口の発育が、人生の土台を決める
こんにちわ。名古屋市港区のオリーブ歯科こども歯科クリニックです。
最近、「療育」や「発達支援」という言葉を聞く機会がかなり増えました。
発達障害、落ち着きのなさ、偏食、不器用さ、睡眠の問題。
子どもの困りごとに早く気づき、早く支援することはとても大切です。
これは間違いありません。
ただ最近、その“正しさ”が強くなりすぎている場面もあると感じています。
先日、発達支援に関わる行政の会議に参加した時のことです。
幼稚園の先生側から、こんな意見が出ました。
「療育の専門家が園に入ってくる機会が増えたけれど、現場としては正直やりづらさも感じている」
理由を聞いて、なるほどと思いました。
幼稚園や保育園には、その園なりの教育方針や日々の流れがあります。
先生たちは、その集団全体を見ながら毎日必死に子どもたちと向き合っています。
そこへ外部の専門職が来て、
「この子にはこうしてください」
「この対応は避けた方がいいです」
「もっとこう関わるべきです」
と“正論”を伝える。
もちろん、子どものためを思って言っていることも多いです。
でも、園側からすると、
「園のことを十分知らないまま入ってきた」
「現場の大変さを理解していない」
「急にルールを変えようとしてくる」
そんな感覚になることがあります。
つまり、支援のつもりが、“現場を荒らしている”ように見えてしまうことがあるんです。
これは療育が悪いという話ではありません。
問題なのは、「専門家だから自分たちは正しい」という空気です。
子どもの支援では、この感覚がとても危険です。
なぜなら、子どもは“支援だけ”で育つわけではないからです。
家庭がある。
園がある。
先生との関係がある。
友達との集団生活がある。
その全部の中で、子どもは成長しています。
だから、本当に大事なのは、
「正しい支援を押し込むこと」ではなく、
「今その子が過ごしている環境と、どう協力するか」です。
歯科でも同じことを感じます。
私たちは口腔機能発達不全症や小児の発達支援に力を入れています。
ですが、「医院で訓練を受ければ改善する」という単純なものではないと考えています。
実際、呼吸、姿勢、食べ方、飲み込み方、睡眠、口の使い方は、すべて“日常生活”の中で作られていきます。
つまり、本当に大切なのは、医院に来ている時間ではなく、「家でどう過ごしているか」です。
ここに、当院が筋機能療法を“家庭主体”で行っている理由があります。
最近は、医院でトレーニングを受けること自体が目的化してしまっているケースも少なくありません。
ですが、週に1回数十分トレーニングしただけで、普段の呼吸や姿勢、食習慣まで大きく変わることは、現実的には多くありません。
だから当院では、「通えば治る」という考え方ではなく、
家庭の中で、
どう呼吸するか。
どう食べるか。
どう座るか。
どう眠るか。
そこを少しずつ整えていくことを重視しています。
そのため、保護者の方にも積極的に関わっていただきます。
場合によっては、
「そこまで家でやるんですね」
と驚かれることもあります。
ですが、子どもの発達は、“生活”そのものだからです。
私たちは、単に医院で訓練を提供するだけでは、本当の意味での改善には繋がりにくいと考えています。
もちろん、これは簡単な方法ではありません。
医院側も時間も説明も必要になりますし、ご家庭にも負担はあります。
ですが、“医院だけに任せる形”よりも、結果として根本改善に繋がりやすいケースを多く見てきました。
だからこそ当院では、医療者が主役になるのではなく、
「家族が子どもの成長を支える主体になる」
ことを大切にしています。
専門知識は、とても大切です。
でも、その知識を“武器”のように使い始めた瞬間、人との関係は崩れてしまいます。
専門職ほど、
「自分は本当に相手の立場を理解できているか」
を考え続ける必要があるのかもしれません。
オリーブ歯科こども歯科クリニックは、口だけを見るのではなく、子どもを取り巻く環境や人との関係まで含めて支えられる医院を目指しています。


