【支店長になったけどすぐやめちゃいました①】元信金マンが“本当に顧客のためになる仕事”を求めて辞めた理由
信用金庫を辞めたあと、私はご縁あって不動産会社のグループに入りました。
役職はCFO。経営管理だけじゃなく、資金調達からM&A、社内制度の整備、不動産管理の仕事まで幅広く任せてもらえました。
こういうマルチタスクなことをやりたかったというのもあります。
「経営って、もっと泥くさくて、曖昧で、現場の感覚がものを言う世界なんだ」というのを痛感させられました。
■ 融資のスキームだけじゃ、経営は回らない
例えば、銀行からの調達。
信金時代は「条件整えて、書類そろえて、はいOK」みたいな感覚でやってきたけど、
現場に出てみると、社内の意思決定や事業部とのすり合わせの大変さで、調達一つとっても大変でした。
経費はどこまで入れる?
返済の余力は?
今後の見通しは?
そういう“整ってない現場”を目の当たりにして、
「これ、数字だけの世界ではないな」と思うようになりました。
■ 「現場の感覚」と「数字の整合性」がバラバラ
もっと驚いたのが、事業部ごとに数字の感覚がバラバラだったこと。
売上は上がってるのに、利益率は低い
事業の成長スピードが早すぎてリスク感覚が乏しい
誰も全体を把握していない…
これって、現場の人たちが悪いわけじゃなくて、
仕組みが整ってなかっただけのように思います。
「誰も見えてなかったから、そりゃ気づけないよな」と。
■ “答えのない経営”に向き合うということ
銀行では「答えのある金融」を扱っていました。
でも、経営の現場は違います。
採用が当たるかは、やってみないと分からない
新店舗の売上も、蓋を開けてみないと分からない
M&Aも、契約書だけで済むわけじゃない
つまり、経営って「分からないこと」に向き合い続ける仕事なのだと痛感しました。
そして、社長がその渦中にいるとき、
「どっちの選択肢がマシか」を冷静に一緒に考える役割が、CFOや財務の人間には求められている。
私はそのとき、初めて「数字って“判断材料”なんだ」と腑に落ちました。
■ まとめ:経営を支えるのは“公式”じゃなく“関係性”
数字の知識やスキームは大事。
でもそれ以上に、「この人と一緒ならなんとかなる」と思ってもらえる関係性が大事。
社内の信頼も、金融機関との関係も、すべて“信頼”がベースなんだと、経営の現場で気づかされました。
次回は、私がどうやって“経営者の右腕”としての事業を立ち上げ、今のような形で中小企業を支えるようになったのか。
その経緯と、今の仕事への想いをお話しします。
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