ウインザーチェア(ダイニングチェア)の座割れ+ぐらつき修理の代表例のご紹介
目次
「永年使ってきて愛着がある椅子を見てください・・・!」
「背もたれと座面下の木の接合部が折れて抜け、その下の横棒(貫)も外れてしまいました。」
愛媛県新居浜市・K様からご相談を受けました。
K様が言われる通り背もたれと座面下の横桟木の接合部(ほぞ組み部)が、かなり開いてしまっていました。
修理作業①/各接合部の墨付け作業+分解作業
椅子のぐらつき修理で最初にすることは、すべての接合部へのマスキングテープを使った墨付け作業(ナンバー付け)です。
これをしていないと、組み立て直す時に迷いが生じるため、とても大切な作業になります。
下の写真は、墨付け作業(ナンバー付け)後に、フレームを可能な限り分解した状態です。
すべての部材を分解しようとしてフレームを割ってしまう可能性があるため分解作業は、緊張する作業です。
「これ以上分解できない。」を判断するのも大切なことなんです。
下の写真は、左右の背もたれと座面下横桟木の接合部(ほぞ組み部)のほぞ先端が、折れてしまっているものです。
このように、ほぞ先の1/2~1/3くらい折れてますと、接合部の耐久性はかなり落ちると思います。
修理作業中②/ほぞ先の切り取り→ダボ接合作業の準備
こんな時の修理方法を選ぶのは、かなり迷いが生じるものなんです・・・。
▲少し残っているほぞ先を生かし、そのまま圧着接合する!
●折れたほぞ先を切り取り、新しい接合方法を考える!
そのままのほぞ先で圧着接合する方が、作業としてはカンタンです。
今後の耐久性を想像すると、新しい接合方法を取り入れることと決断し、折れたほぞ先を切り取りました。
『新しい接合方法は、“ダボ接合” に決めました!』
ダボ接合をするために、背もたれタテ桟木のダボ穴を埋め木しなくては進みません。
下の写真は、折れ込んだほぞ先を削り取りして埋め木の準備をした写真です。
続いて・・・
ほぞ穴を埋め木したのちにダボ穴を掘り、ダボを仮入れしてみました。
座面下の横桟木もダボ穴を掘りました。
K様のダイニングチェアの背もたれタテ桟木と座面下の横桟木の接合部は、直角などではなく任意の角度のため、ドライバードリルで慎重にダボ穴掘りを進めました。
修理作業中③/大きめの隅み木づくり
背もたれタテ桟木と座面下の横桟木の接合部の仕口加工ができあがったすべてのフレーム部材を並べてみました。
写真奥の未塗装状態の隅み木2個が新しく作ったものです。
手前4個の隅み木は、これまで取り付けていたもので、横方向を特に大きめに作りました。
ウォールナット色にウレタン塗装をし、少し大きめの隅み木ができ上がりました。
修理作業中④/フレームの圧着作業
K様のダイニングチェアの圧着作業は、2工程に分けてすることとしました。
最初は、ダイニングチェア横方向の圧着をしました。
続いて、ダイニングチェア前後方向の圧着をしました。
最後に、大きめに作った隅み木を取り付けしました。
修理作業後/水平バランス調整をして完成です。
ダイニングチェア・リビングチェアを問わず、お届け前に必ずしているのが、水平バランス調整作業です。
椅子を床に置いた時、水平バランス調整してなくて「ギッコン・バッタン」している椅子を毎日使ってますと、再びぐらつきが出てくる可能性があります。
そのため、水平バランス調整作業は、地味ではありますが大切な作業なんです。
K様のダイニングチェア4脚は、カリモク製のもので座面完成品をご希望の素材で張り上げたものを供給していただきフレームに取り付けしたのちに水平バランス調整作業をしての完成です。
K様、ご依頼いただきありがとうございました。
「新居浜市SDGs推進企業に登録されました。」
TOKI家具館メンテナンス(会社名:有限会社土岐家具店)が、新居浜市SDGs推進企業 登録番号第38号に登録されました。
新居浜市SDGs推進企業 TOKI家具館メンテナンス
新居浜市経済部産業振興課のみなさま・新居浜商工会議所のみなさま、ご尽力いただきありがとうございます。
平成時代までは、大量生産 → 大量消費 → 大量廃棄 の時代でした。
お客様からは「家具って、使い捨てでしょ。」という言葉もまだまだ聞きます。
でも、使い捨てや大量廃棄をこのまま続けていきますと、SDGs(持続可能)になりません。
令和時代になった現在、永く使える家具を注文に応じて必要な数だけ作り、メンテナンスを繰り返し末永く使っていく!
「メンテナンスを繰り返すたびに、家具への愛着も増していくと想われます・・・。」
最後まで、お読みいただきありがとうございました。土岐泰弘