NHK松山放送局の「ひめポン!」で家具修理の様子が紹介されました。
「ダイニングチェアを倒してしまい肘が外れてしまいました。」
「自分で直してみたんですが・・・。」
愛媛県西条市・S様からお問い合わせをいただきました。
このダイニングチェアは、飛騨高山のシラカワ製フェルメール アームチェアです。
軽量かつ座り心地の良さが特徴のロングライフ家具で私も大好きな椅子の一つです。
写真の通り、肘とフレームを接合するダボが折れてしまい外れてしまってました。
ダボが折れるほど強いショックがあったものと想像されます。
不幸中の幸いは、肘が外れた割に、フレームや肘に大きな破損ヵ所が無かったことです。
修理作業中①/養生作業→折れたダボの削り取り+古い接着剤の除去作業
修理作業にあたり、まずは張り生地を接着剤などで汚さないためにハトロン紙で養生作業をしました。
このダイニングチェアの座面の張り生地は、カバーリングになってますのでカバーは取り外しました。
S様が修理にチャレンジした様子
折れたダボの削り取り+古い接着剤を除去した様子
外れたヶ所に補充した接着剤の除去はむつかしい作業ですが、古い接着剤を可能な限り除去しないと、丈夫に圧着できないため、地道にがんばらせていただきいました。
写真左端に見えるのが、圧着作業に際し使う新しいダボ2本です。
修理作業中②/治具づくり→圧着作業
外れてしまった肘をフレームに圧着する時に、もっとも大切なのが、適切な治具(補助的な道具)づくりです。
フェルメール アームチェアの肘の形状に合わせて専用の治具(補助的な道具)を作り、内側にはニードルパンチで養生しました。
両方の肘に合わせて圧着作業をしました。
肘1本を圧着するためには、こんなにたくさんのソマックス製のクランプやヤマザキ製の端金を使わないとできないんですよ。
椅子を作業台にのせて作業しますと、より正確に圧着作業ができます。
肘のウラ側はこんな感じで圧着しています。
ソマックス製ジュニアFクランプにはプラスチック製のキャップが付いているため当て木無しで締めました。
肘の後ろ側の胴付き面もきれいに圧着できました。
ここに隙間ができてしまうと、強度がかなり落ちてしまいますから・・・。
修理作業後/水平バランス調整~検品
接着剤が完全乾燥後、水平盤(ガラスの厚盤)に乗せて水平バランス調整を行い、フェルトを打ち込み完成しました。
最近、私が水平バランス調整に使っている横切りのこぎりは、Zソーの柄がゴム製で滑りにくいピストルタイプです。
写真手前が精密切り用の7寸目、写真奥が荒切り用の265です。
Zソーが良い点は、替え刃の買い置きが無くなってしまった時など、身近のホームセンターさんで買い求めることができる点です。
TOKI家具館メンテナンスでは、地味な作業ではありますが、最後の調整作業や確認作業、検品作業を末永く行ってきました。
S様、ご依頼いただきありがとうございました。土岐泰弘
三男なおふみ(24歳)が青少年優秀技能者 家具工 として表彰!
現在、私の三男なおふみは、家具職人を目標に北海道旭川市にて修行3年目です。
先日、北海道上川地方技能推進協議会様から表彰されたとのこと・・・。
北海道新聞にも名前を載せていただいたようです。
個々に目標を持ち少しづつ前進している息子たちのがんばりが励みとなり、私も精進を続けていけています。
最後までお読みいただきありがとうございました。土岐泰弘