最近のリスケジュールに対する銀行の考え方とは?経営者が知っておくべきポイント
銀行への決算報告をスムーズに進めるためのポイントとは?
企業が銀行からの融資や信用枠の拡大を得るためには、決算報告を適切に行うことが不可欠です。しかし、単に決算書を提出するだけでは、銀行側に経営の実態が正しく伝わらず、数字だけで誤った評価をされる可能性があります。
本記事では、銀行への決算報告を行う際に押さえておくべきポイントと、企業が準備すべき資料について詳しく解説します。
1. 決算書の提出だけでは不十分な理由
多くの企業は、銀行に決算書(貸借対照表・損益計算書)を提出する際、特に説明を付けずに送ってしまいがちです。
しかし、銀行の担当者は決算書の数字を基に企業の信用格付を行い、前期との変動やリスク要因を分析します。
問題は、銀行側が企業の内部状況を詳しく把握できるわけではない点です。
例えば、以下のようなケースでは、企業側からの補足説明がないと誤った評価をされる可能性があります。
売上が急増したが、利益が減少した場合
→ 事業拡大のために先行投資を行った結果であれば、銀行に理解を求めるべき。
負債が増加している場合
→ 事業成長のための借入であれば、将来の収益見込みを説明する必要がある。
在庫が増加している場合
→ 仕入れ計画に基づいたものであり、滞留していないことを示せると評価が向上。
数字の変動だけを見て評価されるのではなく、「なぜそうなったのか」「今後どのように改善・発展させるのか」を伝えることが重要なのです。
2. 銀行に提出すべき補足資料
銀行への決算報告をよりスムーズに進め、信用評価を高めるためには、以下のような補足資料を提出するのが望ましいです。
(1) 前期比較による分析レポート
決算書の数値を単純に提出するのではなく、前期比較で大きく変動した項目についての分析レポートを添付すると、銀行側の理解が深まります。
増加・減少の要因を説明
→ 売上が増加した理由、利益が減少した原因などを明確に記載する。
悪化した項目に対する今後の対策
→ 例えば「原価率が悪化したが、新規の仕入れ先を確保し改善を図る」など、対策が具体的であるほど評価が高まる。
良化した項目の背景
→ 例えば「コスト削減策が成功し、営業利益率が向上した」など、強みを明確に伝える。
(2) 業種別の特性に応じた詳細資料
銀行は業界ごとの特性を理解していない場合も多いため、自社の業界特性を踏まえた補足資料を提出すると評価が高まります。
在庫を保有する業種(製造業・小売業など)
→ 在庫の種類・回転率・保有期間を明示し、過剰在庫でないことを示す。
売掛債権が多い業種(BtoBビジネスなど)
→ 主要取引先別の売掛金の内訳と回収期間を記載し、債権管理が適切に行われていることを証明する。
不動産賃貸業など
→ 物件の入居率・平均入居期間・賃料回収状況を補足し、安定収益が確保されていることを示す。
これらのデータを示すことで、銀行側に不要なリスクを懸念されることを防ぐことができます。
(3) 組織図・役割分担表
企業の管理体制や組織の明確化は、銀行の信用評価を高める要素の一つです。
経営陣の役割と意思決定プロセス
財務・経理部門の管理体制
これらを示すことで、適切なガバナンス体制が整っていることをアピールできます。
(4) 今期の見込みや事業展望
決算書は過去の実績を示すものですが、その過去の内容を経営者がしっかり把握できているのか、また未来をどのように考えているのかを銀行は気にします。
・今期の売上計画
・予算計画
・事業の成長戦略
・投資計画(新店舗開設・設備投資など)
こうした情報を補足資料として提出することで、銀行側も将来の収益見込みを判断しやすくなります。
3. 中小企業がここまでの対応をするのは難しい?
中小企業や小規模事業者にとって、ここまでの詳細な資料を用意するのは難しいケースもあります。
しかし、適切な情報開示を行うことで、銀行からの評価を大きく改善できる可能性があるため、積極的に取り組むべきです。
当社では、決算報告に必要な補足資料の作成や、銀行向けの説明資料の外部委託も請け負っています。
融資の審査をスムーズに進めたい、銀行との関係を強化したい企業の方は、ぜひご相談ください。
まとめ
銀行への決算報告を成功させるためには、単に決算書を提出するだけでなく、補足資料を添えて「数字の背景」を明確に伝えることが重要です。
・前期比較の分析レポートを作成し、数値の変動理由を説明
・業種別の特性を踏まえた詳細資料を準備
・組織図や役割分担表を添付し、管理体制を明確にする
・今期の売上計画や事業展望を示し、未来の成長をアピール
中小企業にとっては負担が大きい作業かもしれませんが、銀行からの評価を高め、融資の条件を有利にするためには必要不可欠なポイントです。
ぜひ、次回の決算報告に向けて準備を進めていきましょう。