「大好きなダイニングチェアの肘が外れたんです。」
若い時からの友だち 愛媛県西条市・F様がダイニングチェアを持ってきてくれました。
やっぱり友だちからのご依頼はうれしいものです。
修理作業前/F様からお預かりしたダイニングチェアです。
一見すると「どこが悪いのかわからない」といった感じのダイニングチェアですが・・・。
F様の椅子は、後脚と笠木の接合部が外れてしまってました。
背後から見ると左側の接合部は、ダボと木ネジ1本で接着剤を挟んで接合されてるようです。
そして、背後から見て右側の接合部は、木ネジ1本と接着剤で接合されてました。
F様のダイニングチェアは、笠木の左右で接合方法が異なっているのを、左右対称に接合できるように作業を進めていきます。
このダイニングチェアは、福岡県大川市のモリタインテリア工業さんで製造されている椅子のようでした。
修理作業中①/接合部のダボ穴掘りなど下準備の木工加工
まずはじめに、接着剤で座面を汚さないために養生作業をしました。
続いて、マスキングテープで笠木の取り付け位置をわかりやすくしたうえで、木ネジを抜き取り笠木を取り外しました。
こうしてみると笠木左右の接合方法が異なることがよくわかると思います。
曲面加工している笠木の取り付けは、左右共に2本ずつの木ネジと接着剤で固定されていることが多いと思います。
笠木をしっかりと固定するために木工加工に入ります。
①まずはじめに、後脚にダボ穴を開けました。
この写真は、ダボ穴を開ける前の状態です。
マスキングテープを貼り付け墨付けし、ダボ穴を開けた状態です。
②古い接着剤を削り取り、笠木の取り付け位置にもダボ穴を開けました。
修理作業中②/後脚と笠木の圧着作業
後脚と笠木の接合部の両面に接着剤を付けて仮組みしていきました。
この時に頼りになるのが、事前に貼り付けていたマスキングテープです。
続いて、専用の当て木とクランプ類を多用して圧着作業を進めました。
前方からの圧着作業の様子です。
笠木表面の曲面加工に沿うように合板2枚を重ねて当て木としました。
後方からの圧着の様子です。
後脚のアール加工に沿うように専用の当て木を使い、木部を傷めないように圧着しました。
ここから、約12時間以上の養生時間を経て接着剤は完全乾燥しますので、仕上げの工程に入れます。
修理作業中③/木ネジ穴のダボ栓埋め作業
埋め木錐を使い専用の埋め木用ダボを作りました。
専用の埋め木用ダボを埋め込んだ状態です。
埋め木用ダボを打ち込む時に大切なことは、後脚の木目方向にできるだけ近いように木目方向を揃えることです。
埋め木用ダボの接着が完全乾燥しますと後脚に沿わせて切っていきます。
鋸で切った後は、のみ作業で後脚の形状に合わせて整えていきました。
修理作業中④/椅子本体の水平バランス調整など仕上げ作業
TOKI家具館メンテナンスの修理は、どのような家具であっても作業の最後に基本調整をしています。
ダイニングチェアですと、椅子本体の水平バランス調整が欠かせません。
修理作業後/F様のダイニングチェアの修理作業が完成しました。
このような工程を経て、F様のダイニングチェアが息を吹き返しました。
外れていた笠木の接合部も、きれいで丈夫に直すことができました。F様、ご依頼いただきありがとうございました。
地元紙マイタウンさんの取材をお受けしました。
愛媛県新居浜市・西条市・四国中央市の各家庭に配布されているマイタウン!
今春より若手家具職人2名が加わったこともあり取材をお受けしました。
マイタウンさん、ありがとうございました。土岐泰弘