【実例あり】採算管理の甘い企業を立て直す!決算書&試算表で利益体質に変える方法

居谷謙祐

居谷謙祐

テーマ:事業再生

企業の財務管理において、「売上は伸びているのに利益が出ない」「資金繰りが厳しい」という課題を抱える企業は少なくありません。
その多くは、採算管理が不十分で、利益構造を把握できていないことが原因です。
決算書や試算表を正しく読み解くことで、経営の改善ポイントを明確にし、利益を生み出す体制を構築することが可能になります。

本記事では、採算管理の弱い企業に対して、どのように財務分析を行い、具体的な改善策を講じるべきかを解説します。





1. 採算管理が弱い企業に見られる特徴


採算管理ができていない企業は、以下のような共通点を持っています。

(1) 部門別・店舗別の損益管理ができていない

企業全体の損益は把握しているが、部門別・店舗別の採算を細かく見ていない。
収益を生み出している部門と、不採算部門の違いがわからない。

(2) 変動費・固定費の区別が曖昧

どのコストが売上に直結しているのか(変動費)、
 どのコストが事業運営のベースとなるのか(固定費)が整理されていない。
結果として、コスト削減をどこから手をつけるべきかわからない。

(3) 原価率や利益率が把握できていない

商品・サービスごとの原価率を計算しておらず、適正な価格設定ができていない。
低利益率の商品・サービスにリソースを割きすぎている可能性がある。

2. 採算管理を強化する具体的な手法


企業の財務を改善するためには、決算書や試算表のデータを活用し、具体的な採算管理の強化を行う必要があります。

(1) 部門別・店舗別の損益計算を導入する

企業全体では黒字でも、個別の部門や店舗単位で見ると赤字が続いているケースが多くあります。
「どの部門が利益を出し、どこが足を引っ張っているのか?」を明確にすることが重要です。

・ 部門ごとの売上・利益を試算表で管理し、黒字・赤字の部門を把握
・ 不採算部門は改善策を検討し、収益が見込めない場合は縮小・撤退を判断
・ 収益性の高い部門にはリソースを集中し、全体の利益率を改善
・ 各部門の構成比を比較してその要因を検証

(2) 商品・サービスの利益率を把握する(ABC分析の活用)

どの商品・サービスが最も利益を生み出しているかを明確にするために、ABC分析を活用します。

・ 売上・利益の大きいAランク商品を強化し、販売促進を強化
・ Bランク商品は改善の余地を探る(価格改定、仕入れコスト削減など)
・ Cランク商品は見直し、撤退や販売縮小を検討

売れ筋商品=利益が出る商品とは限らないため、粗利率を確認しながら戦略を立てることが重要です。

(3) 原価管理と適正価格の設定

原価率が高すぎると、売上が増えても利益が残りません。
「適正な原価率を維持できているか?」を定期的にチェックすることが必要です。

・ 原材料費や仕入れコストを見直し、無駄な支出をカット
・ 価格設定を適正化し、原価率の高い商品は値上げを検討
・ 仕入れ先との交渉を行い、コスト削減の余地を探る

(4) 固定費の適正化

特に、人件費・家賃・広告費などの固定費が高すぎると、利益を圧迫します。

・ 売上に対して適正な人件費比率を維持する(例:売上の30%以内)
・人件費の過剰支出がある場合、シフトの最適化や業務の効率化を図る
・集客が見込めない広告費は削減し、効果的なマーケティング手法を導入

3. 採算管理を徹底するための継続的な取り組み


採算管理は、一度やれば終わりではなく、定期的な見直しが必要です。

・ 毎月の試算表を分析し、売上・利益・コストの推移をチェック
・ 改善策を実行し、その効果を数値で検証
・ 銀行融資を受ける場合、財務管理の強化が融資の成功確率を高める

4. まとめ


採算管理が弱い企業は、部門別・商品別の損益が不透明で、どこに改善の余地があるか把握できていないことが多いです。
決算書や試算表のデータを活用し、以下のポイントを実践することで、利益体質の企業へと変革できます。

・ 部門別・店舗別の損益を把握し、黒字化を進める
・商品ごとの利益率を分析し、不採算商品の改善や撤退を検討
・原価管理を徹底し、適正な価格設定を行う
・固定費の最適化を図り、無駄な支出を削減
・定期的に試算表を分析し、継続的な経営改善を行う

採算管理の強化は、企業の成長と財務健全性の向上に直結します。
当社では、財務分析をもとに企業の採算管理をサポートし、持続的な成長を支援しています。
「自社の利益構造を見直したい」「経営改善を進めたい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください!

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居谷謙祐
専門家

居谷謙祐(資金調達・財務コンサルタント)

株式会社ライフクリエイト

専門用語を使わず、社長と同じ目線で「数字」と向き合うのがモットーです。 資金調達、決算書を解析した強みの発掘と弱みの補填など、数字の裏にある可能性を引き出します。

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