【行政書士DXシリーズ 第1回】
建設業許可業務は、なぜ“時限爆弾”になるのか
―― 行政書士が最初につまずく、見えない負債の正体 ――
皆さん、こんにちは。
行政書士法人QORDiA武村欽也です。
第2回では、
建設業許可は、
行政書士にとって「王道業務」と呼ばれます。
・単発で終わらない
・毎年の年次報告がある
・更新、変更、業種追加へと続く
確かに、経営的には魅力的です。
しかし同時に、
ある性質を持っています。
それは、
受任した瞬間から、
未来の仕事を“確定させてしまう業務”
である、という点です。
この性質を理解せずに受任数を伸ばすと、
建設業許可業務は
静かに事務所の首を絞め始めます。
建設業許可は「申請業務」ではない
多くの行政書士は、
建設業許可をこう捉えています。
「書類が多い申請業務」
しかし、これは入口の話にすぎません。
実態は、
・年次報告(毎年・必須)
・役員変更、資本金変更、本店移転
・国家資格者の有無による業種追加
・5年に1回の更新
つまり、
一社ごとに、
未来の業務が確定していく“管理業務”
です。
ここを見誤ると、
「仕事が増えているのに、なぜか苦しい」
という状態に必ずなります。
他の許認可と決定的に違う点
建設業許可の異常性は、
「量」ではありません。
“時間軸”です。
・今年の年次報告
・来年の年次報告
・3年後の更新準備
・条件未達リスクの管理
これらが、
顧客ごとに、同時並行で進み続ける。
しかも、
・期限はずれない
・失念は許されない
・例外は顧客ごとに違う
この業務特性は、
行政書士業務の中でも突出しています。
なぜ150社前後で破綻が始まるのか
理由はシンプルです。
・150社分の年次管理
・150通りの条件
・150通りの例外
これを、
・人の記憶
・Excel
・経験
で回そうとするからです。
この段階で起きているのは、
仕事量の問題ではありません。
“把握不能”という構造問題です。
怖いのは、破綻が表に出ないこと
この破綻は、
・売上減少
・クレーム
・事故
としてすぐには現れません。
最初に出る症状は、これです。
・提案が止まる
・先回りできない
・「とりあえず目の前の申請」になる
つまり、
建設業許可を“点”でしか扱えなくなる。
この時点で、
建設業許可は
「武器」ではなく「重荷」に変わっています。
第3回まとめ
建設業許可業務が危険なのは、
・難しいから
・量が多いから
ではありません。
未来の業務を確定させる構造を、
人の力で抱え込んでしまうからです。
この構造を理解せずに進むと、
必ず次の壁にぶつかります。
それが、
**「人で回す限界」**です。



