相続のキホン⑤遺産分割協議書のつくり方
みなさんこんにちは!
蒸し暑い梅雨がつづきますが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、前回のコラムで今年から相続と遺言の法律が段階的にかわることをお知らせしましたが、今回はその第2段、本日からスタートとなる部分をかんたんにご案内します。あくまで概略であることをご了承のうえ、ご参考にしてください。
【1 婚姻期間が20年以上の夫婦の居住用不動産の贈与などの優遇】
これまでは、夫婦間で居住用不動産を生前贈与または遺贈(以下単に「贈与」といいます)した場合、贈与を受けた配偶者は、贈与した配偶者が死亡して相続が発生した場合、贈与を受けた居住用不動産に関しては、相続財産を先にもらったものとみなされていました。
つまり、死亡した配偶者の遺産を分割する際、贈与を受けていた配偶者の相続する取り分は、本来の取り分からすでに贈与をうけた分を差し引いて考えることになっていました。
これが今回の改正で、婚姻期間が20年以上の夫婦間において居住用不動産を贈与した場合、遺産分割時に本来の取り分からすでに贈与をうけた分を差し引かなくて良いことになりました。つまり改正前よりも実質的に配偶者の取り分が増えることになります。
【2 預貯金払戻し制度の創設】
これまでは、最高裁の決定により被相続人(亡くなられた方)の預貯金は、相続人の遺産分割が完了するまでは、それぞれの相続人が自分の法定相続分の額であっても、単独では払い戻せないことになっていました。これによりお葬式の費用その他の支払いなどに差支えることがありました。
これが今回の改正で、(1)預貯金の一定割合【預貯金口座の額×3分の1×払い戻す相続人の法定相続分*ただし1つの金融機関において上限150万円まで】は、金融機関において相続人が単独でも払い戻せることになりました。
また、(2)遺産分割がまとまらず家庭裁判所に調停や審判の申立てをした場合で、遺産の分割を待てずに負債の支払いその他の事情で預貯金の払い戻しが必要なことが認められれば、家庭裁判所の判断で仮払いが行えるようになりました。
【3 遺留分制度の改正】
これまでは、相続人は自分の遺留分が侵害され他の相続人にこれを請求(遺留分減殺請求)した場合、相続財産に不動産しかない場合は複雑な共有関係が生じてしまうことがあるなどの問題がありました。
これが今回の改正で、遺留分減殺請求をうけた相続人は、金銭を払えばよいことになりました。なお、すぐに金銭を用意出来ない場合は、裁判所に支払の期限を猶予してもらうことの申立てができるようになりました+。
【4 特別の寄与の制度の新設】
これまでは、被相続人の生前に相続人以外の親族(例えば、相続人である子の妻など)がいかに手厚く看病やサポートをしてきたとしても、相続財産を受け取る権利はありませんでした。
これが今回の改正で、相続人以外の親族が無償で被相続人の介護などに尽くしてきた場合、
相続人に対して金銭の請求をできるようになりました。なお、あくまで金銭の請求ができるだけで、相続人と一緒に遺産分割をするわけではありません。
今回はここまでにします!
では、また!