あいテレビのNスタえひめ「未来を変えるSDGs」に登場した椅子の修理ができました(後編)
目次
「大切な方からいただいた椅子が壊れてしまいました・・・。」
「背もたれ棒が1本が折れたのと座面が切れてしまったのです。」
愛媛県西条市・A様が、飛騨産業さんのロングライフ家具 “ アッサム ” をご持参くださいました。
飛騨産業さんの検査証が残っていました。
この椅子は、通常ブナ材で作っているものが多いのですが、ゴム材で作られているもので「少しめずらしい椅子です。」
A様がお使いの “ アッサム ” は、現在も製造されている椅子で、修理依頼が多い椅子でもあります。
飛騨産業さんのマーク(キツツキマーク)の左側のタテに白くなっている線のヶ所が切れかかっていました。
修理作業中①/背もたれ部分の分解と板座面の剥がし作業
最初に、背もたれ部分と座面下脚フレームを分解しました。
次に、ヒビが入っている座面を直すために脚フレームを抜いていたら、『バシッ!』と異音が・・・
なんと!製造工程の接ぎ目ではない部分も割れてしまったのです。
ひとまず、この接ぎ目ではない部分の割れから直していきます。割れ目に対して接着剤を入れて、ニードルパンチ+合板をラップで包み、クランプで締めあげました。
修理作業中②/座面のドミノジョイント接合
通常の板座面の接合作業はビスケットジョイントを多用していますが、今回の場合はより強固に接合したいため、ドミノジョイント接合を選びました。
まずは、墨付け線を引きました。
ドミノジョイントカッターで接合用の穴掘りをしました。
板座面の上に置いているのがドミノチップ、奥の作業台の置いているのがドミノジョイントカッターです。
ドミノジョイントは、接ぎ材のドミノチップを深く差し込めるのが特徴です。
続いて、ソマックス製T型クランプで圧着していきました。
製造工程の接ぎ目ではない部分も割れていたため、目地(段差)が出てしまいました。
こんな場合は、研磨作業をして目地を無くすとともに生地出しのうえ、塗装作業が必要な状況になりました。
写真を見ても、目地(段差)に詰まった接着剤が目立つと思います。
修理作業中③/板座面の生地出し作業→ウレタン塗装
目地(段差)が出てしまった板座面にハンドサンダーを使い生地出し作業をしていきました。
ここまでしないと、オリジナルに近いきれいな板座面を復活させることはできないと思います。
塗装面には接着剤が効きにくいため、
各接合部の穴には塗料が使いないように、マスキングテープで養生しました。
下地着色作業→サンディングシーラー(ケバ取り研磨込み)×2回→調色作業→ウレタンフラット(ケバ取り研磨込み)の工程を経て、板座面が仕上がりました。
『申し訳ございません、ここから先の作業は後編に続きます。』「大切な人からいただいた椅子を直してください!」後編