「私のカフェで使っている “ミルキースツール” を見てください!」
「大好きなライティングデスクの扉を息子が割っちゃったんです・・・。
「土岐さんのホームページやフェイスブックページをさんざん見ましたが、まるで魔法みたいですね・・・。」
「思い出があるものなので、私のライティングデスクも直してほしいです・・・。」と、愛媛県西条市・T様からご依頼をいただきました。
私の仕事を「魔法みたい」と形容されることは初めてのことですので、なにかしら力が入った仕事になりました。
ご結婚から20年以上も愛用しているパイン材のカントリー調のライティングデスク!その扉は、真っ二つに割れてしまってました。
割れ目を見ますと、ギザギザでかなりの負荷が掛かったように思われます。
修理作業中①/ビスケットジョイント作業
ギザギザに割れてしまった扉を、できるだけ目違い(段差)を少なくかつ丈夫に圧着するにはビスケットジョイントが最適です。
扉の断面に突き刺しているのがビスケットチップ、このつなぎ材を入れますと、目違い(段差)も少なく耐久性も格段にあがります。
続いて、ソマックス製T型クランプ・スナップクランプを使い圧着していきました。
修理作業中②/扉前板欠け部分の埋め木作業
扉全体の圧着作業が完全乾燥しますと、続いて割れた時の “かけら” が無くなっている部分の埋め木作業です。
当店にはパイン材の在庫が無いため、似た材種のヒノキ材を使い埋め木しました。
埋め木部分が完全乾燥しますと、手かんなで扉全体を平坦に削っていきました。
工業製品の大量生産には手仕事はほぼ不要ですが、私たちのように『一期一会の家具修理』には手仕事は必要不可欠な作業なんです。
修理作業中③/ウラ面に補強桟木の埋め込み作業
このライティングデスク扉は、針葉樹のパイン材を幅接着だけで形作られていて、構造的には弱い作りとなっていました。
本来、扉というものは、額縁のように四方組で作らないと耐久性は出ません。
そこで、扉ウラ側を前側から見たときに「かわいいカントリー調のデザインを崩さない程度」動力機械のルーターで削り取り、硬くて耐久性があるナラ材を埋め込みます。
下の写真、扉の両端に置いてあるのが、広葉樹ナラ材の桟木です。T様の修理作業で、一番キモとなる作業ですので慎重に材料選びをしました。
接着剤は、扉側とナラ材桟木側の両方にローラーで塗りました。
圧着作業は、ソマックス製クランプを多用して完全な接着を目指しました。
ナラ材の桟木は、埋め木部分よりも微妙に大きく接着しています。
この目違い(段差)部分は、塗装前の研磨作業で平坦に研磨します。
修理作業中④/研磨~素地調整~ウレタン塗装作業
木工加工ができた後は、扉全体の研磨や素地調整作業へ移りました。
研磨におきましては、平面精度を保つためにストロークサンダーを中心に作業、表面の凹凸部分は手加工で研磨していきました。
板材の平面精度を出すためには、設備している動力機械の中ですと、ストロークサンダーが最適なんです。
続いて、扉を塗装室に移動させてウレタン塗装の工程に移ります。
TOKI家具館メンテナンスのウレタン塗装は、大谷塗料さんのセーフティワルツを永年愛用しています。
ウレタン塗装の工程は、サンディングシーラー(都度・ケバ取り研磨)×3回、ウレタンフラット(都度・ケバ取り研磨)を表面・ウラ面を交互に吹き付けていきました。
パイン材の天板ウラ面に、補強用に埋め込んだナラ材部分も馴染んでいます。
この補強用のナラ材の埋め込みが無かったら再び扉が割れてしまう可能性を残すことになりますので・・・。
修理作業中⑤/扉を本体への取り付け作業
ウレタン塗装が仕上がりますと、作業前に取り外しておいたアングル丁番・ステー金具・マグネットキャッチを用いて、ライティングデスク本体に取り付けしていきます。
各金具類は、掃除や油差しをして調子見作業を事前にしております。
各金具類を取り付けした状態です。
埋め込んだナラ材部分に各金具を取り付けしましたので、木ネジの効き具合も向上しました。
修理作業後/愛媛県西条市・T様にお届けしました。
「土岐さんのフェイスブックで、作業の様子を確認してましたので、安心してみてました。ほんと、魔法みたいです!」
T様から、励みになるありがたいお言葉をいただきました。
ライティングデスク本体と今回修理作業を施した扉の相性もかなり高いレベルで仕上がりました。
T様の仕事のように、割れた扉を修理させていただいたのは初めてでしたが、ご満足いただける仕事ができて良かったと思います。
T様、ご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
「新居浜市SDGs推進企業に登録されました。」
TOKI家具館メンテナンス(会社名:有限会社土岐家具店)が、新居浜市SDGs推進企業 登録番号第38号に登録されました。
新居浜市SDGs推進企業 TOKI家具館メンテナンス
新居浜市経済部産業振興課のみなさま・新居浜商工会議所のみなさま、ご尽力いただきありがとうございます。
平成時代までは、大量生産 → 大量消費 → 大量廃棄 の時代でした。
お客様からは「家具って、使い捨てでしょ。」という言葉もまだまだ聞きます。
でも、使い捨てや大量廃棄をこのまま続けていきますと、SDGs(持続可能)になりません。
令和時代になった現在、永く使える家具を注文に応じて必要な数だけ作り、メンテナンスを繰り返し末永く使っていく!
「メンテナンスを繰り返すたびに、家具への愛着も増していくと想われます・・・。」
最後まで、お読みいただきありがとうございました。土岐泰弘