歯科医院が考える“食育”の本質

荒川大輔

荒川大輔

テーマ:口腔機能育成治療

こんにちわ。
名古屋市港区にありますオリーブ歯科こども歯科クリニックです。

「食育」と聞くと、多くの方は「好き嫌いをなくす」「栄養バランスを考える」といったイメージを持たれるかもしれません。
もちろん、それも食育の大切な一部です。けれども、歯科医師としての立場から見ると、食育とはもっと深いテーマであり、【子どもの人生そのものに関わる“発達支援”】だと私たちは考えています。

 

歯科で扱う「食」は、ただ食べるだけの話ではありません。
【噛む】【飲み込む】【口を閉じて呼吸する】【姿勢を保つ】【ことばを話す】――こうした一連の動きは、すべて「口腔機能」と呼ばれる基本的な力によって支えられています。

この口腔機能が正しく発達していないと、食事に時間がかかったり、むせやすくなったり、丸飲みや早食いがクセになったりと、さまざまな問題が起こります。
それだけではありません。食事中に姿勢が崩れやすい、集中できない、会話が続かないといった問題の背景にも、口腔発達の遅れが関係していることがあるのです。

 

近年では、「口腔機能の未発達」が、【歯並びの乱れ】【鼻づまり・口呼吸】【いびき】【学習・集中力の低下】などとも関係していることが明らかになってきました。
つまり、歯やあごだけでなく、呼吸や睡眠、発音、さらには子どもの社会性や自己肯定感にまで、食事の環境と口の使い方は大きな影響を与えているのです。

 

歯科医院が行う食育とは、「何を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」「どう噛むか」「どう育てるか」までをトータルにサポートするものです。
【食べる力を育てる】ということは、【生きる力を育てる】ことと同じだと、私たちは感じています。

 

当院では、幼少期からの口腔育成を通じて、食事を“支援の場”として活用することを重視しています。
それは、成長とともに自然に獲得されるべき力が、現代の生活環境では必ずしも育ちにくくなっているという現実があるからです。

たとえば、柔らかい食べ物ばかりになりがちな現代の食生活、姿勢の悪さを助長する椅子や机の高さ、忙しい毎日の中で失われがちな家族の会話時間――
こうした背景が重なり、知らず知らずのうちに、子どもの食べる力・話す力・飲み込む力が弱まっていくことがあります。

 

「よく噛むこと」「正しい姿勢で食べること」「楽しく会話しながら食事すること」――
この当たり前のようで忘れられがちな食事の基本を見直すことが、未来の健康を守る第一歩になります。

そして、それを支える専門職の一つが、私たち歯科医療の現場なのです。

 

歯科は“食べる入り口”を支える場所。
私たちは、歯科だからこそできる食育を通じて、すべての子どもたちが「自分の力で食べて、生きていく力」を育めるよう、これからもサポートしていきます。

気になる食べ方や姿勢、噛み方などがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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荒川大輔
専門家

荒川大輔(歯科医師)

オリーブ歯科こども歯科クリニック

歯並びだけでなく全身の健康に悪影響を及ぼすお子さんの口腔機能発達不全症に専門的に取り組んでいます。保険診療から、予防、先進的な自由診療など幅広く対応、家族全員で通える地域のかかりつけ歯科医院です。

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