財務改善でまず手をつけるべきは、実は「利益」ではない?
企業の資金繰りが厳しくなったとき、銀行から「信用保証協会付きDDS」という提案を受けることがあります。
一見、融資の延長戦に見えるこのスキーム。
しかし、その正体と意味を理解していないと、後々取り返しのつかない状況に陥ることもあります。
【信用保証協会付きDDSとは?】
DDS(Debt Debt Swap)とは、既存の借入金を、新たな借入で組み替える仕組みです。
「借り換え」の一種ですが、普通の借り換えと違い、
銀行と保証協会がリスクを分担しながら、企業を延命・再生させるために行う特殊なスキームです。
【正式な制度ではない】
ここが落とし穴です。
信用保証協会付きDDSは、「保証協会が公式に出している商品」ではありません。
実際は、銀行と保証協会が裏で調整しながら作り上げる個別対応型の救済策に過ぎません。
つまり、
銀行:「この会社、正常先じゃないな…でも完全に切るのもリスク高いな」
保証協会:「条件付きなら保証してもいい」
そんなギリギリの交渉の上に成り立っているのです。
【この提案が来たら何を意味するか?】
シンプルに言えば、
「あなたの会社は、すでに通常融資が難しいと判断された」
ということです。
まだ倒産ラインではないにしても、
・リスケジュール対象先
・要管理先(銀行内部区分での話)
と見なされ始めていると考えるべきです。
【DDSを提案されたときにすべきこと】
重要なのは、受け身で受け取るのではなく、次の2点を必ず押さえることです。
- なぜDDSが必要なのか、理由を銀行から明確に聞き出す
- DDS後、どういう財務計画で正常先に戻すのか、明確なプランを持つ
DDSは延命措置ではなく、再生へのリスタートのチャンスです。
その後の改善行動を起こせなければ、単なる時間稼ぎに終わり、
結局は資金ショートや破綻に向かってしまいます。
【まとめ】
信用保証協会付きDDSは、「救済」でもあり「警告」でもあります。
提案されたら、「ラッキー」ではなく「勝負どころ」と捉えるべきです。
このタイミングで、財務の抜本的な見直し、ビジネスモデルの再構築に本気で取り組むことが、
会社の未来を左右します。
不安があれば、財務コンサルや外部CFOに早めに相談し、
「正常先への復帰ロードマップ」を作ることを強くおすすめします。



