外国人介護人材活用セミナー （前半編：なぜ介護業界は人手不足なのか？）

こんにちは！外国人の就労支援や生活支援を行っているKUROFUNE株式会社の倉片です。今日は介護業界を取り巻く状況と外国人採用の状況について、セミナーで使ったスライドを交えてご紹介させていただきます。前半編では介護業界を取り巻く状況についてご紹介します。


　

「550,000人」
この数字を見て何の数字を意味しているかわかりますでしょうか？
正解は【2025年までに足りないと推計された介護人材の人数】です。


衝撃的ですよね！なんと鳥取県の人口と同じくらいの規模の介護人材が不足すると言われています。これは第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量を基にして各都道府県が必要となると推計した介護人材から算出しています。2025年には介護人材が245万人必要とされ、2016年時点で働いていた190万人から、なんと55万人も介護人材が足りていないことになります。かなり恐ろしい状況であることが発表されました。


　
皆さんもご存知のことかと思いますが、一番の原因としては日本が急速に高齢化が進んでいて介護需要が高まっていることが挙げられます。

後期高齢者と言われる75歳以上の人口は2030年頃まで増加すると推計され、約2300万人になると予想されます。2030年には日本の人口が1億1700万人まで減少するため、約5人に1人が高齢者となるのです。グラフを見てわかる通り2030年頃までは急速に75歳以上の後期高齢者が増えています。その分だけ介護需要も急増するのです。
（総務省「国勢調査」・国立社会保障・人口問題研究所「日本将来推計人口」より算出）


介護業界の人手不足の状況はどのような感じでしょうか？

公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」によると、従業員が大いに不足、不足、やや不足と答えた事業者の割合は2018年には67.2%に上りました。2010年以降は過半数の事業者が不足と答えており、慢性的に人手不足であることが示されています。全業種の中でも特に人手不足が深刻な業界であることがこのデータからもわかると思います。


では介護業界はなぜ人手不足が生じているのでしょうか？

人手不足になるのは主に原因としては2つあります。1つは応募者が集まらないこと、2つ目は離職率が高くすぐに辞めてしまうことです。私も色々と調べるまでは、介護業界での人手不足は後者が原因ではないかと考えていましたが、実は前者が人手不足の主な理由として考えられています。しかも理由としてはダントツです。

実際に離職率などのデータを見ても他の業界と大差はありませんでした。むしろ介護業界では急速に待遇改善が進んでいるために長期トレンドとして、離職率が減少していることがデータからも示されています。つまり介護業界は「離職率が高いから」人手不足になっているのではなく、「応募者が集まらず採用が困難だから」人手不足になっているのです。


実際に採用の困難さを表す「有効求人倍率」を見ると、2018年の介護業界での有効求人倍率は3.9倍でした。

有効求人倍率は、「人を探している企業数」から「仕事を探している人数」を割った値で求まり、1.0を越えると人手不足であることを示しています。3.9倍なので3.9介護事業所あたり1人しか採用ができていないような状況です。採用環境としてはかなり厳しい状況にあるのです。

2018年の全業種での有効求人倍率が1.61倍なので、全業種の中でも特に介護業界が採用環境が厳しいことが示されています。冒頭でもご紹介した通り、これからさらに介護業界では需要が高まるために採用環境が厳しくなると予想されます。


以上のデータ等より介護業界ではほとんどの事業者が採用が上手く行かずに人手不足になっていることがわかるかと思います。



後半編では外国人介護人材の状況についてご紹介します！
外国人介護人材活用セミナー （後半編）