷埋め盛土」で多くの災害が発生しています。
国土交通省の調査によると、全国に存在する大規模盛土造成地は13000箇所と推定され、そのうち大地震時に人家や公共施設等に大きな影響を及ぼすおそれのあるものは約1000箇所と推定されています。
盛土の宅地が全て危険と言うわけではないのですが、地震や豪雨などによって災害となるリスクが高い事だけでなく、擁壁のメンテナンスや何れ造り替えが必要なることで発生する高額な工事費を考えると如何なものかと思います。
最近では地方公共団体より公開されている「大規模盛土造成マップ」で盛土の位置が確認できるようになりました。
同じ造成地でもかなり内容が違う「切土の宅地」と「盛土の宅地」。
あなたならどちらを購入しますか。
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