中年男性が夫源病で離婚される
共同親権ってなに?
親権は、未成年の子を一人前に成熟した社会人とするために養育する、親に認められた権利であり、また義務であると考えられています。そして、親は「子の利益のために」親権を行使すべきとされています(民法820条)。
日本の法律では結婚している時には「共同親権」で離婚するとどちらかの親を親権者に定めなくてはならない「単独親権」になっています。
そのため、子連れ離婚では親権の取り決めが必須で、親権争いが起きて離婚裁判になるケースなどもあります。
親権がなくても親子関係は消滅するわけではありません。
離婚後に親権のない親も養育費や面会交流を通して子どもの成長を見守る義務はあります。
しかしながら、日本の養育費の支払い率や面会交流の実施率は3割にも満たないのが現状で、離婚後にわが子への責任を放棄している親が多くいることは問題にされるべきことです。
上記の問題を解決できないかということで、現在、国会(第213回国会)では改正案として、離婚後に父と母のどちらか一方が子どもの親権を持ついまの「単独親権」に加え、父と母双方に親権を認める「共同親権」を導入するとしています。
改正案は衆議院を通過し、今後は参議院に舞台を移し、運用上の課題などをめぐって議論が行われます。
どう取り決めされるのか?
日本の離婚は9割が協議離婚なので、多くは当事者間の話し合いで子どもの親権は取り決められています。
今後は離婚の際に「単独親権」「共同親権」の選択肢があり、どちらかに取り決めをすることになります。
合意できない場合は家庭裁判所が判断します。
裁判所がDV(ドメスティック・バイオレンス)や子どもへの虐待があると認めた場合は単独親権となります。
懸念されるところは、DVやモラハラ、子どもへの悪影響の判断を家庭裁判所がちゃんと行えるのかということです。
それでDV支援団体などは法案の成立に反対しています。
離婚時に「共同親権」と「単独親権」を選択することになりますが、今後、どちらを選択することが多くなるのかも気になるところです。
別れた夫婦が子どもの親として2人で責任を持つという意識は大切なことですが、そもそもそれができないから離婚するので、理想はともかくとして現実はどうかです。
共同親権のメリット
共同親権の議論は、私がひとり親家庭の支援をはじめた1998年からすでにありました。
活動団体があり、長年にわたって訴え、ロビー活動などを行った結果、現在は法案が可決されようとしています。
そんな歴史を遡ると、これまでの苦労が報われるのかと思い「良かったね」と思うこともあります。
新しいことをやろうとするときには必ず不安や懸念はありますが、やってみないとわからないというのも事実なので、やってみて出てくる問題に早急に対応していけばいいのではないかというのが私の考え方です。
メリットは離婚後も離れて暮らす子どもへの責任を果たしていかなくてはならないという意識啓発になることです。
養育費は別途、法律ができないと支払い率の向上にはならない気がしますが、少なくても払わなくてはならないという意識啓発には少しつながるのではないでしょうか?
共同親権のデメリット
デメリットも沢山あります。
選択制なので双方の意見があわない場合には紛争が増えると思います。
しかし、従来も親権争いの紛争はあるのでさほど変わらないのかもしれません。
先にお話ししたようにDV,モラハラ、虐待などの判断を裁判所がちゃんと行えるのか?
も懸念されるところです。
その他、ステップファミリー(子連れ再婚家族)については、養子縁組が減るのではないかと思います。
単独親権を選択した場合に、のちに子どもは傷つかないのか?
「なぜ?共同親権にしなかったのか?」親の説明義務が伴うのではないか?
考えたらキリがないので、私のスタンスとしては決まったら自分の仕事に関係があり問題が出そうなところには早めに対処し、良い面は活かして考えていきたいと思います。
みなさんも自分の問題として「共同親権」について考えてみてください。
相談する→新川てるえカウンセリングルーム