【シリーズ③:財務の見える化で経営は9割決まる】第2回目
皆さん、こんにちは。
飛躍のみかた税理士事務所の石山明弘です。
今回は黒字倒産の構造をお伝えします。
黒字なのになぜ倒産?
■ 第3回【利益があるのにお金がない本当の理由】
—— 9割の社長がつまずく“黒字倒産のメカニズム”を
飛躍のミカタ流で解説します。——
「黒字なのに、お金がない…」
「決算は利益が出ているのに、通帳は増えない…」
これは中小企業の社長が
必ず一度は経験する“財務の壁”。
しかし、結論から言うと――
黒字なのにお金がないのは“当たり前”。
むしろ正しい状態。
この言葉に驚く社長は多いですが、
理由を知れば納得します。
黒字と資金繰りは全く別物です。
ここを理解できると、
社長の財務力は一気に跳ね上がります。
■ お金がない理由①:利益と現金は一致しない
利益は「会計のルール」で決まる数字。
現金は「実際の出入り」。
この2つは全く別の世界の生き物です。
例:
● 売上を計上しても、まだ入金されていない
● 経費は発生主義で計上されるが、現金が出るのは後日
● 減価償却は現金が出ていないのに経費になる
つまり、
利益は利益、現金は現金。
頭の中で“袋が2つ”あると考えてください。
■ お金がない理由②:“売掛金”が増えると現金が減る
売上が伸びるほど、売掛金は増えます。
売掛金が増えるということは、
「未回収が増えている」=現金が減る
ということ。
たとえば:
売上が月300万 → 400万に増えた
一見、会社は成長しています。
しかし売掛金の回収が遅ければ
現金はむしろ減ります。
売上が伸びて資金が苦しくなる会社は
このパターンが圧倒的に多い。
■ お金がない理由③:在庫が現金を吸い取っている
製造業・建設業・小売業に多いのがこれ。
在庫とは「現金のカタマリ」です。
在庫が増えるほど、
現金は減っていきます。
利益は出ていても、
在庫に現金が吸い込まれて
手元に現金が残らない。
これが黒字倒産の典型パターン。
■ お金がない理由④:借入金の返済が利益より先に来る
銀行返済は、
利益とは全く関係なく
“毎月必ず”やってきます。
つまり、
● 利益が出ていようが
● 利益が出ていまいが
返済は容赦なく現金を消します。
実はこれが
黒字倒産の一番の原因になることもあります。
■ お金がない理由⑤:社長が知らない間に“固定費”が増えている
これは第2回で解説した通り。
固定費が膨れた会社は、
利益が出ていても現金は残りません。
理由はシンプル。
固定費=毎月の未来への借金
固定費が重いほど未来が苦しくなる。
■飛躍のミカタ流・黒字倒産を防ぐ“3つの対策”
大切なのは、
「利益を増やすこと」ではなく
“お金を残す構造をつくる”こと。
① 回収を早め、支払いを遅らせる
キャッシュフロー改善の王道。
・入金サイトを短縮
・前金・着手金をもらう
・振込期限を守る取引先を選ぶ
・支払サイトを長めに交渉
これだけで現金は回ります。
② 在庫を持ちすぎない
在庫=現金の塊。
・過剰在庫を抱えない
・ABC分析で回転率を見る
・在庫基準をつくる
在庫管理は“現金管理”そのものです。
③ 粗利を上げ固定費を軽くする
結局ここに戻ってきます。
粗利改善(第1回)
固定費改善(第2回)
この2つだけで黒字倒産は劇的に減ります。
■ 結論:黒字倒産は「無知」が原因
社長は悪くありません。
悪いのは、知らないまま経営している状態。
黒字倒産を防ぐために必要なのは
複雑な財務知識ではなく、
・売掛金
・在庫
・借入返済
・粗利
・固定費
この5つの“動き”を知るだけで十分。
飛躍のミカタ流メソッドでは、
これらを“社長が見える化できるレベル”に
徹底的に噛み砕いて伝えていきます。
「無知」は「コスト」です。
次回(第4回)は
【利益率が低い会社に共通する“盲点”】
── 実は“この数字”を見ていないから利益が出ない
に進みます。



