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大西英樹

障害年金のプロ

大西英樹(おおにしひでき) / 社会保険労務士

一般社団法人愛媛障害年金相談センター

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コラム

生活保護をやめて障害年金を請求できる?返還、加算、併給の可能性について

2021年6月5日 公開 / 2021年7月2日更新

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 障害年金 申請障害年金 金額障害年金 条件

生活保護と障害年金
さまざまな事情で生活保護を受けている方のなかには、何かしらの障害を持っているケースも少なくないでしょう。そこで気になるのが障害年金を請求するには生活保護をやめなくてはならないのかどうかです。生活保護と障害年金の違いや関係性、生活保護に障害年金が加算できるかどうか、そして、状況により生活保護の返還要求はあるのかどうかなどについてお伝えします。

生活保護と障害年金の違い

生活保護と障害年金、具体的に何が違うのでしょう。ここでは、それぞれの概要を見たうえで、異なる点について説明します。

生活保護とは?

生活保護とは、日本国憲法第25条が規定する、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」。この理念に基づいて制定されたものです。

そして生活保護法第1条で、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」としています。

生活保護を受給できる条件は、次の3点を満たしたうえで、月の収入が最低生活費を下回っている場合です。

  1. 身内や親類で援助してくれる人がいない
  2. 預貯金、土地建物、証券といった資産を持っていない
  3. 病気やケガそのほかの理由でやむなく働くことができない

また、生活保護の管轄は市区町村で、財源となるのは税金です。そして、生活保護で支給されるのは、次の8つのケースです。

1:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費など)
基準となる額は、食費や被服費など個人的な費用は年齢別に算定。光熱費のような世帯共通の費用は世帯人数別に算定し、両方を合算したうえで生活扶助として支給されます。

2:アパート等の家賃
住宅扶助として定められた範囲内で実費が支給されます。

3:義務教育を受けるために必要な学用品費
教育扶助として定められた基準額が支給されます。

4:医療サービス費用
医療扶助として、費用は直接医療機関に支払われるため本人負担はありません。

5:介護サービス費用
介護扶助として、費用は直接介護事業者に支払われるため本人負担はありません。

6:出産費用
出産扶助として定められた範囲内で実費が支給されます。

7:就労に必要な技能の修得などにかかる費用
生業扶助として定められた範囲内で実費が支給されます。

8:葬祭費用
葬祭扶助として定められた範囲内で実費が支給されます。
※支給額・内容に関しては、各地方自治体の福祉事務所にご確認ください。

障害年金とは?

障害年金とは、年齢に関係なく病気やケガにより、生活や仕事が制限されるようになってしまった場合に受け取れる年金です。

障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つがあり、国民年金加入者は、「障害基礎年金」、厚生年金加入者は、「障害厚生年金」を請求できます。なお、障害年金の受給条件は次のとおりです。

【障害基礎年金】
<受給対象期間>
国民年金に加入している間。または年金制度に加入していない20歳前、もしくは、年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる60歳以上65歳未満。

<支給条件>
初診日(障害の原因となった病気やケガで初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)のある病気やケガで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にある時に支給。

<支給要件>
初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
※20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はなし。

【障害厚生年金】
<受給対象期間>
厚生年金に加入している間

<支給条件>
障害の状態が障害基礎年金の1級・2級に該当しない軽い障害時には、3級の障害厚生年金を支給。
初診日のある病気やケガで障害基礎年金の1級もしくは2級に該当する障害の状態になった時は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を支給。
また、病気やケガが初診日から5年以内に治癒し、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残った場合は、障害手当金(一時金)を支給。

<支給要件>
初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること。
初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

※なお、障害年金の管轄は日本年金機構で、財源となるのは年金保険(国民年金保険料・厚生年金保険料・共済年金保険料)です。

このように、生活保護と障害年金は前提として、「管轄」「財源」が異なります。そのうえで、生活保護は最低限の生活を送るために国から支払われるものであるのに対し、障害年金は病気やケガに対して、日本年金機構から支払われるものです。この点において次のような違いがあります。

