中小企業がやりがちな財務の落とし穴とその対策
~決算書や月次試算表を活用した経営改善~
経営の現状を把握するために月次試算表を作成していますか?
しかし、それらの数字を「確認するだけ」で終わらせていませんか?
数字は経営状況を如実に反映し、正しく分析することで経営課題や改善点が浮き彫りになります。
1. 数字分析の重要性 ~見えてくる課題とは?~
決算書や月次試算表は、会社の「健康診断書」に例えられます。
売上高、利益、費用構造、資金繰り、そしてキャッシュフローの状況が数字として明確に示されているため、適切な分析を行うことで、現状の問題点や課題を把握することができます。
例えば:
売上は上がっているのに利益が出ない → 原価や固定費が増加している可能性。
キャッシュフローが苦しい → 売上債権の回収が遅れている、または過剰在庫の発生。
借入金の返済負担が大きい → 融資条件の見直しや資本構成の再検討が必要。
これらは決算書や月次試算表を「見るだけ」では気づけないことです。月次のデータを定期的に分析し、数字の変動要因を把握することで、問題に対して早期に対応することが可能になります。
2. 実績事例:数字分析による課題解決
以下は、決算書や月次試算表の分析を通じて得られた改善実績の一例です。
(1) 原価率の見直しで利益率を改善
ある飲食店では、売上は増加しているものの、利益が出ないという課題がありました。
分析の結果、人気メニューの原価率が高すぎることが判明。
原材料を見直し、価格設定を再構築することで、原価率を10%改善。結果として、半年後には毎月の利益が安定的に確保できるようになりました。
(2) 資金繰り改善とリファイナンス
別の製造業の事例では、月次試算表のキャッシュフロー分析を通じて、売上債権の回収遅延が資金繰りを圧迫していることが判明。
取引条件を見直し、支払サイトの短縮を交渉。また、リファイナンスを実施し、資金繰りの安定化に成功しました。
(3) 部門別損益管理の導入
サービス業を営む企業では、全体の利益は出ているものの、一部のサービスが赤字を生んでいることが判明。
部門別損益管理を導入し、赤字部門のコスト削減とサービス終了を決断。
主力事業に集中したことで、翌年度には利益率が20%向上しました。
3. 分析を毎月続けることのメリット
数字分析は一度だけでは効果が限定的です。
毎月の試算表を活用し、継続的に分析することで次のようなメリットがあります。
(1) 経営の予測精度が向上する
季節ごとの繁忙期や閑散期を予測しやすくなり、資金繰りや人員配置、在庫管理の計画が立てやすくなります。
たとえば、繁忙期には粗利率の高い商品を揃え、閑散期にはキャンペーンを行うなど、事前準備を整えることで売上増加につなげられます。
(2) 早期対応が可能
数字の変化を迅速に把握することで、問題が深刻化する前に手を打つことができます。
売上や利益の減少傾向が見られた場合、早期にコスト削減や価格改定を検討することができます。
(3) 社内での意思決定がスムーズになる
数字に基づく議論を行うことで、経営陣やスタッフ間での合意形成がスムーズになります。
「感覚」ではなく「事実」に基づいて話し合うことで、経営改善のスピードが上がります。
4. 数字分析を習慣化するために必要なこと
数字分析を習慣化するためには、次のポイントを押さえることが重要です。
データの正確性を確保する
会計データが正確でなければ、分析結果も信用できません。クラウド会計ソフトを活用し、リアルタイムで正確なデータを確認できる仕組みを整えましょう。
外部専門家の活用
経営者だけで全てを判断するのは困難です。財務や経営の専門家に相談し、数字分析のアドバイスを受けることで、課題解決が加速します。
定期的なミーティングを設定する
毎月1回、試算表のデータをもとに経営会議を行い、課題を共有し対策を講じる場を設けましょう。
まとめ
決算書や月次試算表の数字は、経営の現状と未来を映し出す「鏡」のようなものです。
数字をしっかり分析し、課題を発見して対策を講じることで、事業の改善や成長が実現します。
数字分析は経営者にとって必須のスキルです。しかし、数字を見るだけではなく、行動につなげることが大切です。
私たちは、数字の読み解き方から改善提案、実行支援まで、一貫したサポートを提供しています。
ぜひお気軽にご相談ください。