【借入は“今”すべき?迷ったら考えるべき3つの視点】

居谷謙祐

居谷謙祐

テーマ:銀行取引の仕方



「今、借りるべきですか?」
これは経営者の方からよくいただくご相談のひとつです。

資金調達のタイミングは、会社の命運を左右しかねない大きな意思決定です。
必要なときに借りられない、あるいは、不要なときに借りてしまった――そんな失敗を避けるために、今回は“借入をすべきタイミング”と“してはいけない借入”について、現場目線で整理してお伝えします。



■ 借入すべき代表的なタイミングとは?


まず、前向きで合理的な借入タイミングを挙げてみましょう。

創業時
立ち上げ期は売上が立つまでの時間を見越して、設備資金+運転資金を確保する必要があります。
元金返済の据え置きも使いやすい。

売上が伸びる局面
売上が上がれば仕入や人件費も先行して増えます。キャッシュフローに余裕があるうちに先手を打ちましょう。

大口受注を獲得したとき
材料費や納期までの稼働コストが発生するため、資金手当は前倒しで。

設備投資を行うとき
高額な投資は手元資金だけでは対応できません。長期返済の借入が基本となります。

新規出店や事業拡大時
内装・什器などの初期投資はもちろんですが、開業後にしばらく売上が立たないリスクに備え、最低3〜6ヶ月分の運転資金も含めて借入するのが理想です。

慢性的に運転資金が不足する場合
月商の2〜3ヶ月分の資金が常に必要な業種もあり、その調達のための借入は健全な手段の一つです。

■ 借りるべきで“ない”タイミングとは?


一方で、次のようなケースは注意が必要です。

銀行から「今がチャンス」と勧められたとき
銀行には“融資残高を積み上げたい”という都合があります。あなたの資金需要より、銀行の月末都合で提案されていることもあるため、鵜呑みにせず検討を。

資金の使い道が明確でないとき
とりあえず借りておこう、という姿勢は将来の本当に必要なタイミングで“融資枠を使い切っている”という最悪の状況を招きます。

信用保証協会の制度を把握せずに安易に借りる
保証協会付き融資をメインにしている場合、利用枠や制度の種類(セーフティネットや借換保証など)を正しく理解しないと、次の借入時に制限がかかることがあります。

■ 銀行のペースに振り回されないことが大切


銀行からの提案を断るのは気が引けるかもしれませんが、資金調達は“今”必要なのか、“誰のために・何のために”借りるのかを明確にしないと、後々自分の首を絞める結果になった場面を多々見てきました。

・すでに使ってしまって手元に残っていない
・必要なときに借りられない
・金利ばかりを気にして使いづらい条件になってしまった

こうした事態を避けるためにも、資金調達の判断はしっかり整理してから行うことが大切です。

■ おわりに:判断に迷ったらご相談ください


当社では、創業期・拡大期・再建期など、あらゆるステージの経営者の資金調達をサポートしています。

銀行との交渉や、どの制度を使うべきかのアドバイス、借入のリスク管理まで、財務の視点から“今、本当に必要な借入かどうか”を一緒に考えます。

まずは、お気軽にご相談ください。


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居谷謙祐
専門家

居谷謙祐(資金調達・財務コンサルタント)

株式会社ライフクリエイト

専門用語を使わず、社長と同じ目線で「数字」と向き合うのがモットーです。 資金調達、決算書を解析した強みの発掘と弱みの補填など、数字の裏にある可能性を引き出します。

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