合葬墓、初めてのお盆を迎えて
合葬墓を運営するようになってから、こんな質問をよくされます。
「ペットも一緒に埋葬してもらえますか?」
それはおそらく、ペットと一緒に埋葬してもらえる埋葬場所が存在しないからなのだろう。
全国的に見ると、全くないわけではないが、ほとんどの地域では人とペットが同じ場所に埋葬するということは、ほぼあり得ない状況です。
同じ敷地内に、ペットの埋葬場所を設けているお寺や霊園などはありますが、人と一緒に同じ所への埋葬となるとなかなか見つかりません。
ペットを飼われているご家庭は多くなっているのだろうと思います。特に高齢者夫婦世帯、高齢者の単身世帯の方などは、ご家族同様、またはそれ以上の感情を抱いて、ペットと日常生活を営んでいらっしゃるのではないでしょうか。
そうなると、当然「ペットも一緒に埋葬してもらえますか?」という質問は、ごく自然な問いかけなのだろうと思います。
そこで今回は、ペットと人の埋葬の違いなどについてお話ししてみたいと思います。
話が飛んでしまいますが、もし道端に頭から血を流している人が倒れていたら、皆さんはどこに連絡しますか?警察、消防、病院ではないでしょうか。
それが人ではなく、犬だったら?警察という方もいらっしゃるかもしれませんが、実際に対応してくれるのは保健所になります。
こんなところからも、ペットと人には大きな違いがあるます。
それでは、まずは法律的な側面から見てみましょう。
人には、「墓地埋葬等に関する法律」というのがあります。この法律によって、墓地や埋葬に関するルールが定められています。
では、ペットはというと、墓地や埋葬に関する法律は現在ありません。ペットが亡くなった後の遺体は、「廃棄物(生ゴミ)」に分類されてしまいます。ですから前に述べたように、保健所が来るのですね。ご自身の自宅の庭などの私有地以外に埋葬することは「廃棄物処理法」違反になってしまう可能性があります。
ペットをご自宅の庭に埋葬すること自体は、ご自身の私有地であれば法律で禁止されているわけではありませんが、悪臭、害虫発生、環境汚染、そして将来的な家の売却や引っ越しに問題が生じる可能性があるため、あまりお奨めできません。
ただし、火葬したペットの遺骨に限り、寺院や霊園等で区画したペット専用の埋葬場所に埋葬している場所は全国的に見てもあります。(民営で行っているところもあります)
ペットのご供養の方法としては、火葬して、専用の場所に埋葬するというのが、一般的になっています。
続いて、宗教的な側面ではどうなのでしょうか。
すべての寺院で行われているわけではありませんが、寺院でのペットの埋葬は可能です。
近年では、ペット供養を行う寺院は増加傾向にあると思います。
それでも、はやりペット専用の区画と人の墓地の区画は分けられているところが、ほとんどのようです。
では何故、同じ場所に埋葬できないのか、わざわざ区画を別にしているのか。
それは、日本では古くから、犬や猫などの動物は「穢れ(けがれ)」「畜生」と考えられていて、神仏がいる神聖な場所に動物を入れるべきではないと考えられていました。
今でも、多くの寺社ではペットが敷地内に入ることを禁じているところもあります。
人が亡くなると、寺院から、戒名(法名)を付けていただくことになると思いますが、ここで使われる文字にもルールのようなものが存在します。
めでたい吉兆とされる動物(龍・鶴・亀・鹿など)の文字は使えますが、それ以外の動物(牛・馬・蛇・犬・猫など)は使用できません。あまりちゃんと戒名(法名)を見ることはないと思いますが、こういうところも宗教的な意味合いが強いのだと思います。
このような考え方から、家族同様、またはそれ以上の存在のペットであっても、人と同じ場所には埋葬しない(できない)状況が現在も続いています。
それでも徐々にではありますが、人とペットが同じ場所に埋葬できる霊園なども出てきているようです。宗教的にはまだまだハードルは高いようですが、運営管理を民間で行っているような霊園では、ペットと人が同じ場所に埋葬できることはアピールポイントになっているように思われます。
ペットと人が同じ場所に埋葬されることについては、様々な意見や賛否があるのだろうと思います。
昨今では、賃貸住宅でも「ペット同居可」という物件も珍しくなくなってきています。
生きている延長線上には必ず「死」というものが存在します。
ペットと暮らして楽しかった、癒やされたという方も多いのではないでしょうか。
ペットと暮らした延長線上で、同じお墓に入りたいと願うのは、ごく自然な感情のような気がします。
皆さんはペットの埋葬についてはどのようにお考えでしょうか。
善し悪しではなく、それを望む声が増えてくると、自然に同一場所での埋葬というスタイルが今後は増えてくるのかもしれません。
時代の流れと共に、ライフスタイル同様にお墓や供養の方法も変化し多様化してきています。先に述べたように、今はまだ法律が確立されていない、宗教的な理由などから、ペットと人が同じ場所に埋葬されることには抵抗感や高いハードルがあるように思われますが、ペットと人が同じ場所に埋葬されることが珍しくない時代は、そんなに遠くないような気がします。
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