終活セミナーを終えて
お盆前のことになりますが、念願だった我が家の墓石を建立しました!
お墓の仕事をしている私にとって、親族からは「どんなお墓を建てるのか?」興味津々の出来事だったようです。
建てたお墓は、一般的な和型の墓石です。以前コラムでもお話ししました、「両家墓」での建立をしました。墓地の広さは一坪ほどの広さで、ごく一般的な墓地です。
自分のことになりますが、この「両家墓」で建てる判断をしたいきさつについて、お話を進めていきたいと思います。
私の両親は私が子供の頃に離婚して、家族は母と妹と私の三人暮らしでした。大人になって、私も妹も結婚し、それぞれの家庭を持っています。母は現在も私と暮らしています。
私には、4人の子供(男の子3人、女の子1人)がいます。普通に考えれば、将来において、お墓を持つた方が好ましい家庭です。
私の家内(妻)は、二人姉妹の妹でした。姉は九州の方へ嫁いでいきましたので、実質、家内の家は、跡継ぎがいない状況でした。それでも、先祖代々之墓はありました。義理の父、祖父母が健在なときは、私に気を遣っていたのか、家の後継者、お墓の後継者については、話がでることはありませんでした。
その後、数年の間に義理の祖父母、父と他界してしまいました。父が他界したのをきっかけに、父の兄弟(叔父叔母)達から、お墓を守っていくようにと、事ある毎に家内は言われていました。亡くなった父は、長男だったため、本来ならその子供達が受け継いでいくのでしょうが、姉も妹(家内)も嫁に行ってしまったため、地元に住んでいる家内が集中砲火を浴びてしまっていました。
時には、私に息子が3人いるので、一人を養子にしたらとか、私に養子になって戸籍を移せ、などと言ってきたこともありました。私たちから叔父さん達の中で、誰かがお墓を継承することはできないのか?と訪ねてみても、あれやこれやと理由をつけて、結局は誰も見ようとしてくれる親戚はいませんでした。
身内の恥をさらすようなことかもしれませんが、こんな感じのやりとりは、私たちの家族に限ったことではないと、今は思っています。沢山の方達から相談を受ける中で、一番やっかいな相談事は、身内とのこのようなやりとりだと思います。その一番のやっかいな相談事が、相談内容の中で、一番多かったりしているのです。
話を私の話に戻しますが、結局のところ話し合いは平行線のままで、徐々にこのことに関しての話し合いの場を持つ機会も減り、疎遠状態になってしまった親戚もいました。
親戚との話し合いは先に進むことはありませんでしたが、家内とは、父や祖父母の命日などには、お墓についてどうするか、よく話をしていました。
実は、義理の父の遺骨は、お墓に埋葬せずに菩提寺に預かっていただいておりました。生前義父は預言でもしていたかのように「家の後継者問題やお墓のことで何かトラブルでも生じたら、解決するまで埋葬しなくていい」と言っていたのです。埋葬してしまったら、元には戻せないということを示唆していたのだと思います。
菩提寺の住職には、事情を説明したうえで理解していただき、「方向性が定まるまで、預かってもいいですよ」とおっしゃっていただき、本来なら埋葬すべきお墓があるにも関わらず、約10年もの間、お寺で預かっていただいておりました。
叔父さん達とは、なかなか話が進まなかったが、叔母さんにあたる方からは、「少子化の時代、家を継ぐ、お墓を継ぐというのは困難な時代だから、あなた方にお任せするよ。叔父さん達のことは気にしなくていいから」とおっしゃっていただき、「早く兄(義父)を埋葬してあげたい・・・」と言葉が続きました。
そして、昨年末、これで行こう!この形でお墓を建てよう!と決意して進めたのが、「両家墓」でした。家内の先祖代々のお墓は残しつつ、我が家のお墓も新しく建立することになりました。
家内の家の墓石は、50年以上も前に建てられた物でしたが、その分味が出ていて、古いながらも石の良さを感じられる墓石でした。外柵は所々が離れてしまっていて、触れるとグラッとするところもありました。
一度全てを解体し、墓石本体は綺麗に磨き直してそのまま使用し、外柵や灯籠は、処分して、基礎から全て作り直そうと決めました。設計や図面作成、石材選びはすべて私自身で行いました。家内には墓石を残す前提で、どうであってほしいのかなどヒアリングして、それらを元に設計しました。
そしてついに、先日お盆前にお墓が完成致しました。義父の埋葬をして、住職にお経をあげていただき、自分にとっての一大事業が終わりました。
来ていた叔母さんも目に涙を浮かべながら、喜んでいるようでした。
「両家墓」ということで、私の名字のお墓と、家内の旧姓の名字のお墓と二本並んで建っています。将来は私たち夫婦の親、つまりは子供や孫からみると、父方と母方の両方の先祖のお墓が、一カ所にあるという墓地に生まれ変わりました。
お盆の最中に、叔父さんから何年かぶりに電話があったそうです。「いいお墓を建てたようで安心した。こんな建て方があったんだね」と言っていたそうです。
それでも家内は不機嫌そうでしたが。
私も仕事上お墓やご供養のことで、沢山のご相談を承ることがございます。今回の我が家のお墓を建てるまでのいきさつも含め、本当に大変なことであり、悩ましいことでもあると、実感し体感したところです。今回のコラムは、何かのお役に立てればと思い、恥ずかしながら、家族内のやりとりまでお話しさせていただきました。
私のような体験は珍しくなく、今後もますます増えるのではないかと思っています。
現在、選択肢はひとつではありません。専門家や、身近に居る経験者などに、どうか相談していただき、良いご供養が継続されることを祈っています。
お墓総合サポートサービス http://ohakasupport.com/