【完全ガイド】M&Aで損しないために──譲渡価格の決め方と“高く売る”ための4つの視点

居谷謙祐

居谷謙祐

テーマ:M&Aについて



1. 譲渡価格の決め方は「交渉」である


M&Aの現場でよくあるご相談が「いくらで売れるのか?」というものです。
しかし、事業の売却価格は一律に決まるものではなく、最終的には「売り手と買い手の合意」で決まります。

たとえば、売り手が「この事業には10年の想いがあるから、利益以上の価値がある」と考えても、買い手は「将来の収益性やリスクを踏まえたい」と慎重になります。この“感情と合理のギャップ”を埋めるのが、価格交渉です。

特に中小企業のM&Aでは、単なる数字だけでなく、「事業への想い」「社員の雇用維持」「地域との関係性」なども価格に影響を与えることがあります。つまり、数字だけで決めない“総合判断”が求められるのです。

2. M&Aで使われる主な価格算定手法


M&Aの現場では、以下のような代表的な算出方法が使われます。適正価格を探る上で、複数の視点から事業価値を見極めることが大切です。

● 時価純資産法(ネットアセットアプローチ)
企業の純資産(総資産-負債)を基準に評価

不動産業や製造業など、資産が多い業態で有効

収益性を加味しないため、成長企業には不向き

● 収益還元法(DCF法・EBITDA倍率法)
DCF法:将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻す

EBITDA法:収益指標に4~6倍程度の倍率を掛けて評価

成長性・安定性の高い企業に用いられ、買い手の収益期待が重視されます

● 類似案件との比較(マーケットアプローチ)
同業種・同規模のM&A実績を基準に類推

例:「営業利益の5倍で売れた」という事例から相場を探る

実際には、事業の差異を調整しながら柔軟に当てはめます

当社では、これらの算定方法を組み合わせ、客観的かつ現実的な価格提案を行っています。

3. 譲渡価格を高めるために準備すべきこと


「どうすれば高く売れるのか?」──経営者の誰もが気になる点です。
譲渡価格を最大化するためには、事前準備が非常に重要です。以下の4点を押さえておきましょう。

① 財務の健全性を示す決算書
決算書を整理し、売上・利益の推移を分かりやすく

税理士任せではなく、将来性の説明ができる“経営者の視点”を持つ

② 成長シナリオの提示(事業計画書)
5年後の売上・利益の見込みなどを明文化

経営理念やビジョンも盛り込むと、買い手の共感を得やすい

③ 経営の属人化からの脱却
「社長が抜けても回る」体制を見せる

業務フローやスタッフの役割分担を整備し、引き継ぎの安心感を提供

④ 無形資産の魅力を伝える
ブランド・顧客基盤・地域密着性など、“数字に出ない強み”を丁寧に説明

特に地場密着型事業では、関係性の資産が価格に影響します

4. 金額以上に大切な“引き継ぎ”の視点


価格はもちろん大事ですが、M&Aでは「その後のトラブル防止」も同じくらい重要です。

特に注意すべきなのが【人の引き継ぎ】です。
従業員が不安になって退職してしまうと、買い手が想定していた利益が出ず、「高く買ったのに回収できない」といった不満につながります。

当社では、買い手・売り手の間に立ち、「従業員への説明」「承継後の体制構築」も含めて支援を行います。人の不安に寄り添い、スムーズな事業承継を目指します。

5. まとめ|納得の価格でM&Aを成功させるには?


M&Aは単なる数字合わせではなく、「想い」と「未来」も価格に含めた総合交渉です。

・時価純資産法・収益還元法・マーケットアプローチの複合判断
・価格を高めるには、決算・計画・体制・無形資産の整備が鍵
・金額だけでなく、従業員や顧客の引き継ぎ準備も重要

そして、最終的な価格は“交渉力”で決まります。
第三者として冷静に支援できる専門家の存在が、納得感あるM&Aを実現します。

\ご相談ください/
株式会社ライフクリエイトでは、
中小企業のM&A支援・企業価値評価・価格交渉サポートを一貫して行っています。

「いくらで売れるのか知りたい」
「M&Aの準備を進めたいが何から手をつければいいかわからない」
「金融機関や税理士との連携もお願いしたい」

そんな方は、お気軽にご相談ください。
事業と想いをしっかりつなぐ“経営の右腕”として、寄り添った支援をお約束します。

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居谷謙祐
専門家

居谷謙祐(資金調達・財務コンサルタント)

株式会社ライフクリエイト

専門用語を使わず、社長と同じ目線で「数字」と向き合うのがモットーです。 資金調達、決算書を解析した強みの発掘と弱みの補填など、数字の裏にある可能性を引き出します。

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