これだけは押さえたい!金利上昇時の資金調達で失敗しないコツ
決算書を提出するだけでは危険?評価を高める報告の工夫とは
銀行から融資や信用枠の拡大を得るためには、決算報告は「提出するだけ」で終わらせてはいけません。
企業の実態が正しく伝わらなければ、意図しない形で評価が下がり、融資条件に影響することも。
このコラムでは、銀行がどこを見ているのか、企業がどんな補足資料を準備すべきか、実務視点で解説します。
1. 決算書の提出だけでは足りない理由
決算書は企業の「通信簿」のようなものですが、読み解くのは銀行側の担当者です。
もし説明を添えず提出すれば、数字だけで判断されて誤解されるリスクがあります。
たとえばこんな誤解、ありませんか?
売上が増えたのに利益が減った?
→ 実は拡大戦略のための先行投資だった
借入が増えている?
→ 成長投資のための戦略的借入である
在庫が急増?
→ 滞留ではなく、計画的な先仕入れである
こうした“背景”を説明しないと、銀行側は「リスクが高い」と誤認してしまうのです。
2. 銀行に出すべき「補足資料」とは
決算報告を成功させるには、以下のような資料を用意しましょう。
● (1) 前期比較の分析レポート
数値の増減理由を一目でわかるように整理
特に悪化項目に対しては改善策を明記
改善が進んだ項目は“努力の成果”として伝える
● (2) 業種ごとの補足資料
【製造・小売業】在庫の回転率・管理体制
【BtoB企業】売掛債権の内訳・回収状況
【不動産賃貸】入居率・賃料収入の安定性
→ 「この業界ならこうなる」と銀行に理解してもらうための工夫が必要です。
● (3) 組織図・ガバナンス体制
経営陣の役割分担
財務・経理部門の責任体制
→ 小規模でも「管理している」ことが伝われば評価UP
● (4) 今期の見込みや成長戦略
売上・利益計画
設備投資・新店舗出店の計画
人材投資、業務改善の内容 など
銀行は“未来の見通し”を重視しています。数字の裏に「経営の意志」があるかを見ています。
3. 中小企業でもできる実践ステップ
「そんなに資料は出せない…」という声もよく聞きます。
でも、要点を押さえて“最低限の説明”があるだけでも、評価はまったく違います。
たとえば──
「売上増の理由」だけでも紙1枚で添える
在庫の内訳を口頭で伝えられるようにしておく
今期の売上目標と考え方を箇条書きにしておく
こうした準備が「この会社は考えている」と銀行に印象づけるのです。
4. まとめ|“見せ方”ひとつで評価は変わる
決算書は過去の結果ですが、それをどう伝えるかで未来の融資条件は大きく変わります。
- 前期との比較で、数字の変動を解説
- 業種の特性を補足して、誤解を防ぐ
- 管理体制を明確にして、信頼を得る
- 将来の計画を示して、成長を印象づける
「数字に強くなる」ことよりも、「数字を伝える力」をつけることが先です。
【外部支援も活用を】
当社では、決算報告に必要な補足資料の作成や、銀行向けの説明同席など、外部CFOとしての支援を行っています。
「このまま提出して大丈夫かな?」「説明が苦手…」という経営者の方は、ぜひ一度ご相談ください。



