土地の境界線トラブルを予防するプロ
有冨秀政
Mybestpro Interview
土地の境界線トラブルを予防するプロ
有冨秀政
#chapter1
消防士として地域の安全を守る仕事から、土地や建物に関わる専門職へ。「土地家屋調査士有冨秀政事務所」の有冨秀政さんは、北九州市消防局に6年間勤務した後、不動産賃貸業などを経験し、現在は北九州市を中心に土地家屋調査士として活動しています。
土地家屋調査士は、土地や建物を調査・測量し、その現況を法務局の登記に反映させる専門職です。境界を確認するための測量や土地の分筆、新築・取り壊しに伴う建物の登記などを担います。
転機は、独立してできる専門職を探す中で土地家屋調査士の存在を知ったことでした。2020年に土地家屋調査士と司法書士の総合事務所へ入り、補助者として測量や図面作成の実務を経験。2024年に国家試験に合格し、2026年に独立しました。
「屋外で測量する仕事と、持ち帰ったデータや過去の資料を照らし合わせて考える仕事。その両方があるのが面白いんです。消防士として現場で働いていた自分にも合っていますし、一つとして同じ土地はないので、毎回新鮮な気持ちで向き合えます」
事務所に勤務していた頃は、不動産会社などからの依頼が中心で、土地の所有者の方と直接話す機会は多くありませんでした。一方、相談者の方と顔を合わせ、事情を聞きながら調査を進めた案件では、より強く仕事の手応えを感じたといいます。
「直接お話しして、納品した時に喜んでもらえるのはうれしいですね。これからは一般の方からの相談にも、もっと応えていきたいです。ご相談では、お見積もりの前に、何が必要で何が不要かからお伝えしています」
#chapter2
土地の登記があれば、境界も面積も間違いない。そう考える方は少なくないと有冨さんは話します。しかし、法務局に残る情報が古く、現在の測量技術で調べた結果と一致しない土地もあります。明治、大正、昭和初期の測量成果がそのまま残り、現地の杭も失われている場合、図面だけでは境界を正確に再現できないこともあります。
「実際に測ってみると、登記簿に記載された面積と大きく違うことがあります。私が経験した中では、約100平方メートル増えたケースもありました。昔と今では測量の技術や精度が違うので、現状を正しく調べ直す必要が出てくるんです」
土地を二つ以上に分けて登記する分筆や、相続、売却を進める際には、こうした違いが問題になることがあります。有冨さんは現地を測量するだけでなく、法務局の資料や過去の図面、現地に残る境界標、隣接地の所有者の方のお話などを照らし合わせて確認。隣地の所有者の方が、立ち会いの場で初めて自分の土地の状況を知ることも珍しくないそうです。建物も同様で、実家が未登記だった、取り壊した建物の登記が残っていた、と売却の段階で初めて分かることがあります。
2005年3月の不動産登記法の全面改正以降は、地積測量図に境界点の位置を座標値で示すようになり、境界の位置をより正確に確認できるようになりました。地積測量図は、土地の形や面積、境界点を示す、法務局保管の公的な図面です。
「古い図面しか残っていない土地なら、一度調べておくことをおすすめします。相続登記はご自身で済ませたものの、その先で分筆や未登記建物の登記、境界確認といった専門的な手続きに行き詰まったという方もご相談ください」
#chapter3
有冨さんが大切にしているのは、問題が起きてから動くのではなく、予防するという考え方です。その根幹には、消防局時代の経験があります。消防設備を確認する予防査察にも携わり、未然に防ぐ重要性を学びました。
「土地も同じだと思っています。境界でもめてからでは、当事者同士の気持ちがこじれ、私たちだけでは対応が難しくなる場合もあります。問題が起きる前に調査や測量をして、客観的なデータを残しておくことが大切です」
登記上の境界は筆界、所有権の及ぶ範囲を区切る線は所有権界と呼ばれ、両者が一致しない場合もあります。境界を杭などの目印だけで残していると、工事や災害で失われたり、相続や売却で所有者が変わったりした際に、認識のずれが表面化することがあります。家を建てたり売ったりする段になって初めて越境が分かる、気づいていても隣に言い出せない、といった声も少なくありません。境界を確認して測量し、法務局に図面として残すことが、将来のトラブル予防につながります。すでに境界を巡る争いが生じている場合には、ADR認定土地家屋調査士として弁護士と連携し、話し合いによる解決も支援します。
「親御さんが元気なうちに土地の状況を確認しておけば、受け継がせる側にも受け継ぐ側にも分かりやすいはずです」
早めに現状を確かめ、記録を残しておくことが、将来の安心につながると有冨さんは考えています。
(取材年月:2026年9月)
リンクをコピーしました
Profile
土地の境界線トラブルを予防するプロ
有冨秀政プロ
土地家屋調査士
土地家屋調査士有冨秀政事務所
登記に記載された面積や境界が、現在の土地の状況と合っていないケースは少なくありません。古い図面の確認と現地の調査・測量を通じ、相続や売却の前に現状を把握。将来の境界トラブルや手続き上の問題に備えます。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ福岡に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または九州朝日放送が取材しています。[→審査基準]