井の中の蛙 大海を知らず
おかげさまでこの夏は、塾の仕事が大いそがしです。
本当にありがたいことで、感謝の気持ちでいっぱいです。
夏期講習に向けた準備と、大学受験の総合型・学校推薦などの各種選抜の
指導などが立て続けに入り、なかなか自分の思いをアウトプットする
時間がとれずにいました。今日は粗削りながら書き連ねてみたいと思います。
私が大学院を出て、学習塾に就職して数年が経ったころ、
ある先生から言われた言葉。
「人って、変われるんですか」
当時の私は、その方にこのような言葉を返した記憶があります。
「人って、なかなか変わらないものですよね。だからこそ、変わりたいと強く思うんですよ。変わりたいと思える人は、多少なりとも変われると思いますが、変わりたくないのなら、何も変わるはずはありません。その人の心の持ちようです。」
「もちろん、変われるかどうかは本人の努力だけではどうにもならないこともあります。だから、周りの人たちからのアドバイスや激励が大切になってくるんです。本気で取り組んでいる人には激励つきのアドバイスや指摘などがいろいろ寄せられます。最初は腹の立つ内容もあるかもしれないけれど、皆さんが他人のことにこれだけ親身に考えてくれていると思うと、涙が出るほどうれしいものですよ。」
「それに対して、本気で取り組んでいない人には、何もアドバイスはありませんよ。自分ひとりの力で変わるチャンスを待つしかないんですよ。つまり、変わる気がないなら絶対に変わらないということですね。私は、自分が精いっぱい取り組んでいることをちゃんと見ている人からアドバイスなどをもらえるのなら、この上なくうれしいですね。」
とはいえ、人は「変わりたい」と常に思えるほどに強い存在ではないと思います。
「変わりたくないな」と思い、たまには腰を掛けたくなるときは私にもあります。
しかし、人間には「ここが勝負どき」という場面は当然訪れることがあり、そのときには「精神力」と「体力」が必要です。「変わりたい」という思いで全力投入している自分を必ず誰かが見てくれていて、空回りした自分には「冷たい風」をかけてクールダウンを促してくれるものです。こういった存在がとても大切なのですが、そのためには、日ごろから「自分を気にかけてくれている方との関係性」を構築しておく必要があります。
自分にとっての「YESパーソン」ばかりを周りに固めていても、いざというときには何も見てくれていません。何もアドバイスは出てきません。むしろ、激励も含めた適切なアドバイスをかけてくれるのは、むしろ厳しい目で評価してくれている人に多い気がします。
だからこそ、人と人の間には、心理的かつ物理的に「適切な距離感」を保つ必要があって、それは私の業界である教育業界においても、とても大切なことだと思っています。互いがよりよく変わっていくためには、相手との「適切な距離感」が必要で、なれ合いでもなければ無駄な敵対心を起こす相手ではない「理性をもって、等距離で語れる相手」がいると心強く感じます。そういった素晴らしい人たちとの双方向コミュニケーションの重要性が、いまの教育において、もっと重要視されてもいいのかなと思います。
自分を変えていくためには、大切な存在との心理的な距離が「離れすぎず近すぎない」という「適切な距離感」で語り合えることが大切ですね。「自分を変える」ということ、それは仕事や勉強においても言えることで、真摯に語り合える良質な環境を、もっとありがたく思うようにしたいものです。



