・数字は“見るだけ”で終わらせない──決算書・月次試算表を経営改善に活かす方法

居谷謙祐

居谷謙祐

テーマ:財務管理について



「試算表、ちゃんと活用できていますか?」
「毎月、数字は見ている。でも、どう活かせばいいか分からない…」
そんな経営者の声を、私たちはこれまで何度も聞いてきました。

月次試算表や決算書は、単なる“過去の記録”ではなく、経営の現在地を示し、未来をつくるための重要なツールです。
ところが、多くの企業では「数字は確認するだけ」「税理士任せで終わり」となっており、本来の力を発揮できていません。

数字を「見る」だけでなく、「読み解き」「動く」ことで、会社は大きく変わります。
本コラムでは、決算書や試算表を活かした経営改善の考え方と、実際の改善事例、そして継続的な分析を習慣化するためのヒントをお伝えします。

経営のヒントは、すでに“数字”の中にあります。
それを行動につなげる一歩として、ぜひ最後までご覧ください。





1. なぜ“数字”を読み解く力が経営に必要なのか


決算書や月次試算表は、会社の健康状態を可視化する「経営の鏡」です。
しかし、「作って終わり」「確認して終わり」になっていませんか?

数字は、単なる記録ではなく、“課題発見”と“改善アクション”のヒントそのものです。
たとえば以下のようなサインが、試算表の裏側に隠れています。

売上は増えているのに利益が出ていない → 原価や人件費が過剰かも?

キャッシュが常に苦しい → 売上債権の回収遅延や在庫過多の可能性

借入の返済負担が重たい → 資本構成や借入条件の見直しが必要

これらの兆候を「早期に見抜く」ことができるのが数字分析の最大の強みです。
経営判断を勘や経験に頼るのではなく、数字という“事実”に基づくことが、ブレない経営を支えます。

2. 数字分析が導いた改善実績:3つのリアル事例


(1) 原価率の見直しで利益率UP(飲食業)
ある飲食店では、「売上は順調なのに利益が残らない」という悩みを抱えていました。
数字を分解すると、人気メニューの原価率が異常に高いことが判明。
食材の見直しと価格設定の再設計により、原価率を10%改善。半年後には安定した黒字化に成功しました。

(2) 売掛回収とリファイナンスによる資金繰り改善(製造業)
製造業の企業では、資金繰りが常にギリギリの状態でした。
月次試算表の分析から、売掛金の回収遅延が主因であると判明。
顧客との支払サイト短縮を交渉し、あわせてリファイナンスを実行。月末の資金ショートリスクが消滅し、安心して仕入れ投資ができる体制を整えました。

(3) 部門別管理で赤字サービスを撤退(サービス業)
全体では黒字にもかかわらず、「なぜか資金が増えない」──そんな相談を受けたサービス業のクライアント。
事業別の損益分析を導入した結果、一部のサービスが赤字要因であることが明らかに。撤退を決断し、主力に集中したことで翌年には利益率が20%向上しました。

3. 毎月の分析が企業体質を変える理由


数字分析は「1回やればOK」ではありません。
継続することで見えてくる兆候・改善のヒントが多くあります。

● 経営の予測精度が高まる
季節ごとの売上変動や、利益率の傾向を把握できることで、資金繰りや仕入れ、シフト調整などを事前に準備できるようになります。

● 問題の早期発見・早期対応が可能に
「先月より固定費が急増」「粗利率が落ちてきた」など、小さな変化を見逃さずにすむため、問題が深刻化する前に対処ができます。

● 経営会議が“感覚”から“根拠ある議論”へ
数字に基づいて話すことで、現場と経営層のズレが解消され、意思決定のスピードも向上。社内の“動き”が早くなります。

4. 数字を“行動”に変える仕組みづくりとは?


「分析は大事と分かっていても、うまく活用できない」という声も少なくありません。
数字分析を経営の習慣にするためには、次のような仕組みが有効です。

● データの正確性を保つ
帳簿入力が遅れていたり、科目の分類が曖昧だったりすると、分析精度も落ちてしまいます。
クラウド会計ソフトの活用や、記帳のアウトソーシングを検討することで、タイムリーで正確なデータ収集が可能になります。

● 外部専門家を伴走パートナーに
「数字の見方がわからない」「改善方法が浮かばない」──そんなときは、財務の専門家を頼ってください。
当社のような外部CFOや財務コンサルタントは、数字の翻訳と行動への落とし込みを支援します。

● 毎月の“数字会議”を定着させる
経営陣だけでなく、幹部や担当者も巻き込んで、「数字を見る会議」を毎月1回でも設けましょう。
たった1時間でも、全社的な方向性と改善アクションが共有され、組織全体の経営感度が上がります。

5. まとめ|数字は「未来を変える経営ツール」


数字は、過去の結果を示すだけでなく、未来の行動を変える“ツール”です。
決算書や試算表の数字から課題を読み取り、改善につなげる習慣こそが、持続的な経営の土台になります。

私たちライフクリエイトでは、単なる数字の読み解きにとどまらず、

課題発見 → 改善策提案 → 実行サポート
まで一貫して対応しています。

「数字をもっと経営に活かしたい」
「試算表はあるけど、活用できていない」
「スタッフと数字を共有できる仕組みを作りたい」

そんな経営者の皆さまは、ぜひ一度ご相談ください。
経営の“見える化”から次の一手まで、右腕のように伴走する支援をお届けします。

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居谷謙祐
専門家

居谷謙祐(資金調達・財務コンサルタント)

株式会社ライフクリエイト

専門用語を使わず、社長と同じ目線で「数字」と向き合うのがモットーです。 資金調達、決算書を解析した強みの発掘と弱みの補填など、数字の裏にある可能性を引き出します。

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