【シリーズ③:財務の見える化で経営は9割決まる】第2回目
社長、「人日(にんにち)」をどう読んでいますか?
―― 忙しさを、経営判断に変える最初の一歩 ――
皆さん、こんにちは。
株式会社飛躍のミカタ武村欽也です。
建設業の社長と話をしていると、
よくこんな言葉を耳にします。
「人が足りない」
「現場が回らない」
「とにかく忙しい」
では、その**“忙しさ”**を
数字で説明できていますか?
その答えを持っている社長は、
実は多くありません。
今日のテーマは、
建設業経営の土台になる
**「人日(にんにち)」**です。
人日(にんにち)とは何か?
人日とは、
1人が1日働いた量を表す単位です。
・1人 × 1日 = 1人日
・2人 × 5日 = 10人日
・5人 × 10日 = 50人日
ここで大切なのは、
人日は「人数」でも「人件費」でもない
という点です。
人日は、
→ 仕事にどれだけの労働力を使ったか
を測るための“物差し”です。
なぜ建設業経営で、人日が重要なのか
建設業では、
・工事件数
・工期
・現場数
が重なり合って動きます。
「忙しい」という感覚はあっても、
・どの工事に
・どれだけ人が取られ
・それが経営にどう影響しているか
を、言葉にできないことがほとんどです。
この“感覚と数字のズレ”を埋めるのが、
人日という考え方です。
人日を経営判断に使うときの考え方(重要)
人日だけでは、
経営判断はできません。
ここで必要になるのが、
人日単価です。
人日 × 人日単価 = 労務コスト
人日単価を出してみましょう
例えば、
・月給:30万円
・月の稼働日:20日
この場合、
30万円 ÷ 20日 =
1.5万円/人日
これが、
あなたの会社の
**1人1日あたりの人件費(人日単価)**です。
人日単価が分かると、何が見えるのか
同じ売上の工事でも、
人日の使い方で結果は大きく変わります。
工事A
・使用人日:200人日
・人日単価:1.5万円
→ 労務コスト:300万円
工事B
・使用人日:300人日
・人日単価:1.5万円
→ 労務コスト:450万円
この時点で、
・どちらの工事が重いか
・どちらが経営を圧迫しているか
が、感覚ではなく構造で見えてきます。
よくある誤解(ここは押さえてください)
「人日=ひとり1人あたりの人件費ですよね?」
→半分正解で、半分危険です。
・× 人日そのものが人件費ではない
・〇 人日 × 人日単価 = 人件費
人日だけを見ても意味はありません。
必ず人日単価とセットで考える。
これが、
後に出てくる
**MQ会計(BOX会計)**の前提になります。
まとめ(今日いちばん大事なこと)
建設業経営で重要なのは、
・忙しいかどうか
・人が足りるかどうか
ではありません。
「どこに、どれだけ人日を使っているか」
を把握できているかどうかです。
ここが見えないままでは、
・採用
・投資
・受注の判断
すべてが感覚になります。
次回予告(明日)
次回は、
この「人日」という考え方を前提に、
なぜ建設業経営に
MQ会計(BOX会計)が必要なのか
を、構造からお話しします。



