浮気をされたら
弁護士もののドラマや法廷サスペンスなどで必ずと言っていいほど出てくるのが,
弁護士や検事が法廷での証人尋問中などに,
いきなり立ち上がって,「異議あり!」と叫ぶシーンです。
この法廷ものドラマに必ず出てくるシーンは
実際の裁判ではほとんど出てきません(少なくとも日本の法廷では)。
実際の裁判の傍聴に行かれた方も,「異議あり!」と叫ぶシーンに
出くわした方は少ないんではないでしょうか。
私も,これまでの弁護士人生の中で,
相手方弁護士に対して異議を出したことも,
異議を出されたことも10回以内におさまると思います。
ただし,相手方が,弁護士をつけず本人自身で訴訟追行
している様な場合には,その尋問中だけで10回くらい異議を
言わないといけなくなることもあります。
そもそも異議というものは,対立当事者の質問が許されないものであると考えた
場合に,その質問を制限することを裁判官に求める意思表示です。
でも,どんな場合にでも異議を申し立てることができるかというと
そうではありません。
主なものは以下にあるようなものです。
①事件と関連性のない質問
②主尋問での誘導尋問
③侮辱的な質問
④既ににされた質問と同じ内容の重複質問
⑤誤導尋問(その人が言ってもいないことを言ったという前提で質問すること)
⑥事実を尋ねずに意見を求める質問
⑦自分の意見を言うだけで,そもそも質問になっていない
以上のような,問題のある尋問に限って,異議が認められるという
ことになります。
逆に言うと,異議を頻繁に出されるということは,
質問者としては,非常にまずい状態だと言えます。
本人訴訟の場合には,とにかく自分の主張を言いたい
という気持ちばかり先行して,そもそも質問になっていないということが多いです。
弁護士ですと,あらかじめ異議を出されないような質問を
考えて尋問しますので,弁護士同士の法廷では異議は
ほとんど出されないということになります。
ただ,相手方の弁護士が非常に気持ちよく尋問をしているなぁ,
ノリに乗ってるなぁ,逆にうちの依頼人は委縮しきっちゃってるなぁ,
というようなときに,あえて認められないだろうということをわかっていながら
無理やり異議を言うということもないではありません。
私が尋問をしているときに異議を出されると正直あせりますが,
異議に対する私の意見を聞いた裁判官が,
相手方の異議を認めず,
「質問を続けてください。」と言われるときには,
内心、勝ち誇った気分です。