銀行評価は“たった1日”で決まる?決算書の真の役割とは

居谷謙祐

居谷謙祐

テーマ:銀行取引の仕方

「たった1日の数字で、1年分の評価が決まってしまう」
信金勤務時代から違和感を覚えていたことです。

決算書は、税務申告のための書類と思われがちですが、銀行にとっては“融資判断の命綱”。

特に注目されるのは、「貸借対照表(BS)」です。
これは1年の成果ではなく、“決算日の1点のスナップショット”。
たとえ翌日に改善していても、評価対象はその1日だけ――。
そう、銀行は“決算日のあなた”を見て、今後1年間の姿勢を決めるのです。
ここをしっかり認識しておかなければなりません。




銀行が見るのは“決算日の写真”


例えば、決算日時点で在庫が多く残っていれば「資金が滞っている」と判断され、売掛金が回収されていなければ「キャッシュフローが弱い」と見なされます。
代表者貸付金が増えていれば、「私的流用かも」と疑われることすらあるでしょう。
一方で、決算日前に在庫を整理し、売掛金をできる限り現金化しておけば、見た目の数字は大きく改善されます。銀行はその“姿”を評価して、今後の融資姿勢を決めてくるのです。

特に注目される数字とは


銀行が決算書で特に注目するのは以下の指標です:

  1. 自己資本比率
  2. 当座比率
  3. 経常収支比率
  4. 棚卸資産回転率
  5. 売掛金回収期間
  6. 代表者貸付金の有無・増減


これらはすべて、決算日の“1日だけ”の状態で判断されます
だからこそ、直前の数日間だけでも見直し・調整する価値があります。

決算書は“信用の武器”

決算書は、ただ税金を計算するための資料ではありません。
銀行にとっては、“企業の信頼性を証明する公的なスナップショット”

だからこそ、「1日」だけでもしっかり見せる努力が、1年分の評価につながる。

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居谷謙祐
専門家

居谷謙祐(資金調達・財務コンサルタント)

株式会社ライフクリエイト

専門用語を使わず、社長と同じ目線で「数字」と向き合うのがモットーです。 資金調達、決算書を解析した強みの発掘と弱みの補填など、数字の裏にある可能性を引き出します。

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