景色が主役になる場所には、理由がある

〈2003年8月のウルワツの波/Uluwatu , August 2003〉
20代の頃から毎年のように通っていたバリ島。
目的はサーフィンでした。
朝から海に入り、仲間とビンタンビールを飲み、また翌日も海へ向かう。
当時は建築の勉強をしているつもりなどありませんでした。
でも今振り返ると、バリ島で過ごした時間そのものが、建築を考えるための大切な学びだったように思います。
〈2025年7月のウルワツの波/Uluwatu , July 2025〉
バリ島には雨季と乾季があります。
季節によって風向きが変わるため、サーフポイントも変わります。
乾季は西海岸へ。
雨季は東海岸へ。
自然の変化に合わせて人が動く。
そんな暮らしが当たり前にあります。
日が暮れると気温は下がり、エアコンがなくても心地よく過ごせます。
昼間は暑くても、プールに入れば涼しい。
ビーチでも木陰に入るだけで驚くほど快適になります。
時には外で眠ることさえあります。最高です!
自然と戦うのではなく、自然を利用しながら暮らしている。
そんな感覚が、何度も通ううちに少しずつ体に染み込んでいったような気がします。
日本では性能や効率が重視されます。
もちろんそれはとても大切なことです。
でもバリ島で学んだのは、風を感じること、木陰をつくること、外と内をゆるやかにつなぐこと。
機械に頼る前に、自然の力を活かすという考え方でした。
〈2025年10月クタビーチの夕日/Sunset at Kuta beach , October 2025〉
それから約20年。
まさか自分がウブドでヴィラを設計することになるとは思ってもいませんでした。
好きで通っていた場所が、いつの間にか仕事につながっていた。
人生は本当に面白いものです。
今、ウブドで建設中のヴィラを見ながら思います。
あの頃サーフボードを抱えて見ていた風景が、今の設計に確実につながっている。
サーフィンがなければ、このプロジェクトはなかったかもしれません。