収入・資産による支給の違い

【生活保護の場合】
生活保護は、世帯収入が法律で定められた最低生活費よりも収入が低い場合に、その差額分が支給されます。仮に「資産がある」「身内・親族から援助が受けられる」場合は、支給対象とはなりません。

また、生活保護を受給している際に最低生活費を上回る収入があれば、その時点で生活保護の支給は終了します。ほか、建物や土地などの資産を相続した場合も、身内や親族から援助を受けられるようになった場合も生活保護の支給は終了です。

【障害年金の場合】
障害年金は、病気やケガにより働くことができない、もしくは従来のように働くことが難しいといった場合に受給されるものです。そのため、仮に最低生活費以上の収入・資産があったとしても障害年金は支給されます。
当然、「途中で資産が入る・収入が上がる」「身内や親族から援助を受けられるようになる」といった場合でも、それで支給が終了することはありません。

受給の報告・調査

【生活保護の場合】
生活保護は、受給開始後、毎月収入状況や利用内容の報告をしなくてはなりません。収入の増減により生活保護の継続・終了が決まるからです。また、ケースワーカーによる訪問調査もあります。

【障害年金の場合】
障害年金の支給要件に収入は関係ないため、原則として報告義務はありません。また、使った内容を報告する必要もないため、基本的に使い道は自由です。ただし、2~3年に1度、病気やケガの診断書を提出し、障害年金の更新審査を受ける必要があります。

生活保護と障害年金の関係性

前項で説明したように、生活保護と障害年金は管轄や財源、支給要件などが異なるまったく別の性質を持ったものですが、共通している点もあります。それは、「病気やケガ」がかかわっている点です。

生活保護を受給するうえで、満たしておかなくてはならない条件の一つに、「病気やケガそのほかの理由でやむなく働くことができない」があります。つまり、生活保護は健康な状態では受給できません。

そして、障害年金はそもそも病気やケガをしてしまったことに対して、日本年金機構から支給されます。生活保護同様、健康な状態では支給されません。つまり、どちらも受給するためには、病気やケガをしていることが条件と捉えることができです。この点において生活保護と障害年金は同質のものであると言えます。

生活保護に障害年金で障害者加算(上乗せ)できる

管轄や財源は異なるものの、どちらも病気やケガが受給要件となっている。ここで気になるのが、病気やケガをした場合、両方を同時に受給できるのかどうかではないでしょうか。

障害年金を受給できる病気やケガをした時点で、障害年金の請求を行うことが可能です。さらに、その病気やケガにより、最低限の生活ができなくなってしまった場合(「資産がない」「頼れる身内・親族がいない」も満たしている場合)、生活保護を受給する要件も満たしたことになります。

また、「もともと生活保護を受給していた人が、障害年金の要件を満たす障害を受けた際」「逆に障害年金を受給していたものの、最低限の生活ができない状況になってしまった際」、生活保護と障害年金の併給ができると考えるでしょう。これらの答えは、「場合によっては併給が可能」です。

例えば、生活保護と障害年金を同時に請求した場合と、生活保護を受給していた人が後に障害年金を請求した場合は併給が可能です。ただし、生活保護費は減額されます。その理由は、障害年金が収入であると判断されてしまうからです。

つまり、生活保護と障害年金を併給したとしても、最低生活費を超える金額を受給することはできません。障害者加算で受け取った金額が生活保護から減給され、結果として受給する金額は生活保護だけの時と同じです。

また、仮に障害年金の受給額が生活保護の受給額よりも多い場合は、その時点で生活保護は終了となります。障害年金の受給額だけで最低生活費を超えてしまうからです。

生活保護と障害年金を併給したほうが良い場合

ここまでの説明では、生活保護を受けている場合、障害年金を受給できる要件を満たしたとしても「受給できる額には変わりない」ということになっています。

これでは、障害年金を申請する手間だけが増え、併給をするメリットはないと思われるのではないでしょうか?しかし、実際にはそうではありません。それは、障害年金の障害者加算です。

