契約書がなくても契約は成立するか

佐藤清志

佐藤清志

法律相談でよく聞かれるのが,
契約書は作ってないんですけど
契約として成立しているんでしょうか?
というものです。

契約とは,「相対立する複数の意思表示の合致により成立する法律行為」です。
これでは,何のことやらさっぱり分かりませんが,
要するに,ある人とある人とが
約束や取り決めごとをして
権利や義務を発生させることをいいます。

「豚肉を100グラム200円で売ってくれ」
「はい,それで売りましょう」

これもれっきとした売買契約です。
これにより,買主は200円を支払う義務を負う
売主は豚肉を100グラム渡す義務を負う
ことになります。

このような取り決めがまとまった以上,
契約は問題なく成立します。
この結論は,契約書を作っていようが,作っていまいが
変わりはありません。
現に,上のような豚肉の売買にあたって契約書を作る人
なんていませんよね。

ただ,上の例のような場合には,
買主は即座に200円を支払い,
売主は即座に豚肉100グラムを手渡します。
そこで,トラブルなんて生じることはあまりないでしょう。
契約書を作る意味なんてありません。

しかし,現実の契約においては,
買主が売買代金を支払期日に払ってくれなかったり,
お金の借主が返済期日を守ってくれなかったり,
家の借主が家賃を払ってくれなかったり,
とトラブルが生じることもよくあることです。

このようなトラブルが生じた際に,
最終的には,「訴訟」を起こして(民事裁判),
判決をもらうようにするわけですが,
この「訴訟」においては,証拠が全てです。
証拠がなければ,あなたの言い分はなかなか認めてもらえません。

もし,このときに契約書が無いと,
実際には,口約束で売買代金を100万円と取り決めたのに,
後になって,買主が,
「いや,あのときに決めた代金額は50万円だった。」
などと言い出した場合に,
売買代金を100万円と取り決めたという証拠がなく,
50万円分について訴訟で負けてしまうという危険があります。

このように,契約書は,後々トラブルになった場合の
証拠を確保するという趣旨で作られるものです。

以上からすると,契約書を作ることは必ずしも
契約の成立要件となるものでありませんが,
金額が大きい場合や取り決めの内容が複雑であるような場合には
後々トラブルが生じた際,困ることがないように
出来る限り作っておいた方がよい
ということになります。

また,契約書を作っておくことで
取り決めの内容が双方にとってはっきりするため
そもそも紛争に発展しにくくなるという効果もあります。
契約書を作っておくことは,将来の紛争の予防になる
という意味もあるのです。





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佐藤清志
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佐藤清志(弁護士)

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女性でも話しやすい雰囲気を心掛けています。お子様連れでも大丈夫です。ストレスの大きい離婚問題では,弁護士に委任することでストレスが軽減されると思います。

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