【新シリーズ:財務支援は“社長の余裕”をつくる】第6回目
仕事を減らしたのに、なぜ経営は楽になったのか
―― MQ会計(BOX会計)が“断る勇気”をくれた瞬間 ――
皆さん、こんにちは。
株式会社飛躍のミカタ武村欽也です。
前回は、
決算書から自社のMQ会計(BOX会計)を1つ作る
というところまで進みました。
数字を「分けて見る」だけで、
経営判断の軸が生まれる。
では今回は、その先です。
そのBOXを使うと、
社長の行動はどう変わるのか。
実際に起きた話をもとに、お伝えします。
「忙しい優良会社」に起きていた違和感
ある建設会社の例です。
・年商:約4億円
・社員数:10名
・工事件数:20件前後
外から見れば、順調。
仕事も途切れません。
しかし社長の口から出るのは、
・いつも人が足りない
・現場が落ち着かない
・将来が見えない
という言葉でした。
売上も利益も出ている。
それでも、経営が楽にならない。
工事別にBOXを作ってみた
そこで行ったのは、
とてもシンプルなことです。
・工事ごとに
・MQ(限界利益)と
・人日(にんにち)
を並べただけです。
すると、
はっきりと差が出ました。
「会社を支えている工事」と「疲弊させる工事」
例えば、こんな結果です。
工事A
・MQ:400万円
・人日:200人日
→ MQ ÷ 人日 = 2万円/人日
工事B
・MQ:300万円
・人日:300人日
→ MQ ÷ 人日 = 1万円/人日
この会社の
人日単価(1人1日あたりの人件費)は
約 1.5万円。
つまり、
・工事A:人を使っても残る
・工事B:使うほど苦しくなる
しかも、
社長が一番「忙しい」と感じていたのは、
この工事Bでした。
社長のひと言で、すべてがつながった
数字を見た社長が、
静かにこう言いました。
「この仕事、
頑張っても報われない構造ですね」
ここで初めて、
・忙しさの正体
・楽にならない理由
・判断できなかった原因
が、数字で説明できたのです。
“断る”のではなく、“選ぶ”という判断
その後、
似た条件の仕事の相談が来ました。
以前なら、
・忙しいけど断れない
・売上は欲しい
そう思って受けていた仕事です。
しかし今回は違いました。
MQ会計(BOX会計)を見ながら、
社長はこう判断しました。
「今回は見送ります。
今の体制では、
他の仕事に人を使った方がいい」
断ったのは、
仕事そのものではありません。
構造の悪い仕事です。
結果はどうなったか
仕事を1件減らした結果、
・売上は一時的に下がった
・しかし現場は落ち着いた
・社員の疲弊が減った
そして何より、
MQは、ほとんど落ちなかった。
むしろ、
・判断が早くなり
・次の仕事を選べるようになり
・社長の表情が変わった
これが、
MQ会計(BOX会計)が
行動を変えた瞬間です。
まとめ
この4回でお伝えしてきたのは、
難しい会計理論ではありません。
・人日を知る
・MQで分けて見る
・BOXで構造を掴む
それだけで、
・忙しさの正体が分かり
・判断の軸が生まれ
・経営が静かに整い始める
という事実です。
MQ会計(BOX会計)は、
・儲けるための会計
・管理するための会計
ではありません。
迷わないための会計。
選ぶための会計。
シリーズの最後に
もし今、
・自社の数字をどう見ればいいか分からない
・判断が感覚になっている
・人を増やすか迷い続けている
そう感じているなら、
それはあなただけではありません。
MQ会計(BOX会計)は、
一人で悩むための道具ではないからです。
このタイミングで、
一度だけ
決算書を“経営判断の視点”で整理してみませんか。