この障害者加算とは、生活保護を受給している人が障害年金を申請した際に受けられます。これは、障害者に対し、追加的に必要な居住環境の改善費用、点字新聞などの雑費の補填を目的としたものです。加算額は、2021年4月27日現在、身体障碍者障害等級が1・2級の場合は2万6810円、3級の場合は、2万3060円(共に月額)が支給されます(居住地域によって異なる場合があります)。

基本的に、障害年金を受給できるほどの障害を抱えているのであれば、生活保護を受給していても、障害年金を申請したほうが加算分を多く受給できます。また、障害年金は働ける状態になって収入を得られたとしても、継続して受給が可能です。

生活保護は最低生活費を超える収入を得られるようになれば、支給は終了します。そのため、障害を抱えつつ安定した生活をしたいと考えれば、障害年金の請求をしたほうが安心して仕事に取り組めるようになるでしょう。

生活保護と障害年金の請求で返還を求められることも

前項で生活保護を受給していても、障害がある場合は障害年金の申請をしたほうが基本的にはメリットが多いことを説明しました。しかし、注意しなければならない点があります。それは、障害年金や障害手当金を過去に遡って(5年前まで遡って請求が可能です)請求する場合です。

障害年金の支給要件として、「初診日がわかる病気やケガ」とあります。例えば、1年前に初めて病院で診察をしてもらったことがわかれば、障害年金は1年前に遡って請求が可能です。これだけであれば何の問題もありません。

しかし、1年前の時点ですでに生活保護を受給していたとすると、大きな問題が一つあります。それは、1年前から現在に至るまでに受給した生活保護の金額から、新たに受給する障害年金の額を差し引いた金額を返還しなければならない点です。

そもそも、生活保護は最低生活費に足りない金額を受給します。そのため、障害年金を遡って受給した場合、その金額が丸々最低生活費を超えることになります。この場合、過去1年分に遡って受給する障害年金額をすべて返還しなくてはなりません。

例えば、過去1年間、最低生活費に5万円足りなかった場合、生活保護を60万円(12×5)受給しています。しかし、障害年金を月8万円、遡って受給したとしましょう。この場合、返還しなくてはならない金額は、最低生活費を上回る3万円の1年分ではありません。また、1年間に受給した生活保護の金額5万円の1年分でもありません。障害年金8万円の1年分です(返還額は市区町村によっても異なります)。

もちろん、生活保護と重複した期間がなければ返還の必要はありませんが、1カ月でも重複した期間があれば返還しなければならないため、申請をする際には注意が必要です。

注意点まとめ

ここまで生活保護と障害年金、それぞれの特徴と違い、併給が可能かどうか、後から障害年金を請求した際の生活保護返還に関して説明してきました。そのうえで、生活保護を受給している人が障害年金を請求する際の注意点をまとめてみましょう。

(1)生活保護と障害年金は同時受給できない
生活保護を受給している人は障害年金の申請をすることは可能です。しかし、障害年金の受給が決まった場合、生活保護と障害年金受給額の合計が国の定める最低生活費を上回った場合、上回った金額が生活保護の受給額から減額されます。また、障害年金の受給額と収入の合算が最低生活費を上回った場合、生活保護の支給はその時点で終了です。

(2)障害年金を過去に遡って受給する場合、その間に受給していた生活保護の返還が必要になる
生活保護を受給している人が、後になって障害年金を請求し、過去に遡って受給されることになった場合、その間に受給していた生活保護は返還しなければなりません。生活保護と障害年金の受給額が最低生活費を上回ってしまうからです。

この際、返還する額は市区町村によって異なる場合もありますが、基本的には生活保護と障害年金が重複した期間分の障害年金受給額となります。

以上、2点が生活保護を受給している人が障害年金を受給する際の注意点です。同時に両方を満額で受給することはできませんので、それぞれの受給額と将来設計を十分に検討したうえで、生活保護を残したまま、障害年金を申請するか、生活保護をやめて障害年金だけにするかを決めましょう。

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