銀行へ決算報告のポイント
銀行に融資を申し込んだ際、「総合的判断により今回は見送りとさせていただきます」と言われたことがある経営者は少なくありません。このフレーズは銀行にとって非常に便利な断り文句であり、融資を断る際に相手を怒らせないために使われることが多いのです。
しかし、この「総合的判断」という言葉の裏には、財務状況の問題だけではなく、さまざまな理由が隠されていることがあります。経営者としては、ただ断られて諦めるのではなく、本当の理由を探り、次回の融資に向けた対策を考えることが重要です。
本記事では、銀行が融資を断る本当の理由と、それを探るための交渉術について解説します。
1. 銀行が「総合的判断」として融資を断る理由
銀行が融資を断る際、以下のような理由が考えられます。
(1) 財務状況に懸念がある
• 自己資本が少ない、債務超過
• 売上が減少しており、利益が安定していない
• 過去の決算書と比較して、資金繰りが悪化している
(2) 保全(担保や保証)が不十分
• 信用保証協会の枠がいっぱいで保証が受けられない
• 担保として提供できる資産がない
• 保証人がいない、または保証能力が不十分
(3) 代表者・役員に問題がある
• 代表者の個人信用情報に問題がある(過去の延滞・ブラックリストなど)
• 第三者株主や役員に信用に関わる問題がある
• 過去に他の銀行でトラブルを起こしている
(4) 銀行の事務コスト・業種リスク
• 借入希望額が小さすぎて、銀行側のコストに見合わない
• 銀行がその業種をリスクが高いと判断している(例:飲食業、不動産業など)
• 過去に同じ業種で貸し倒れが発生したため、慎重になっている
こうした理由をストレートに伝えるとトラブルになりかねないため、銀行は「総合的判断」という曖昧な言葉で説明を濁すのです。
2. 「総合的判断」の真意を探る質問術
銀行から融資を断られた場合、ただ諦めるのではなく、具体的な改善策を考えるために質問を投げかけることが重要です。
以下の質問を銀行に投げかけることで、何が問題だったのかを探ることができます。
(1) 財務状況に関する質問
・「どのような改善をすれば、次回の融資審査が通る可能性がありますか?」
・「財務状況のどの部分を改善すれば、融資が受けられるでしょうか?」
→これにより、自己資本比率の低さ、売上の不安定さなど、具体的な課題が見えてきます。
(2) 保全(担保や保証)に関する質問
・「担保として提供できる資産があれば、融資の可能性はありますか?」
・「信用保証協会を活用する場合、どの程度の枠が必要ですか?」
→これにより、担保の不足や保証協会の余力不足が原因かどうかが分かります。
(3) 借入金額・融資条件に関する質問
・ 「借入希望額を下げれば、審査してもらえる可能性はありますか?」
・「返済期間を長くすることで、銀行側のリスクを減らせるでしょうか?」
→借入希望額や返済条件の変更によって、融資の可能性があるかどうかを探ることができます。
(4) 代表者・役員の信用に関する質問
・「株主や役員の問題が影響している可能性はありますか?」
・「代表者の個人信用情報に何か問題がありますか?」
→ 個人信用情報が原因であれば、改善の方法を考えることができます。
(5) 業種リスクや銀行の方針に関する質問
・「この銀行では、どのような業種がリスクとみなされていますか?」
・「他の金融機関では融資の可能性がありますか?」
→もし銀行の業種リスクが原因なら、他の金融機関に相談する選択肢も考えられます。
3. まとめ|銀行の「総合的判断」に惑わされず、適切な対応を
銀行の「総合的判断による融資不可」という言葉は、単なる断り文句ではなく、企業のどこかに課題があることを示しています。しかし、その理由を明確に説明してくれる銀行担当者は少ないため、経営者自ら質問を投げかけ、原因を探る努力が必要です。
○銀行が融資を断る主な理由
・財務状況の悪化(自己資本不足、赤字決算など)
・担保や信用保証協会の保証枠不足
・代表者や株主の信用情報に問題がある
・銀行の業種リスクや事務コストの問題
○ 断られた場合にするべきこと
・財務状況の改善策を銀行に直接尋ねる
・ 担保や保証人の有無を確認し、調整を試みる
・融資額の見直しや、返済条件の調整を相談する
・業種リスクが原因なら、他の銀行への相談を検討する
融資を申し込んで断られたからといって、すぐに諦める必要はありません。
銀行との対話を通じて改善点を把握し、次の融資に向けた対策を練ることが、資金調達の成功につながります。
当社では、銀行融資の交渉支援や財務改善のアドバイスを行っています。
「銀行との交渉に不安がある」「融資を成功させるためのポイントを知りたい」という方は、お気軽にご相談ください!