「椅子のぐらつき修理は家具修理の基本だと思う。」
目次
「籐を張った背もたれがやぶれたんです・・・!」
「結婚から40年近く使ってきて愛着があるんです。」
愛媛県西条市・M様からダイニングチェア4脚をお預かりしました。
M様からは、籐の張り替えのほか、フレームのぐらつき修理・座面の張り替えも合わせてご依頼いただきました
修理作業中①/新しい籐シートの張り込み
今回は、最近ご依頼が多くなった “籐の張り替え” を中心に紹介します。
M様の椅子は、フレームのぐらつき修理を合わせて作業するため、背もたれ籐張りフレームだけを取り出して、籐シートを張り込んでいきます。
写真右は新しい籐シート(カゴメ編み/亀甲 大)、写真左は背もたれ籐張りフレームです。
新しい籐シートを溝にヘラで押し込み、タッカー釘で仮止めしていきました。この時、新しい籐シートを切らないよう慎重に作業しなくてはなりません。
新しい籐シートは、引っ張り代を含めて大きめに材料取りするのがコツです。
引っ張り代部分は、切り取って整えます。
下の写真は、溝に籐芯を埋め込み4脚分の籐シートの張り込みができあがった状態です。
修理作業中②/新しい籐シートへのウレタン塗装作業
1:周辺フレームへの養生作業
新しい籐シートの色合いを、木製フレーム色や剥ぎ取った古い籐に近い色にウレタン塗装をしていきます。
ウレタン塗装は、拭き付け作業をしますので、木製フレームに塗料が付かないようにマスキングテープで養生作業をしました。
背ウラ部分の木製フレーム内側まで、塗料が付かないように入念に養生しています。
2:下地着色作業
次に、籐シートの端材を使い下地着色のテスト塗りを経て、本番の下地着色作業に臨みました。
テスト塗りは、数種の着色塗料を使い一番近いものを選びますが、この作業が肝ですので何回しても緊張します。
籐シートは自然素材のため、同じ下地着色作業をしても微妙に色合いが違いますので、このあとの調色作業で色合いを揃えていきます。
3:ウレタン塗装作業
ウレタン塗装の工程は、
①下地着色した籐シートへのウレタンサンディングの吹付作業×2回(ケバ取り研磨作業含む)
②4枚の籐シートの色合いを揃えるための補色拭き付け作業
③仕上げのウレタンフラットの拭き付け作業×2回(ケバ取り研磨作業含む)
端材の籐シートは補色作業にも利用して、できるだけ4枚が揃うように拭き付け作業をします。
修理作業中③/椅子本体の組み立て圧着作業
可能な限り分解していたダイニングチェアのフレームを各種クランプを使い組み立て圧着作業をしました。
新しい籐シート部分は、接着剤が付かないように事前に養生作業をしておきました。
修理作業後/張り替えた座面を取り付けして完成です!
新しく布調レザーに張り替えた座面を取り付けしたのちに水平バランス調整作業をして完成しました。
前から見た籐シート張り替え部分です。
新しく張った籐シートの色合いは、フレーム色とよく合っていると思います。
新しく張り替えたレザーは、シンコールさんのオクタビアという布調レザーで、耐アルコール性レザーのため消毒などにも向いている素材です。
後から見た籐シート張り替え部分です。
前面同様に木製フレームとよく似合っていると思います。愛媛県西条市・M様、ご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
「新居浜市SDGs推進企業に登録されました!」
TOKI家具館メンテナンス(会社名:有限会社土岐家具店)が、新居浜市SDGs推進企業 登録番号第38号に登録されました。
新居浜市SDGs推進企業 登録番号第38号 有限会社土岐家具店
新居浜市経済部産業振興課のみなさま・新居浜商工会議所のみなさま、ご尽力いただきありがとうございます。
平成時代までは、大量生産 → 大量消費 → 大量廃棄 の時代でした。
お客様からは「家具って、使い捨てでしょ。」という言葉もまだまだ聞きます。
でも、使い捨てをこのまま続けていきますと、SDGs(持続可能)になりません。
令和時代になった現在、永く使える家具を注文に応じて必要な数だけ作り、メンテナンスを繰り返し永く使っていく!
「メンテナンスを繰り返すたびに、家具への愛着も増していくと想われます・・・。」
最後まで、お読みいただきありがとうございました。土岐泰弘