【行政書士 × AI × DX】第5回目
受任数が増えた瞬間に起きる“静かな破綻”
── 150社前後で何が起きるのかを、構造的に掘り下げる──
皆さん、こんにちは。
行政書士法人QORDiA武村欽也です。
建設業許可を主業務にし、
紹介が増え、受任数が伸びてくる。
行政書士としては、
とても順調に見える局面です。
しかし実は、
このタイミングこそが一番危ない。
多くの行政書士事務所が、
「気づかないまま」
経営のバランスを崩し始めます。
今回は、
**受任数150社前後で必ず起きる“静かな破綻”**を
感情論ではなく、構造で見ていきます。
破綻は「忙しさ」ではなく「見えなくなること」から始まる
このフェーズでよく聞く言葉があります。
・忙しくなってきた
・仕事は回っている
・売上も伸びている
一見、問題はなさそうです。
しかし実際には、
・誰のどの案件がどうなっているか
・次に何が必要な顧客は誰か
・期限・条件・例外がどこにあるか
全体が、誰の頭にも完全には入っていない。
これが“静かな破綻”の始まりです。
150社前後で起きる、業務の質的変化
なぜ150社前後なのか。
理由は単純です。
・年次報告が毎年150件
・変更届が不定期に重なる
・更新は5年ごとに集中する
・顧客ごとに条件が違う
この時点で、
業務は「申請処理」ではなく
「状態管理」に変わっています。
しかし、多くの事務所は
やり方を変えない。
ここにズレが生じます。
人を増やしても、解決しない理由
この段階でよく選ばれる選択肢が、
・人を採用する
・パートを入れる
・外注する
しかし、現実はこうです。
・教えるのに時間がかかる
・一人前になるまで1年以上
・結局、最終判断は自分
業務が整理されていない状態で人を増やすと、
管理コストだけが増える。
これは、
個人事業主や小規模事務所にとって
かなり重い負担です。
本当の問題は「仕事量」ではない
多くの人が勘違いします。
「仕事が多すぎるから回らない」
違います。
仕事の“種類”と“状態”が整理されていないから回らない。
・今やるべき仕事
・近いうちに必要な仕事
・将来、確実に発生する仕事
これが見えていないと、
・提案はできない
・先回りもできない
・結局、目の前の申請に追われる
という状態になります。
ここで初めて、DX経営が必要になる
このフェーズで必要なのは、
根性でも、長時間労働でもありません。
「人が覚えなくていい構造」を作ること。
・顧客の状態が一目で分かる
・次に必要な手続きが見える
・判断の前提が共有されている
DXとは、
ITツールを入れることではなく、
経営の前提を
“人の記憶”から“仕組み”に移すことです。
QORDiAが仕組み化に舵を切った理由
私自身、
顧客が増えたことで
この壁に直面しました。
・忙しいのに、余裕がない
・判断が遅れる
・自分しか分からない仕事が増える
このままでは、
成長がそのままリスクになる。
そう判断し、
業務を「人」ではなく
「構造」で回す方向へ切り替えました。
まとめ
受任数が増えること自体は、
問題ではありません。
問題は、
業務の性質が変わっているのに、
やり方を変えないこと。
150社前後は、
行政書士事務所にとって
成長と破綻の分岐点です。
この分岐点で
仕組みに舵を切れるかどうか。
それが、
建設業許可を
「安定した主業務」にできるかどうかを決めます。
次回予告(第3回)
次回は、
「建設業許可業務が“人依存”になる瞬間」
── なぜ優秀な人を採っても回らなくなるのかを掘り下げます。



