【新シリーズ:財務支援は“社長の余裕”をつくる】第3回目
建設業なのに“商業簿記のPL”で経営していませんか?
―― 製造原価計算書がない会社が、なぜ必ず詰まるのか ――
皆さん、こんにちは。
株式会社飛躍のミカタの武村欽也です。
前回は、
「社長はPLだけでなく、BSを見てください」
という話をしました。
今回は、その続きです。
BSを見るようになった社長が、
次に必ずぶつかる壁。
それが、
「このPL、信用していいのか?」
という問題です。
建設業なのに、そのPLは“商業簿記”になっていないか
建設業は、本来工業簿記です。
・工事ごとに原価が発生する
・原価管理が利益を左右する
・「どの工事で儲けたか」が重要
それにもかかわらず、
実際の現場でよく見るのは、
・売上 − 経費 = 利益
・原価が一括処理されている
・工事別の損益が見えない
商業簿記型のPLです。
これは、
建設業の経営判断には使えません。
製造原価計算書がないPLは、地図のない経営
製造原価計算書がないということは、
・労務費が分からない
・材料費が分からない
・外注費の比率が分からない
ということです。
それなのに、
社長はこう言います。
「原価が高くて…」
何が高いのですか?
答えられない時点で、
経営はすでに勘に頼っています。
この状態で起きる“静かな詰み”
製造原価が見えない会社では、
必ず次の現象が起きます。
・赤字工事に気づけない
・値決めが感覚になる
・忙しいのに利益が残らない
そして最終的に、
・人を増やせない
・投資できない
・社長が疲弊する
詰むのは突然ではありません。
静かに、確実に詰みます。
顧問税理士は“計算”してくれているだけかもしれない
ここはあえて厳しく言います。
・決算は出ている
・税金は計算されている
でも、
・経営判断に使えるか
・原価構造が見えるか
は、別問題です。
「税金を計算する人」と
「経営に使える数字を作る人」は違う。
ここを見誤ると、
社長は永遠に数字に振り回されます。
財務支援の役割は「工業簿記に戻すこと」
財務支援とは、
・節税でも
・数字をきれいにすることでもありません。
建設業を、建設業の数字に戻すこと。
・製造原価計算書を持つ
・工事別の損益を見る
・原価のズレに早く気づく
これができて、
初めて経営判断が可能になります。
なぜDXが必要になるのか(ここで初めてつながる)
ここまで読んで、
こう思ったはずです。
「毎工事、これを人の頭で管理するのは無理だ」
その通りです。
・工事が増える
・人が増える
・数字が増える
人の管理能力は、必ず限界を迎える。
だからこそ、
・原価を自動で集計し
・状態を可視化し
・判断材料を揃える
財務DXが必然になる。
まとめ(今日やってほしいこと)
今日はこれだけでいい。
・自社のPLに
製造原価計算書があるか
・工事別に
利益を説明できるか
これができないなら、
経営はまだ“感覚運転”です。
次回予告(第3回)
次回は、
「原価が見えない会社では、なぜ採用も投資も失敗するのか」
財務と採用が直結する理由を扱います。



